開発中のOSがリークするのは人気がある証拠。過去のWindows OSも例に洩れず、何度となく開発途中版がインターネット上にリークされてきた。現在Microsoftは次期Windows OSとなる「Windows Blue」を開発しているのは、本誌でも既報のとおりである。現在多くのIT系ニュースサイトでWindows Blueの特徴を紹介しているが、さまざまな情報が小出しにされている。そこで今週のレポートは、リークされたWindows Blueの機能を精査し、その特徴を本誌読者にお送りする。

Windows Blueビルド9364が流出

過去のレポート記事でも何度か触れてきた「Windows Blue」。Windows 8 Service Pack 1に相当するものなのか、次期Windows OSとなるのか、さまざまな臆測が語られてきた。もっともService Packか次期Windows OSという論点は、Microsoftがこれまでのアップデートロジックを廃止し、(Mac)OS Xのようにほぼ例年の有償アップデートに移行する可能性もあるため、その差は小さい。

その動向が注目されるWindows Blueだが、本誌のニュース記事によると、ビルド番号9364.0がインターネット上にリークされたという。また、Yoichi Yamashita氏の記事では、Microsoftは6月26日から28日(太平洋標準時)の間、開発者向けのカンファレンス「Build 2013」を開催し、Windows Blueの開発を公式に認めている(図01)。

図01 6月26日から28日(太平洋標準時)の間開催される「Build 2013」の公式ページ

公式なアナウンスは自社公式ブログ「The Official Microsoft Blog」の記事で行われ、Microsoftデベロッパー&プラットフォーム統括担当ヴァイスプレジデント兼チーフエバンジェリストであるSteve Guggenheimer(スティーブ・グッゲンハイマー)氏は「Windows、Windows Server、Windows Azure、Visual Studioのアップデートと今後について説明する」と述べている。

同イベントでWindows Blueが発表されるのは、事実上決まったようなものだが、現時点ではさまざま情報が錯綜(さくそう)中である。そこで冒頭で紹介したWindows Blueリーク版の情報を元に、次期Windows OSの姿を整理することにした。興味をお持ちの方は、しばしの間お付き合いいただきたい。

まずリークされたWindows Blueは「Windows 8」の名称がそのまま使われており、バージョン番号は従来の予想どおり「6.3」。ビルド番号からはパートナー向けとして、3月15日21時5分にビルドアップしたバージョンであることがわかる。また、使用期限を2014年1月16日と定められていることからは、海外ニュースサイト「The Verge」が報じた内容どおり、Build 2013でプレビュー版を配布し、年内にはパブリックもしくはクローズドなプレビュー版が登場するのは確実だろう。

スタート画面に目を向けてみる。Windows 8ではタイルのサイズは大小2種類だったが、Windows Blueリーク版は小さいタイルに対してもアプリバーの<Smaller(小さくする)>ボタンが残され、小さいタイルに対して4分の1のサイズに変更することが可能だった。また、アプリバーに用意された<すべてのアプリ>ボタンは<Customize>ボタンに変更され、タイルの並べ替えやグループ名が自動的に付加し、クリック一つでグループ名を変更することが可能になっている。なお、すべてのアプリを表示させるのは、画面下部から上部へスワイプするらしく、マウス操作による呼び出し方法は現時点で不明だ。

スタート画面に対する設定チャームには「Personalize」を新設。Windows 8の「PC設定」から呼び出す「パーソナル設定」の「スタート画面」で行っていたスタート画面の背景や配色を選択可能にしている。また、配色に関してはバックグラウンドカラーとアクセントカラーの2箇所に対してカラーバーを用意。ほぼすべての色を選択できそうだ。そのためか「PC settings(PC設定)」からは、「Personalize(パーソナル設定)」が取り除かれている。

モダンUI面の改良としては、スナップ改良の機能も興味深い。Windows 8では画面4分の1をスナップ領域として定めていたが、Windows Blueリーク版では画面を半分に分割して、2つのWindowsストアアプリを並行して利用可能になる。また、仕切りとなるバーを左右にドラッグすることで従来のように4分の1-4分の3と画面分割して利用することも可能だ。

また、スタート画面には見慣れないWindowsストアアプリがいくつか並んでいる。「Alarms(アラーム)」や「Calculate(電卓)」「Sound Recorder(サウンドレコーダー)」などは作り込みも甘く、現時点では評価対象レベルに達していないが、Surface RTなどタブレット型コンピューターでの使用環境を強化する上で重要な存在となるだろう。また「Movie Moments」は動画編集ソフトのように見えるが、正しく動作しなかったので現時点での論評は見送りたい。

アプリケーション面では、Internet Explorer 11が搭載されているのも大きな特徴の一つ。バージョン情報を確認すると、デスクトップアプリ版およびWindowsストアアプリ版のバージョンは「11.0.9364.0」だった。性能差は確認できなかったが、機能面ではWindowsストアアプリ版Internet Explorer 11の<ツール>ボタンに<View Downloads>という項目が用意されており、ファイルのダウンロードをサポートする可能性が高い。