スマートフォンは、携帯電話とコンピュータ両方の顔を持ちます。ですからスペック表を見ると、専門用語のオンパレード……おいそれと比較はできません。このコーナーでは、そんなスマートフォン関連の用語をやさしく解説します。今回は「RAM」についてです。

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コンピュータ用語を説明するとき、プログラムの実行やシステムを統括する役割のCPUは「頭脳」、書き換え頻度が低い(パソコンにおける「ROM」は読み取り専用)データの保存場所はROMは「書棚」にたとえられます。そしてプログラムが作業領域として使用するRAMは、図面やノートを広げておく「机」といったところでしょうか。

システム(OS)がプログラム(アプリ)を実行するときには、アプリをROMやSDカードなどの書き換え頻度が低いディスクから読み出し、RAM上に展開します。必要であれば画像や音楽などのデータも読み出し、同様にRAM上に展開して作業を開始します。なにか調べものをするとき、書棚から辞書を出して机に広げ、ノートや筆記具も机に並べておくことを想像すると近いでしょう。

では、狭い机で調べものすることを想像してください。広げられる辞書はせいぜい1冊、ノートを置くスペースもないので切れ端に走り書き、たくさんの筆記具を並べられないので、使うたびに筆箱へ出し入れする、といった状況です。机は広いほうが作業効率がいいはずです。

RAMも同様で、広ければ広いほどシステムは余裕をもって動作します。RAMも記憶装置の一種であり、データを保存しておくという機能においてはROMやSDカードと大差ありませんが、読み書きが圧倒的に速いため、高速性が重要なプログラムの作業領域やデータの一時保管領域として利用されるのです。

容量あたりの単価が他の記憶装置に比べ高額なため、RAMの容量は抑えられる傾向にありますが、スマートフォンが多機能化・高機能化するにつれ、より大容量のRAMが求められるようになりました。AndroidとiPhoneは、2012年発売のモデルでは多くても1GBといったところでしたが、2013年に入ると「Xperia Z」のように2GBのモデルも登場しはじめました。かつてパソコンがそうだったように、次は4GB、今度は8GBという道をたどるのかもしれません。

写真で解説

2GB RAMを搭載した「Xperia Z」。スマートフォンの多機能化・高機能化に伴い、より大容量のRAMが求められるようになっています

アプリ「System Status」を利用して調べた、iPhone 5のメモリ使用状況です。1GB程度では、余裕たっぷりというわけにはいきません