ロボット掃除機「ココロボ」を使った実証実験をシャープと東急が実施 - クラウド上にデータを蓄積してユーザーの生活パターンに合う情報を提供

シャープは、ロボット掃除機「COCOROBO(ココロボ)」を活用して、ユーザーに生活者情報を提供するトライアルを、東急電鉄と共同で実施する。ここでは、4月3日に報道関係者向けに実施された説明会とデモンストレーションの模様をレポートしたい。

トライアルは、市販されているココロボの上位モデル「RX-V100」をベースに、ソフトウェアをカスタマイズした試作機を使って行われる。3月28日に開業した東急電鉄の賃貸マンション「スタイリオ品川中延」の入居者のうち希望者60世帯を対象に、4月初旬から12月末までココロボを貸し出す。

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2012年6月に発売されたココロボは、自走式ロボット掃除機としてだけでなく、音声認識機能を備え、ユーザーからの呼び掛けに応じて会話できるなどコミュニケーション機能を有している点。今回のトライアルでは、主にこのコミュニケーション機能を活用して、ユーザーに生活者情報などを提供する。

市販品とトライアル用の試作機との違いは、クラウドを通じて応答を行う点だ。通常のココロボでは、呼び掛けに応じて本体に内蔵された会話パターンのプログラムが応答するのに対して、トライアル用は無線LANを経由して、クラウド上に蓄積されたデータを取得して応答する。クラウド側にデータを蔵置するため、会話パターンなどの情報の更新が容易で、外部サービスのデータとも連携し、リアルタイムな情報提供が行えるのもメリットだ。

トライアル開始時には、ウェザーニュースが提供する天気予報情報や、毎日新聞社によるニュース、東急電鉄の運行状況といった情報が、ココロボを通じて提供される。また、ココロボの稼動状況や動作時間帯など、クラウドに蓄積されたデータを基にした生活パターン解析により、ユーザーのニーズに合わせた情報提供も行われる予定だ。

トライアルが実施されるスタイリオ品川中延は、東急バス荏原営業所の建て替えに伴い、敷地の有効活用して建設され、このほど開業した賃貸マンション。24時間有人管理体制や、防災備蓄装置の設置、太陽熱利用ガス温水システムなどが一部住戸に導入された、いわゆる高級賃貸物件だ。

東急電鉄 都市開発事業本部住宅・ソリューション事業部 住みかえ事業推進部賃貸住宅担当マネージャー加藤久氏は「住宅設備以外でマンションの付加価値を設け、今後の住まいづくりにも活かしていきたい」と話し、家電メーカーであるシャープとの今回のコラボレーションの経緯を明かした。

一方、シャープ 研究開発事業本部 クラウド技術開発センター所長の上田徹氏は「新しい日本の家電のライフスタイルとして、こうしたサービスが生活をどう変えていくかを検証し、製品づくりにフィードバックしていきたい」と意気込みを語った。

デモンストレーションでは、「おはよう」と挨拶すると「今日は燃えるゴミの日だよ」と知らせてくれたり、東急沿線の運行状況を伝達したりする様子をお披露目。試作機は2012年12月に発売したココロボ経由で家電を遠隔操作できる赤外線ユニットも装備しており、「アクオスつけて」と呼びかけるとテレビの電源を入れてくれる。また、現時点で100以上の会話パターンがクラウド側に蓄積されており、市販機よりもバリエーション豊かな会話パターンでなかなかいい話し相手となってくれる。

シャープによると、トライアル機には"クラウドモード"があり、一定時間操作がされない場合は、クラウドに音声データがアップされない仕組みで、プライバシーやセキュリティにも配慮がなされているという。

同マンションは、最寄駅都営浅草線「中延」駅から徒歩4分に立地し、地上13階建で総戸数は158戸。間取りは1K～2LDK(26.49～69.68平米)で、賃料は月額8万7,000円～21万1,000円(管理費6,000円～1万2,000円)。