【インタビュー】

日本は世界の半導体/組込産業をけん引している - ザイリンクス Rogan社長

1 微細化が進むことで、半導体産業の構造そのものに変化が生じる

  • <<
  • <

1/8

2013年に入って、急速にFPGAの業界がにぎやかになっている。2月にはAchronix SemiconductorがIntelの22nmプロセスを使って製造したSpeedster 22iの出荷を開始し、3月にはTabulaが同じくIntelの22nmプロセスを使ったABAX2 P1シリーズのリファレンスデザインの出荷を開始した。一方Alteraはやはり2月に、次世代製品をIntelの14nmプロセスを使って製造する事を発表している。こうした活発な動きを競合ベンダーが見せている一方で、大手FPGAベンダであるXilinxからは次世代製品に関する話題があまり上がって来ない。もちろん昨年には20nmプロセスの8 Seriesに関する説明があったりZynq-7100シリーズが発表されたりと話題そのものはあるのだが、特に1xnm世代に関する議論は今のところまったく無く、ちょっと寂しい状況である。

そんな折、久々に同社の日本法人であるザイリンクスのSam Rogan社長にお話を伺える機会を持てたので、ちょっとレポートしたいと思う。前回こうした機会を持ったのは、氏が社長に就任された2008年の事なので、5年ぶりということになる。ちなみにお相手は、Sam Rogan社長に加えて、神保直弘氏(マーケティング本部 PRマネージャー)も同席された。

ザイリンクスの代表取締役社長であるSam Rogan氏

Q:ではまず半導体業界全体の話から入りましょう。ご存知のように、日本の半導体業界は非常に調子が悪くなりましたよね? で、Foundary Serviceをやっているメーカーそのものがどんどん無くなって来ました。昔の話だと、これはチャンスだという話だったと思うのですが、いかがです?

Sam Rogan氏(以下、Rogan):はい。その点は、ちょっといくつかの話が関係しています。まずFoundryがどんどん少なくなっている感じがしませんか?

Q:思いっきり減ってますね。

Rogan:そう。今だとTSMCとかGLOBALFOUNDRIESとかが残ってるくらいです。

Q:まあCommon Platformですね。

Rogan:そうそう。あとSamsung Electronicsもやっていますが、メインはやはり自分たちの製品の為に作ってて、外部から受託を受けて作ってるものが限られているんじゃないかなと思うんですよね。で、日本の会社は、何というか、Fab Liteから、そのうちに多分Fablessになるんじゃないのかと思ってるんです。

そこで、ASICのValueは何なんだろう? と考え直してみたんです。ASSPのValueは? FPGAの場合は? と考えたとき、たぶんASICの場合はImplementationとManufacturingがValueではないかと思うんですよね。ですから、自社でFabを持っていない限り、Valueの半分以上、7割以上位は(Foundryに)取られてるんじゃないかな? と思うんですよ。ですから、日本の半導体産業が本当に成功するためには、やっはりもう少しシステムの知識を持つことが必要なのではないかと思うんです。システムの知識を学べば学ぶほど、ASICのメーカーからASSPのメーカーになれるのではないかと。

Q:なりますね。

Rogan:そこからまた、CostというかValueの問題になるんです。今まではFabを持つと、(その設備投資を)やはり5年くらいで償却するといった話になる訳です。問題は、本当にASSPなどを作っているだけで果たしてそれをペイできるのか、と。(ASSPの)Volumeは定義的に言えば、ASICよりも多いんですが、Multi-Purposeではない訳ですから、それほど多いわけではないんですね。なので、本当に限られている商品で償却しなきゃいけなくなるわけですから、それで問題になるんだと思うんですよ。

そこで、さらにややこしい話になるんですが、普通、前工程を考えた場合、製造サイクルは4週間から8週間くらいかかっています。

Q:長いやつだと最近3カ月とか6カ月って言ってますよね。Cutting Edgeのプロセスだと。

Rogan:えーと、ですね、最近の28nmになると、Xilinxの場合は50Maskですよ。これは多分、Xilinxだけの話ではなく、28nmプロセスを使うベンダーであれば、大体どれも50Maskくらい必要としているはずです。それで、1Mask(の処理)が大体2日から2日半くらいかかるとすると、もう前工程の処理だけで100日以上かかるんですよ。

Q:そうですよね。

Rogan:さらに、(プロセスが)微細化されるほど光の物理的な問題がでてくる訳です。エッジをきれいに描画できないので、ある角度からこの周波数の光でまず露光して、次に別の角度から別の周波数の光で別のマスクを付けてとやっていく。だから1つの処理が長くなるんですと。しかも、今後はさらに微細化して20nmになっていくんですよね。それだと、多分、色々な意味で倍になるんじゃないかなという話があります。

Q:私も6カ月という話を聞いて、最初は「マジ?」とか思ったんですが、事実ということなんですね。

Rogan:その数字は間違いないですね。そうなってくると、これまで5年間で工場を償却していたわけですが、前提としては前工程のサイクルが1カ月か2カ月で、5年間かけると何サイクル取れる? という議論だったわけですが、もし1サイクルの期間が6倍(6カ月)になると、5年間の償却期間も6倍の30年間になるかという。

Q:いやいや、それは(笑) Rogan:ですから半導体の、そういう意味で基本的なコストモデルが変わってくるんじゃないかな、と私は思っているんですよね。

  • <<
  • <

1/8

インデックス

目次
(1) 微細化が進むことで、半導体産業の構造そのものに変化が生じる
(2) FPGA+コントローラのZynqが変える組込市場
(3) Zynq普及の最大の鍵はARMコアの搭載ではなく、エコシステムの構築にあった
(4) 今でも日本の半導体/組込産業は世界をけん引する最先端
(5) Xilinxの売り上げにおける日本の比率をいかに高めていくのか
(6) 巨大市場であるカーエレクトロニクスをどう攻めるのか
(7) 日本で好調に推移する先端プロセス製品
(8) 20nm世代、そして14/16nm世代のFPGAはどうなっていくのか

もっと見る



人気記事

一覧

イチオシ記事

新着記事