米国アリゾナ州フェニックスで、5月12日~17日に開催されていたIntel ISEF(国際学生科学技術フェア)の最終日に行われた優秀賞授賞式で、日本代表の田中堯さん(千葉県立千葉高等学校2年)が、地球惑星科学部門一等賞を受賞した。さらに、田中さんは、部門中でもっとも優秀とされるプロジェクトに贈られる同部門最優秀賞にも選ばれた。部門最優秀賞は日本人初となる。

田中堯さん(千葉県立千葉高等学校2年) 地球惑星科学部門一等賞及び同部門最優秀賞を受賞した瞬間

さらに、特別賞として、チームプロジェクトで参加した佐藤友彦さん、四茂野貴大さん(広島県立府中高等学校)が、米国物理探査学会賞受賞と米国音響学会賞の佳作入賞を果たした。

「動く棒が水面に描く波模様の研究~「変形くさび型の成因」及び「波模様の数学的考察」~」という研究内容で米国物理探査学会からの特別賞を受賞した佐藤友彦さん(中央右)、四茂野貴大さん(中央左)(広島県立府中高等学校)

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地球惑星科学部門一等賞の研究内容

田中さんは、「微小貝は古環境指標として有用か」と題する研究で、他の7人の日本代表者たちと共に今回のフェアに参加した。

地層の古環境解析において、これまで活用されていなかった微小貝の化石を指標とすることを提案した研究で、田中さんは、微小貝の壊れやすさに注目し、微小貝が発見された場所に存在していたとするデータの精密度が高まり、指標として利用できるのではないかと考えた。そして、千葉県市原市の下総層群薮層から産出する微小貝の、種類と保存状態を調べ、古水深の指標となりうることを示した。

部活で弓道をやっているという田中さん。研究も続けていくが、いろいろと挑戦していきたいとのこと

審査の後には、「自分の研究について真剣に耳を傾けてくれて嬉しかった」、「自分が着眼した点に興味を持ってくれて励みになった」と語っていた。この時、審査員たちとのやりとりを得て、多少なりとも手ごたえを感じているようだったが、審査結果については、「やることは全部やりました。楽しむことが出来たので悔いはありません」とだけ語っていた。

授賞式当日、日本代表は会場の前列に並び発表の時を待っていた。審査結果は、会場で初めてアナウンスされ、名前を呼ばれたファイナリストは壇上への花道を歩くことになる。まずは、4位、3位と名前が呼ばれていく。カテゴリが17部門にも及ぶため、時間がかなりかかるのだが、気がついてみるとすでに2位までの発表が終わってしまっていた。

受賞の名前を呼ばれたファイナリストは舞台に上がる

日本代表たちに目をやると、田中さんが祈るように手を組みじっと下を向いてしまっている。そんな中、地球惑星科学(Earth and Planetary Sciences)の一位の名前が「フロム チバ、ジャパン、ギョウ・タナカ!」と読み上げられた。瞬間、田中さんは高く飛び上がる。そして、何度もガッツポーズとジャンプをしながら、檀上へと駆け上がっていった。

だんだんともうダメだと思いながらも希望を捨てられずにいたという

受賞のアナウンスを受け、檀上に上がるまで何度もジャンプしながら駆け上がる田中さん(写真協力 : NPO法人日本サイエンスサービス)