富士フイルムから光学42倍ズームを搭載したレンズ一体型デジカメ「FinePix HS50EXR」が登場した。2012年に発売された「FinePix HS30EXR」の実質的な後継にあたり、光学ズームのワイド側の焦点距離24mm相当(35mm判換算)を維持しながら、テレ側を1,000mm相当にまで拡張している。その性能はどうなのか。実写を含めた製品レビューをお伝えしよう。

「FinePix HS50EXR」

最近のデジカメの傾向のひとつとして、ズームの高倍率化が挙げられる。ここ半年の間だけでも、キヤノン「PowerShot SX50 HS」(光学50倍)、オリンパス「STYLUS SP-820UZ」(光学40倍)、ニコン「COOLPIX P520」(光学42倍)、ソニー「DSC-HX300」(光学50倍)など光学40倍以上のズームレンズを採用した製品が相次いで登場している。

中でも、昔から高倍率ズーム機に力を注いでいるメーカーが富士フイルムだ。同社は、今年に入って早くも3台の高倍率ズーム機をリリースした。光学40倍の「FinePix S8200」、光学50倍の「FinePix SL1000」、そして今回取り上げる光学42倍の「FinePix HS50EXR」である。

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FinePix HS50EXRには、ほかの高倍率ズーム機とは異なるひとつの特徴がある。ズーミングの操作を完全な手動で行えることだ。鏡胴部のズームリングを回すことで、24~1,000mm相当の間で、ズームのアップダウンを素早く切り替えられる。

こうした手動ズームは、動画撮影には向かないという弱点はあるものの、静止画撮影に限れば、一般的な電動ズームに比べて操作の素早さと正確さで勝っている。たとえば、ワイド側で風景の全体を撮影した後に、即座にズームアップして一部分を大きく捉えたり、狙いに応じた厳密なフレームサイズで人物をスナップするといったことがスムーズに行える。

鏡胴部にズームリングとフォーカスリングを装備。手ブレ補正は、従来モデルのCMOSシフト式からレンズシフト式に変更された

レンズの開放値はF2.8-5.6に対応。ズームをテレ側にすると、レンズが大きくせり出す

ズームリングの操作感は、重すぎず軽すぎない適度なトルクがあって、回しやすい。ただし、少々かさかさした印象もあり、欲をいえばもう少し滑らかさが欲しいところだ。ボディは、内蔵フラッシュ部が大きく突き出た一眼レフ風のカメラデザインを採用する。グリップは大きめでホールド感は良好。外装は樹脂素材で、グリップ部の表面にシボ処理を加えて手触りを高めている。

ズームのワイド側で撮影。絞り優先AE(F5.6 1/240秒) 露出補正:-0.6 ISO200 WB:オート 焦点距離:4.4mm(オリジナル画像を見る)

ズームのテレ側で撮影。絞り優先AE(F5.6 1/680秒) 露出補正:-0.6 ISO100 WB:オート 焦点距離:185mm(オリジナル画像を見る)

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