説明書を読まなくても使い方がわかるのが、iPhoneの魅力であり強みです。しかし、知っているつもりが正しく理解していないこともあるはず。このコーナーでは、そんな「いまさら聞けないiPhoneのなぜ」をわかりやすく解説します。今回は、「iPhoneに「ウイルス対策ソフト」は必要ないの?」という質問に答えます。

***

現在、iPhone(iOS)向けには「ウイルス対策」などと銘打たれたセキュリティ対策機能(アプリ)は存在しません。Apple自身開発していませんし、おそらく今後も予定はないでしょう。その理由は2つあります。

1つは、アプリにウイルスやその他の迷惑機能(マルウェア)が入り込む余地が低いことが挙げられます。Appleはアプリ流通を「App Store」に限定し、出品の際には念入りな審査を行っています。もしマルウェアが仕組まれていても、かなりの確率で検出されるでしょうし、事態が発覚すればただちにApp Storeから削除されるはずです。

もう1つは、ウイルス検出機能をアプリとして提供することが難しいiOSの構造が挙げられます。iOSでは、アプリは他のアプリと切り離された状態(サンドボックス)で実行されるため、あるアプリが使用するファイルを他のアプリが使用する場合は、それを明確に指示しなければなりません。ディスク上の全領域を検索するようなアプリを開発することはiOSの構造上困難ですし、システムのバックグラウンドで動作(他のアプリと並行して処理が行われること)するアプリのジャンルが、音楽再生や位置情報などいくつかに制限されています。だから、システム常駐型のウイルス対策ソフトは開発が困難ですし、もしそのようなアプリを出品してもApp Storeの審査基準に反するとして却下されることでしょう。

とはいえ、iPhoneがウイルスに感染する確率はゼロではありません。たとえば、JavaScriptで書かれた悪質なプログラムをWebサイトに仕掛けるなどして、アクセスしてきたiPhoneユーザに対しなんらかの攻撃/情報詐取を行うことは不可能ではありません。システムの隙を突いて攻撃される可能性もありますから、ときどきAppleが配布するシステムアップデータをまめに適用する必要があるでしょう。

写真で解説

現在App Storeでは、パソコンのウイルス対策ソフトのようにディスク上の全領域を横断的に検索するアプリは取り扱いがありません。iOSの構造上の理由もあることから、今後も「システム常駐型のウイルス対策アプリ」は登場しないことでしょう