2013年初頭にリリースされたWeb制作ソフト「BiND for WebLiFE* 6」(以下BiND)は、HTMLやCSSといったWebデザインの専門的な知識を一切必要とせず、スタイリッシュなWebサイトを構築できるソフトウェアだ。また、ブログなどの運営に多く用いられているCMS(コンテンツマネジメントシステム)である「WordPress」との連携やスマートフォン用Webサイトなどもサポートされており、アマチュアからプロフェッショナルまで幅広いユーザーに人気を集めている。

今回は、5月30日にリリースされる最新バージョン「BiND for WebLiFE* 6.5」について、同製品の開発に携わるデジタルステージのプロジェクトマネージャー益成宏樹氏と、ディレクター井上真史氏に、気になる新機能とその魅力について聞いた。

同社のディレクター井上真史氏(左)とプロジェクトマネージャー益成宏樹氏(右)

――まず、最初に「BiND for WebLiFE* 6.5」に搭載された新機能について、簡単に教えていただけますか?

井上真史氏(以下、井上氏):「BiND 6.5」では、Webフォントを実装するため「TYPE for WebLiFE*」を新たに搭載し、Webデザインの表現が多彩に広がるWebフォントのサイトが直感的に作れるようになります。またWebフォントを採用したタイポグラフィックなテンプレートを追加収録することで、新たな表現を提案しています。さらに同時期に、写真や音楽などの素材がダウンロードできるポイントプログラム「materials」、サーバー会員向けの追加サービスとしてHTMLメール作成&配信システム「Benchmark Email」など、非常に多角的なアップデートを行なっています。

益成宏樹氏(以下、益成氏):特にWebフォントの採用に関しては、これまでBiNDで僕らが目指してきた"誰もが簡単に美しいWebサイトをデザインする"というコンセプトに欠かすことのできない大きな要素で、満を持しての導入となりました。今回提供する日本語Webフォントは、どれも圧倒的に見やすく美しいフォントです。また、テキストのデザイン性のみならず視認性も大きく向上します。拡大・縮小表示した際にも、その表示の美しさが変わることはありません。

――Webフォントについては、具体的にどのようなものを提供する予定なのですか?

井上氏:BiND専用のホスティングサービス「WebLiFE サーバー」のベーシックコース(月額980円/プロフェッショナル版には2年間の無償期間が付属)では7書体、 プレミアムコース(月額2980円)では150書体のWebフォントが利用可能です。これらのWebフォントは、ソフトバンク・テクノロジー社が運営するWebフォントサービス「フォントプラス」から提供を受けており、今後も使用できるフォントを増やしていく予定です。

益成氏:従来のWebフォントでは、ライセンスなどの問題もあり、手軽に利用できる日本語Webフォントは限定されていて決して誰もが使いやすいものではありませんでした。それに対し「BiND 6.5」で提供するWebフォントは、BiND上でフォント指定を行うだけで、Webの技術を持たない初心者でも気軽にWebフォントを採用したWebサイトのデザインが可能です。現在提供しているフォントのラインナップは、ロダン、マティス、スーラといった使い勝手も良く実用性に富んだものから、ファンシーなフォントもいくつか含まれています。

――Webフォントを利用するメリットには、デザイン性や視認性の向上などが挙げられると思うのですが、それ以外には、どのようなメリットがあるのでしょうか?

益成氏:フォントを自由に選択し、レイアウトすることは、"デザインの基本"ともいえるものだと思います。Webデザインにおいては、Webフォントの登場によってそれがやっと可能となったわけですから、DTPなどと同様にデザインの幅がさらに大きく広がるはずです。今後は、Webデザイナーとしては非常に歯がゆい部分でもあったフォントに対するストレスから解放されることで、妥協のない多彩な表現がもっと増えていくのではないでしょうか。

井上氏:Webフォントを採用することによるアドバンテージについては、いくつかあると思います。まず、デザイン上の理由から画像として扱うしかなかったタイトルやメニューも、Webフォントならプレーンなテキストデータとして処理できますので、SEO効果の向上も期待できます。また、Webサイト改修時における作業効率のアップ、WebブラウザやOSなど閲覧環境に依存しないWebデザインの実現なども、副次的な効果として挙げられるでしょう。なお、その魅力の一端をすぐに実感していただけるよう、Webフォントを効果的に活用したテイストの違う新しいテンプレートも用意しましたので、日本語を全面に押し出したタイポグラフィックなデザインをぜひ体験していただければと思います。

――なるほど。WebLiFEサーバー・プレミアムコースの新サービスである「Benchmark Email」および「materials」についても教えて下さい。

井上氏:「Benchmark Email」は、海外ではトップシェアを争うほど人気のHTMLメール作成&配信システムです。今回の業務提携によって、その日本語ローカライゼーションを行ったものを、WebLiFEサーバーのプレミアムコース会員であれば追加コストの負担もなく、快適にサービスが利用できるようになります。高品位なテンプレートから作るHTMLメールマガジンの作成および毎月1000通までの配信、顧客リスト管理、リアルタイム効果測定に至るまでの充実したサービスになっています。

益成氏:「materials」は、写真、イラスト、音楽、画像パーツ、サイトテンプレートなどの厳選された素材を提供する、弊社のポイントプログラムです。製品のユーザー登録時やWebLiFEサーバーのプレミアムコース会員に付与されるポイントにより、ユーザーが自由に好きな素材をダウンロードできるようになっています。現時点では、ポイントの追加購入などについては今は対応していませんが、お客様からのご要望によって今後検討を重ねていく予定です。

――最後に、「BiND for WebLiFE*」ユーザーの皆様にメッセージをお願いいたします。

井上氏:デジタルステージは、ソフトウェアの力で世の中を変えて行くことを目指しています。BiNDは、ウェブの世界をよりよく変えていくのがその使命。バージョン 6.5では「日本語書体で、さらに美しく変わるBiNDサイト」をテーマに開発しました。ここから始まる新たなWebデザインのスタンダードを楽しんでいただければ嬉しいです。

益成氏:BiNDが実現したWebフォントのおもしろいところは、ユーザーが"Webフォント"と認識することなく、美しいフォントを自由に選び、自由にデザインできることです。タイトルやメニューなど大きく見栄えのする場所はWebフォントで、本文などの細かな文字は従来のフォント指定でと、目的に応じて選択していける。CSSもいじらない、ライセンスも個別に購入する必要もない。必要なのは、Webフォントの仕組み上欠かせないサーバーに加入していただくだけです。「BiND6.5」なら、それを驚くほど簡単に行うことができ、いつでも好きなときに切り替えることができます。また既存のBiND 6ユーザーなら「BiND6.5」へ無償でアップデートされます。ぜひWebフォントを使った自分だけのオリジナルWebサイト作りに気軽に挑戦してみてはいかがでしょうか。

撮影:石井健