MSIは、Intel 8シリーズチップセット搭載マザーボードの開発用基板を、一部報道関係者や顧客に公開した。同製品は、同社が新チップセット搭載マザーボードの開発を進める上で、各機能や互換性などを検証するために利用している基板で、最終的な製品の設計や仕様とは異なるものだが、同社の次世代マザーボードの機能を知る上で、気になる部分も散見できた。

MSIがIntel 8シリーズ搭載マザーボードとして、報道関係者やパートナーに公開した試作基板

同開発基板は、ボード上のチップや部品との配線を確認しやすいよう、昔ながらの黄土色のレジストが採用され、基板上の一部チップには、金色のスプレーでチップの型番などが分からないように目隠しがされている部分もあった。同社関係者は、この基板設計が、次期高性能マザーボードのベースになるものであることを認めており、デュアルグラフィックス機能をサポートすることからも、搭載されているチップセットは、Intel 8シリーズで唯一、デュアルグラフィックス機能がサポートされるとされるIntel Z87を搭載したモデルと考えられる。

その基板には、そのあちこちに同社がIntel 8シリーズ搭載マザーボードにおいて、現行製品に搭載している機能の強化を打ち出していく考えであることが見て採れる。とくに、基板裏には金色のスプレーが吹きかけられた部分に「MILITARY CLASS 4」の文字を読み取ることができ、CPUの電源回路(VRM:Voltatge Reguration Module)まわりには、本来搭載されているべきPWMコントローラチップが搭載されておらず、PWMもヒートシンクで覆われていたことから、このあたりに何らかの強化が施されている可能性が高い。また、拡張スロットまわりには、大容量のコンデンサを多数搭載するオーディオコーデック用のレイアウトも見られ、新チップセットを採用するというだけでなく、そのほかの機能も大幅に強化する計画であることが伺える。

基板上には、さらに電源スイッチやリセットボタンが実装されており、その脇には同社の自動オーバークロック機能であるOC Genieボタン用のパターンなどが用意されていた。しかし、このOC Genieボタンの脇には「OC SWITCH1」と書かれた、OC設定切り換え用と思われるスイッチ用のパターンが設けられていたほか、「SW-TACT1」、「SW-TACT2」というボタン用のパターンも用意されていた。また、CPUコアやメモリコアなどに供給する電圧などを測定できるV-Check用のテスター端子、現行製品と同じ7ピン端子を採用しているが、基板上には合計14種類の電圧が測定できることを示すシルク印刷があり、この面でも機能強化が図られるものと見られる。

基板裏には、MILITARY CLASS 4の文字が

Serial ATAポートはすべて6Gbps対応。うち2ポートはオンボードのASmedia製コントローラに接続されていた

基板上には、金色のスプレーで型番を塗りつぶされたチップもあったが、あまり大した意味はなさそうだった。写真のチップはNuvotonのスーパーI/OチップNCT6776D

MILITARY CLASS 4を謳うこともあり、VRMまわりは強化が施されている可能性が高く、肝となるPWMコントローラは未搭載のままだった

I/0パネルまわり。HDMI×2とDisplayPortの3系統出力をサポートする

V-Check用のテスター端子、現行製品と同じ7ピン端子を採用しているが、基板上には合計14種類の電圧が測定できることを示すシルク印刷が

Multi-BIOSスイッチ用のパターンも用意

OC Genie用ボタンなどのパターンも用意され、機能面でもかなり強化される印象を与える。また、PCI Express x16スロットの間には、mSATA端子用のパターンも見受けられた

ただし、このIntel 8シリーズ搭載マザーボードとされる試作基板で、金色のスプレーでマスクしたチップは、PCI Expressのスイッチチップだったり、NuvotonのスーパーI/OチップNCT6776Dだったりと、まったく隠す必要のないチップだということもあり、プレス関係者の中にはCeBIT用に作った「ダミー説」を唱えるものもおり、この基板設計が最終的な製品に採用されるか否かは、Intel 8シリーズチップセットの正式発表を待つしかなさそうだ。

近日登場予定の新ゲーミングマザーも

なお、MSIはCeBIT 2013にあわせて、同社の新しいゲーミングマザーボードを公開。そのフラグシップモデルとなる「Z77A-GD65 Gaming」は、Intel Z77チップセットを搭載し、イーサネットコントローラにはネットワークの遅延を低減するとされるKiller E2200を、サウンド機能にはSound Blaster Cinemaを採用するなど、ゲーマー好みの設計を施しており、近日市場投入される見通しだ。

MSIの新しいゲーミングマザーボード「Z77A-GD65 Gaming」

Z77A-GD65 GamingのI/Oパネル。ディスプレイ出力はHDMIとDVI、Dsub 15ピンの3系統を備え、USB 3.0ポート×2、USB 2.0×4などを備える

イーサネットコントローラにはネットワークの遅延を低減するとされるKiller E2200を、サウンド機能にはSound Blaster Cinemaを採用

2種類のBIOSをスイッチ一つで切り換えられる「Multi-BIOSスイッチ」を搭載。ゲームやオーバークロック用途に別のBIOS設定を用意しておくことができる

SATAポートは8基用意され、うち4基をSATA 6Gbps対応とする。このうち2基はオンボードのASMedia製コントローラに接続される。また、フロントUSB 3.0用コネクタもSATAポート脇に搭載される

V-Check用のテスター端子やOC Genie IIボタンも搭載する

同シリーズは、ドラゴンをモチーフにしており、VRMのヒートシンクやチップセットのヒートシンク、パッケージにもドラゴンがあしらわれる