パナソニックの白物家電事業を担当するアプライアンス社の高見和徳社長(パナソニック代表取締役専務)は「2018年に、グローバルNo.1のアプライアンスカンパニーを目指す」と宣言した。これは、2013年5月30日にアナリストを対象に行われた「Panasonic IR Day」で言及したもの。

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パナソニック アプライアンス社の高見和徳社長(2012年9月撮影)

高見社長は「様々な調査データからアプライアンス分野だけで捉えると、パナソニックは現時点でトップ3に入っている。グローバルNo.1に向けては、日本、中国、アジア、欧州の地盤強化のほか、インド、ブラジル、ベトナムの現地事業拡大、ロシア事業強化および成長市場であるアフリカへの打ち手による『新興国事業の拡大』と、大型空調、コールドチェーンの拡大、燃料電池などの環境・エネルギー事業の強化、ブラックボックスデバイスの創出とデファクト化による『BtoB事業の拡大』を目指す」とした上で、「ブラックボックスデバイスの創出は、2017年度~2018年度の実用化を目指して開発投資をしていくものになる。詳細は言えないが、世界初となるものを2つ考えている」と語った。そのほか、「グローバルNo.1を達成するためには、現在の延長線上の成長だけでは無理がある。M&Aが必要になるだろう」などと買収戦略も視野に入れていることを示した。

現在、パナソニックのエアコンの世界シェアは9.3%、洗濯機では6.0%、冷蔵庫では3.6%のシェアとなっており、「シェア拡大の伸びしろはまだある。グローバルシェア10%を目指していきたい」と意欲をみせた。

アプライアンス事業においては、2010年度から2012年度までを基盤作りのフェーズとする一方、2013年度から2015年度までを事業拡大フェーズと位置づけ、2016年度~2018年度までをグローバルNo.1の総仕上げのフェーズとしている。

パナソニック アプライアンス社の中期経営目標は、製販連結ベースにおける2015年度売上高が1兆6,500億円、年平均成長率は4%。営業利益は2012年度比315億円増の900億円としている。

アプライアンス事業の売上と営業利益の2013年度見通し

2012年度実績で、売上高の58%、営業利益の60%を占めていたBtoCの構成比を、2015年度には、売上高で57%、営業利益で51%へと縮小。BtoBデバイスおよびBtoB設備の構成比を高める。

「2018年度に営業利益の58%、売上高の50%をBtoBとするのが、当社が目指す姿になる」と、高見社長は語った。

BtoC事業では基盤事業としての収益力確立を目指し、BtoB設備では中長期を睨んだ高収益事業基盤の構築を、BtoBデバイスでは事業戦略転換で収益力向上を目指す。

「BtoCでは新興国市場への展開が拡大することで、利益率が下がる。BtoCの利益率は5~6%が上限となるだろう。これに対して、BtoB設備は10%以上となる可能性がある。またBtoBデバイスでは、これまでの体内(パナソニックグループ)向けを第1優先としていたものを、今年度からは外販を第1優先とする形に方向転換した」という。

また、BtoB事業では、大型空調における中国やアジア向け低コスト商品の投入、販売およびサポート体制の強化に取り組み、コールドチェーンでは環境対応製品の強化とともにタイの生産拠点の生産台数を倍増させるなどアジアの事業体制を強化。ビルトイン機器の海外展開強化、コンビニエンスストアや外食企業への業務用機器の販売拡大、燃料電池のコストダウンによる普及拡大に取り組むほか、ナノイーデバイスの車載業界などへの拡大、モーターの産業および電装分野での事業拡大などに取り組む。

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