今後より一層の国際化が進む社会のなかで、"世界と対等に渡り合える"人材育成の場として開催されているImagine Cup。180を超える国と地域から35万人以上の学生が参加する、文字通り世界最大規模のITコンテスト「Imagine Cup」世界大会への出場権を賭けた日本大会が4月7日に日本マイクロソフト本社にて行われた。今年度の日本大会は、「ゲーム」「イノベーション」「ワールド シチズンシップ」の3カテゴリから選択して臨むことができる競技部門、そして日本オリジナルのコンテストとしてWindows 8チャレンジ部門のふたつの部門で、ファイナリストたちが熱く、そして静かに火花を散らしていた。

6チームによる競技部門のプレゼンテーションがスタート !

Imagine Cup日本大会の開催にあたり、日本マイクロソフト株式会社業務執行役員でデベロッパー&プラットフォーム統括本部長の伊藤かつら氏から挨拶があり、いよいよ競技部門のプレゼンテーションがスタート。

ビル・ゲイツ氏の発案によって11年前より行われてきたImagine Cup。孫正義氏の言葉「脳みそがちぎれるくらい考えろ」よろしく、若手にもトコトンまで考える機会を与えることによって将来の力になる。世界と戦える表現力を期待していると伊藤かつら氏

司会には先日行われたWDLC主催の「Digital Youth Award 決勝大会」にエントリーしていたチーム東原宿の川久保莉里さん

トップバッターは、専門学校HAL東京より参戦のNFKey。彼らのチームは、NFC端末とWindows8タブレットを利用した車のドアの開閉、ログや現在位置管理ソリューションを提供するというもの。自然災害時に避難のため放置された自動車によって、緊急車両の通行が困難になるであろうといったケースを想定し、NFC技術を用いてドアロックの解錠を可能にするという、非常にスケールの大きなもの。さらに、ビジネスとしてカーシェアリングのシステムのひとつに組み込んでみてはどうかと、アイディア、技術、ビジネス各方面から練られていたプレゼンだった。

ソリューションが活きるシーンの定義付け、ソリューションを提供するためのシステムなどにも言及。弁士ふたりでの掛け合いによるプレゼンスタイルだった

次いでのプレゼンターは、トライデントコンピュータ専門学校よりClear Voiceだ。「ゲーム」を題材に選んだためか、プレゼンテーション自体もいい意味で砕けており聴衆を惹き付けていた。彼らの「Pafffy」は音を利用してプレイするゲームとなっており、年齢性別を問わず誰もが楽しめるというもので、Windowsストアアプリとして今後リリースする予定だと言うから今後に期待したい。

ゲームに登場するキャラクターを頭上に掲げ、彼ら自身も楽しそうにプレゼンしていた姿に共感を受けた。プレゼンにビデオ映像を織り交ぜるなど、聴衆を引き込む、と言う意味では非常にクオリティが高かった

若者のプレゼンはまだまだ続く。太田情報商科専門学校のKRADはキネクトを利用した体感型レースゲーム「トイチェッカー」をプレゼン。ゲームストーリィの解説では、先に登場したコンペティターClear Voice同様、聴衆を引き込む演出が。笑いを誘いながらも、ゲーム自体は非常にクオリティが高く、ユーザーの動きをうまくゲーム内の要素として取り込んでいた点が光っていた。

ゲームの基本設計は非常に練り込んで作り込まれていたが、審査員から「コースエディットはできないの ?」「マネタイズは ?」など、鋭い質問にもキチンと返答していた

次いで、専門学校HAL大阪よりファイナリストとして出場したチームでやんぞ。彼らの「ぬけがみ」もキネクトを活用しているのだが、"表と裏""パラレルワールド"をキネクトで読み取ったプレーヤーの動きで融合させるというもの。当日、昨年度の日本代表として世界大会で戦った経験を持つ馬場翔太さんをもってしても「どうやって処理しているのか気になる」と言わしめたほど。新感覚のゲームとしてさらなるブラッシュアップに期待したい作品だった。

一方の世界には障害物が、もう一方の世界にはそれがない。そこでプレーヤーがふたつの世界の架け橋となって世界を繋ぎ、キャラクターをゴールへ導くというもの。身体全体を使う上に、アイディアや閃きがクリアのポイントとなるゲームだった

専門学校HAL名古屋からやってきたflower_shooterは、環境問題に興味喚起を持ってもらうために考案した「EnchantFlower」というゲームをプレゼン。枯れ果ててしまった大地に緑を取り戻していくというもので、梱包材の"プチプチ"を潰していく感覚に近いゲーム体験(実際には非常に美しく綺麗な花が咲いたりするのだが)を味わうことができるというもの。ゲームで環境問題へのきっかけを作るという意識の高さは素直に評価したい。

キャラクターが飛行した軌跡が緑化されていく。また、特殊な操作によって3点間を一気に緑化することも。技術面での素晴らしさは言うまでも無いが、もう少し楽しませる要素があっても良かったかも ?

競技部門最後のプレゼンターは京都コンピュータ学院、Project Nによる「Knowall Library5.0」だ。これは、今までのコンペティターと比較しても異色の存在で、2D/3Dゲーム制作のための開発エンジンで、何とひとりで黙々と中学生の時から創り続け、ブラッシュアップを重ねてきたものだという。実際に「Knowall Library」を用いて開発されたゲームのデモムービーを観た印象、そしてゲームを創るその手軽さは審査員のみならず聴衆も驚きを隠せないでいた。

実際に物理演算エンジンのデモを見ていても「これ本当にひとりで創ったの ?」と驚嘆に値する出来。ゲーム業界への参入障壁を引き下げ、イノベーションを巻き起こすきっかけになるのでは、と期待も大きい

写真中央の米山氏が「Knowall Library5.0」の開発をひとりで行ったという。審査委員長のマイクロソフトディベロップメント株式会社代表取締役社長の加治佐俊一氏から「プレゼン中にデモで簡単なゲームを創れないか」など具体的な質問も飛びだした