富士フイルムの高級コンパクト「X」シリーズのニューフェイス「FUJIFILIM X20」が登場した。2011年に発売された「FUJIFILIM X10」の後継機にあたり、レンズや基本デザインを受け継ぎながら、撮像素子やエンジン、AFシステムなどに改良を加えている。その性能はどうなのか。実写レビューをお伝えする。

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前モデルからの最大の改良ポイントは、撮像素子に「X-Trans CMOS技術」を採用したこと。撮像素子内にあるカラーフィルターに独自の配列を取り入れることで、モアレや偽色の発生を抑える仕組みだ。これによって一般的なデジカメでは欠かせないローパスフィルターを省略し、レンズが本来備える光学性能をフルに引き出せるようになっている。

「FUJIFILIM X20」

さらに、新開発した画像処理エンジン「EXR Processor II」では、点像復元処理が可能になった。これは絞りを絞りすぎた際に生じる回折現象によるボケや、レンズ周辺部に生じるボケを目立たなくする技術だ。独自のデジタル信号処理によってボケた点像を元通りの点の形に再現できるという。設定はユーザー側で特にする必要はなく、撮影条件に応じて自動的に点像復元処理が適用されるようになっている。ただ注意したいのは、この点像復元処理が適用されるのはJPEGファイルのみで、RAWファイルには効果は反映しないこと。RAWファイルにも適用したい場合には、カメラ内RAW現像を行うといいだろう。

撮像素子のサイズと画素数については前モデルから変わらず、2/3型の有効1200万画素となる。一般的なコンパクトデジカメが採用する1/2.3型に比較して、およそ2倍の面積を持つセンサーだ。

レンズについても変更はなく、35mmフィルム換算で28~112mm相当の焦点距離を持つフジノン光学4倍ズームを継承する。広角から中望遠までの使いやすいズーム域をカバーした上で、開放値がワイド側F2、テレ側F2.8と明るいことが特長だ。鏡胴部のリングを回すことで素早くズーミングができるマニュアルズーム操作も、前モデルから受け継いだメリットといえる。

ボディカラーは、写真の「ブラック」のほかに、ツートーンカラーの「シルバー」が用意される

素早い操作が可能なマニュアルズームを継承。レンズシフト式の手ブレ補正機構も引き続き備える

実写では、これらの撮像素子と画像エンジン、レンズの三位一体によって生み出されるクリアな画質を確認できた。画像サイズは特に大きくはないが、四隅まできっちりと解像し、被写体の質感をリアルに再現できる。高感度については、ISO800くらいまではノイズが目立たないように低減されている。

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ISO感度別の作例。上段左からISO100/200/400、中段左からISO800/1600/3200、下段左からISO6400/12800で撮影。絞り優先AE(F8) 露出補正:-0.7 WB:電球

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