スマートフォンは、携帯電話とコンピュータ両方の顔を持ちます。ですからスペック表を見ると、専門用語のオンパレード……おいそれと比較はできません。このコーナーでは、そんなスマートフォン関連の用語をやさしく解説します。今回は「Hotspot2.0」についてです。

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公衆無線LANの利用には、煩わしさがつきものです。最初接続するときにはSSIDを選択しなければなりませんし、ユーザIDとパスワードを入力して認証を受ける必要があります。TKIPやAESなど、パスワード暗号化の種類も把握しておかなければなりません。

一方、3G/LTEなど携帯電話回線にそのような手間はかかりません。スマートフォンの場合、ユーザ情報はSIMカードに書き込まれ自動的に認証処理が行われますから、移動に伴い中継局が切り替わるたびにパスワードを入力する、といった事態は発生しません。

そのような携帯電話回線流の認証を公衆無線LANで可能にする仕様が「Hotspot2.0」です。ユーザIDとパスワードを入力する代わりに、SIMカードに書き込まれた情報をWi-Fiアクセスポイントの認証に利用することで、スムーズにWi-Fiネットワークへ接続できるようになります。契約する事業者のものではないアクセスポイント経由で通信する「Wi-Fiローミング」も容易になります。

この「HotSpot2.0」は、WBA(Wireless Broadband Alliance)という業界団体が仕様を策定し、無線LANに関連する業界団体のWi-Fi Allianceも「Passpoint」という認定プログラムを開始しました。これらの記載があるスマートフォンは、かんたんにいえば「接続/切り替えが容易な公衆無線LANサービスを利用できる」ことになります。

Hotspot2.0は端末側が対応するだけでなく、Wi-Fiアクセスポイントが対応すること、さらにSIMを発行する携帯電話会社がHotSpot2.0をサポートする必要があります。すでにサムスンの「Galaxy S4」がHotspot2.0対応機としてPasspointの認定を受けていますが、日本でサービスを利用できる見通しは立っていません。

とはいえ、AppleがiOS 7でHotSpot2.0に対応することを表明していますから、次期iPhoneでサポートされる可能性は高いといえるでしょう。携帯電話会社もトラフィックをWi-Fiに負担させたい事情がありますから、日本でのサービス開始時期は意外に早いかもしれません。

写真で解説

5月に発売された「Samsung Galaxy S4」はHotSpot2.0に対応していますが、日本でサービスを利用できる目処は立っていません

WWDC 2013で発表された「iOS 7」もHotSpot2.0対応が明らかになりました