静岡県の茶葉の生産量は不動の全国1位。そんな静岡には、なんとお茶を使ったコーラ「しずおかコーラ」がある。製造元の木村飲料はほかにも「明日葉」や「焼き芋」を使ったユニーク飲料を製造しているという。そのアイデアは社長の「和食に合うコーラがほしい」だった。

創業者の木村伊三郎氏は、終戦から2年後の1947(昭和22)年に清涼飲料水の製造を開始。1953(昭和28)年に木村飲料が株式会社が発足した。以来、同社は60年にわたってソフトドリンクを作り続けている。設立当時の主力商品はビー玉が入ったラムネ。現在もデザインは変わったものの、昔ながらのビー玉入りラムネを作り続けている。

「しずおかコーラ」はモンドセレクション金賞!

「しずおかコーラ」240ml 1ケース(20本)4,000円

そんな木村飲料の現在の主力商品は、静岡の地サイダーや地コーラだ。特に2010年5月10日に発売されたお茶のコーラ「しずおかコーラ」が話題となり、2011年、2012年モンドセレクション金賞を受賞した。お茶とコーラ、合うような、そうでもないような……。一体なぜ、お茶をコーラにしようと思ったのだろうか。

木村飲料に聞いたところ、アイデアのきっかけは社長の子供だったという。ソフトドリンクが大好きで、特にコーラが大好きとのこと。しかし、和食の店で黒いコーラは料理に似合わない。そこで「和食に合う色のコーラはできないか。和食といえばお茶。そうだ、お茶のコーラを作ろう」とひらめいた。

しかし問題は、お茶の風味とコーラの味とのバランスだった。どちらか一方の味が強すぎては商品として成り立たない。「お茶」と「コーラ」の両方を、程よく感じられる配合にたどり着くまで、とことん試行錯誤を繰り返した。そんな苦労が実り、爽やかなお茶風味を実現。「お茶とコーラなんて……と思ったらすごくおいしい」「意外性がありすぎる」と評判になったという。奇をてらうだけではなく、ちゃんとおいしい飲み物を作ったからこそ同社の主力商品になれたのだろう。

「あした葉のジョー・コーラ」240mlボトル 1ケース(20本)4,000円

定番商品の「しずおかサイダー」に加えて「しずおかコーラ」がヒットし、「ご当地飲料」として注目された。そこで同社は新たなご当地飲料の開発に着手。その1つとして、またもや意外な素材にチャレンジ。

2012年7月に、伊豆大島の特産「明日葉」を使ったコーラが誕生した。その名も「あした葉のジョー・コーラ」としゃれっ気たっぷりだ。生命力があり、健康食品としても重用される明日葉だけに、栄養ドリンク風味になっている。中身は薄い黄色で、明日葉由来のポリフェノールを100mg配合したという。

明日葉を使った「元気が出るコーラ」を作ろうというアイデアだが、明日葉は苦味が強く、コーラと味を調和させるため「しずおかコーラ」以上に苦心したという。今では「きっと苦いと思ったら飲みやすい」「名前が面白いから買ったけど、これはアリ」と好評を得ているとのこと。

「芋サイダー 伊三郎」250ml 1ケース(20本)5,000円

「芋サイダー 伊三郎」は、焼き芋風味のサイダー。商品名は、同社の創業者である木村伊三郎氏にちなんでいる。発案は3代目となる現社長。幼い頃、お手伝いのお駄賃代わりにもらった祖父が焼いてくれた焼き芋の味でサイダーを作ろうと思い立ったそうだ。香料を工夫し、焼き芋の香ばしさも再現。「飲む前から焼き芋の風味がたってしまっては面白くない」というこだわりで、飲んでいるうちに焼き芋風味をほのかに感じるような配合になっているという。

珍しさやデザート感覚で売れているそうだが、ストレートではなく、芋焼酎と割った芋ハイボールもオススメとのこと。ソフトドリンクというより高級焼酎のようなボトルデザインは「お酒をらっぱ飲みしてるみたいで面白いじゃない」という社長の意向が反映されているのだとか。

木村飲料にはほかにも、「富士山コーラ」「WASABIジンジャーエール」などのユニーク飲料を製造している。これらは同社の通販サイトからケース単位で購入可能だ。静岡の高速道路ではサービスエリアでも1本売りしているのでお土産にもぴったり。夏のソフトドリンクシーズンになると、静岡県内のスーパーなどにも出まわるとのこと。