説明書を読まなくても使い方がわかるのが、iPhoneの魅力であり強みです。しかし、知っているつもりが正しく理解していないこともあるはず。このコーナーでは、そんな「いまさら聞けないiPhoneのなぜ」をわかりやすく解説します。今回は、「SIMカードにデータを記録できる?」という質問に答えます。

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iPhoneにかぎらず、現在流通している携帯電話には通称「SIMカード」という小さな記憶装置を挿して利用します。正式には「UIMカード」(User Identity Module card)といい、iPhoneの契約時に携帯電話会社から借りる形で入手します。iPhone 5の場合、8.8×12.3×0.67mmという薄くて小さい「nanoUIMカード」が採用されています。

SIMカードには、電話番号とヒモ付けられた識別番号(IMSI)などの情報が記録されます。携帯電話はこの情報を参照するので、使いたい携帯電話に挿せばそのIMSIが対応する電話番号で通話できます。ただし、多くの携帯電話には、見かけ上安値で売った端末代金を回収するため、特定のSIMカードしか使えない「SIMロック」が施されています。現在日本で販売されているiPhoneは、すべてSIMロック端末です。

SIMカードの内部には、超小型のCPUや記憶装置が収められています。暗号化処理が可能なうえ、保護層を無理にはがした場合回路が壊れてデータの読み出しが不能になる機構も搭載されています。その意味では、携帯電話の情報保護を目的とした超小型コンピュータといえます。

IMSI以外の情報も記録できます。実際、アドレス帳データをSIMカードに記録する携帯電話は多数存在し、機種変更したときSIMカードのアドレス帳データを読み取る作業はよく行われます。

ただし、iPhoneでは「連絡先」の名前と電話番号をSIMカードに書き込むことはありません。ですから、「SIMカードにデータを記録できる?」という質問の答えは、iPhoneに関して言えば「いいえ」となります。読み取り機能は用意されていますが、iPhone 5に採用されているnanoUIMカードは登場してから日が浅く、機種変更元の他の携帯電話/スマートフォンは多くないため、あまり利用されることのない機能となっています。

写真で解説

iPhone 5の「nanoUIMカード」(上)を取り出したところ。iPhone 4に採用されていたmicroSIM(下)よりひとまわり小さくなっています

「設定」の「メール/連絡先/カレンダー」を開くと、nanoSIMカードに記録された連絡先データを読み込むことができます