土曜夜9時といえば日本テレビ系列のドラマのゴールデンタイムである。90年代から2000年代、そして現在に至るまで、数多くの名作がこの時間帯から生み出されてきた。ちょっと調べてみたところ、この枠でドラマが放送され始めてもう40年近くたつらしい。枠自体がいまだ健在というだけでもすごいことだが、過去の人気シリーズの威光にすがることなく、今でもヒットを飛ばし続けているのがさらにすごい!
そんな歴代の土曜ドラマで、特に人気のあったシリーズはなんだろうか。アンケートをとってみたところ、面白い傾向が見えてきた。
まずは「90年代の日テレ系土曜9時ドラマの中で好きなものを教えてください」という質問に対する回答だ。
Q.90年代の日テレ系土曜9時ドラマの中で好きなものを教えてください
ダントツで人気なのが「金田一少年の事件簿」と「家なき子」である。両者とも20%以上の平均視聴率をたたき出していたお化けドラマなので、この結果は納得のいくものだ。特に安達祐実の「同情するなら金をくれ」は流行語にもなり、彼女には20年経った今も家なき子のイメージがついてまわっている。筆者の友人などはいまだに安達祐実を見るたび「あっ、家なき子!」と呼ぶ。さすがにやめたれよと思わなくもないが、そうはいっても瞬時にあのときの記憶がよみがえるのだから思い出とは恐ろしい。
続いて同じく20%前後の平均視聴率で人気だった「銀狼怪奇ファイル」が3位につけ、「サイコメトラーEIJI」「透明人間」が続く。ちなみに「銀狼怪奇ファイル」は「金田一少年の事件簿」とさほど放送期間が空いてなかった上に、それぞれ主演をKinKi Kidsの2人が務めたため、筆者の親はいまだに勘違いして堂本光一を"はじめちゃん"と呼んでいる。
……そんな与太話はさておき、こうして見ると「家なき子」をのぞいてすべてがジャニーズ主演であり、同時期に放送された1話、あるいは2話完結のサスペンス・ミステリー作品となっている。おそらくだが、「金田一少年の事件簿」を見ていた視聴者がそのままほかのドラマにうまく流れたのだろう。
さて、これを踏まえて2000年代以降についてのアンケートを見てみよう。
Q.2000年代以降の日テレ系土曜9時ドラマの中で好きなものを教えてください
圧倒的に人気なのはテレビドラマ史上に残るヒット作「ごくせん」である。続いて「金田一少年の事件簿」「野ブタ。をプロデュース」「マイ☆ボス マイ☆ヒーロー」「女王の教室」となっている。90年代に比べると明らかに学園物のヒット作が増えていることがわかるだろう。
この傾向は最近のドラマについてもいえることで、例えば13位に入った「悪夢ちゃん」は予知夢というちょっと珍しいテーマを扱った学園ファンタジーであり、タイトルのインパクトもさることながら、練りこまれたストーリーや古藤結衣子(悪夢ちゃん)を演じた子役の演技力、GACKTが演じた志岐貴の絶妙なキモさなどが冴え渡った秀作だった。2012年のドラマの中で唯一ランクインしていることからも、その人気と完成度の高さが窺える。
とはいえ、注目はやはり「金田一少年の事件簿」だろう。90年代に放送されたドラマの第3シリーズとなる作品で、主演は松本潤に変更となったが人気は相変わらずだ。これまでのアンケート結果でもわかる通り、「学園物+ミステリー+ジャニーズ」は最強の組み合わせであり、時代を超えても通用するということが証明されている(まぁ「金田一少年の事件簿」で学園が舞台にならないことの方が多いが)。もはや「金田一少年の事件簿」は世代を超えた国民的ドラマといっても過言ではない。1話完結型のミステリーなので、ストーリーがいくらでも作れるところも強みだ。
ちなみに「金田一少年の事件簿」の最新作は、2013年1月12日に放送されたばかりの「金田一少年の事件簿 香港九龍財宝殺人事件」である。新しい"はじめちゃん"は山田涼介(Hey! Say! JUMP)が演じており、第1シリーズから17年経っても変わらぬ面白さはさすがの一言。本当にこのシリーズは安定感がある。
最後に好きな主演俳優についての回答だ。
Q.日テレ系土曜9時ドラマの主人公の中で好きな人を教えてください
上の2つのアンケート結果を補強するような回答となっている。「ごくせん」の仲間由紀恵と「金田一少年の事件簿」第1シリーズの堂本剛がダントツで1、2位を獲得。それ以降は堂本光一(銀狼怪奇ファイル)、長瀬智也(マイ☆ボス マイ☆ヒーロー)、安達祐実(家なき子)、天海祐希(女王の教室)と、90年代と2000年代以降の主演俳優がバランスよくランクインしている。
テレビドラマの低迷がささやかれる昨今だが、日テレ系列土曜9時に関しては今後も期待が持てそうだ。
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