説明書を読まなくても使い方がわかるのが、iPhoneの魅力であり強みです。しかし、知っているつもりが正しく理解していないこともあるはず。このコーナーでは、そんな「いまさら聞けないiPhoneのなぜ」をわかりやすく解説します。今回は、「カッターでiPhoneの画面にキズはつく?」という質問に答えます。

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iPhoneの液晶画面はガラス製ですが、強化ガラスが採用されているため、そうかんたんにはキズつきません。しかし、同等以上の硬さを持つ物質に接触すると、その部分はキズになります。

iPhone 5に採用されているガラスの詳細は公表されていませんが、初代以来iPhoneには米コーニング社によって開発された化学強化ガラス「ゴリラガラス」が採用されています。最新のiPhone 5では、画面が4インチに拡大されながらも112グラムという軽さを実現したことから、強度を維持しつつ約20%の軽量化を進めた「ゴリラガラス2」が採用されているのでは、と推測されています(正式発表はありません)。

素材にアルカリアルミノ珪酸塩を利用した化学強化ガラスの硬さはプラスチックの数十倍とされ、ビッカース硬度(単位はHv、値が大きいほど硬い)は600~800程度と言われています。

日本の硬貨と比較すると、1円玉の主材料であるアルミニウムがHv45、5円玉の黄銅がHv150、10円玉の青銅がHv130、50円/100円/500円の白銅がHv160~170ですから、それを大きく上回るiPhoneのゴリラガラスは硬貨で擦ってもキズがつかない、ということになります。小銭が入ったポケットにiPhoneを入れていてもガラスにキズがつかない理由はこれです。

しかし、ビッカース硬度がHv850といわれるカッターナイフの刃(刃物用炭素工具鋼)は、ゴリラガラスと同等かそれ以上です。iPhoneのガラスをカッターで擦れば、すぐに割れることはないとしても、キズがつくと考えられます。そのようなことを好んでするとは考えにくいのですが、iPhoneをキレイな状態で長く使おうと思えばカッターで擦るのはやめましょう。ちなみに、セラミックはカッターよりはるかに硬いHv1500~2000ですから、割れた陶器のかけらにも要注意です。

写真で解説

iPhone/iPadの液晶パネルには、硬貨より強度がある化学強化ガラスが採用されています。実際に100円玉で擦ってみましたが、画面にキズはつきませんでした