【レポート】

クリエイティブの力を伝えるイベント「eAT KANAZAWA 2013」密着レポート【1】

1月25日、26日の2日間、石川県金沢市が主催するデジタルメディアイベント「eAT KANAZAWA 2013」(イート・カナザワ、以下eAT)が、今年も錚々たるゲストと多数の参加者を迎えて開催された。eAT開催は今回で17回目。今となってはテクノロジーとアートと標榜するにふさわしい、しっかりとした実のある国内イベントはほとんど見当たらなくなってしまったが、その意味ではおそらく最古参のひとつがこのeAT(eATはエレクトロニック・アート・タレントの略)であり、これはその密着レポートである。

クリエイティブ産業を担う地元の若手人材の育成を目指し、1997年に金沢市が起ち上げたeATは、実行委員会委員長・中島信也氏がいう「時代の変化に呼応するようこれまでも変容を繰り返し今日に至っている」という言葉のとおり、その長い歴史にこだわることなく新たな価値を創造するという点において、毎年さまざまな趣向が凝らされてきた。そして今回も、市の文化事業として続けていくための価値をぶらさず、しかしその価値を最大化させるための工夫が随所に見られた。主催者側の意図するところは、より多くの若者が参加しやすく、これまでと変わりない新しい刺激という糧を一粒でも多く持ち帰ってもらうための施策だという。

そして今回のeATのテーマは「B+ 常識を超えろ」。最先端の技術や独自の表現を「ビジネス」に結びつけているイノベーターと、明日のイノベーションを目指す若手クリエイターが「B+eAT」について考える2日間となった。

Creative Presentation

初日夕方から金沢市文化ホールで開催されたのは、若手ベンチャーによるクリエイティブ・プレゼンテーション・コンテスト。東京、大阪、札幌、そして地元金沢から集まった6名のスタートアップベンチャーたちが、ビジネスプランやそのサービス内容を各8分の持ち時間でプレゼンテーションをし、それに対するアドバイス・評価をゲスト審査員が行うという趣向だ。

また、ゲスト審査員には石川県のものづくり産業に貢献しているeAT実行委員会メンバーのほか、濱田厚史金沢市副市長、昨年のeAT総合プロデューサー・菱川勢一氏ら30名ほどが務め、審査員の持つ各2票の得票数によってMVPが選ばれた。

■コンテストにエントリーしたプレゼンターと提案したサービス

ARTMIXTURE 代表取締役社長の松尾雅由氏
WebDon(ウェブドン)

金沢大学大学院 自然科学研究科電子情報工学科の小野祐貴氏
石川バスビュワー

Connehito 代表取締役社長の大湯俊介氏
Creatty

スリランカテキスタイルプロジェクト 代表の杉原悠太氏
スリランカテキスタイルプロジェクト

TAKAGISM 代表の高木敏光氏
3D陶芸で遊ぶ

Mシェアウィズ 代表取締役社長の辻川友紀氏
ShareWis

昨年行われた「金沢クリエイティブベンチャーコンテスト2012」で最優秀賞を受賞した「WebDon」や「石川バスビュワー」をはじめ、すでにサービスをビジネスとして展開している各プレゼンターに対し、審査員からは「ビジネス視点」での鋭い質問や意見が上がった。そんな中、唯一、ビジネス視点や事業展開といった話からはほど遠かった高木氏の「3D陶芸で遊ぶ」がMVPに選ばれた。

「3D陶芸で遊ぶ」は、「Blender」というオープンソースの3Dソフトを使ったワークショップのススメ。実際に開催してみると、これが意外な層(お年寄り)に意外にウケて、ある意味想像を超える創作が生まれ、教える方も学ぶ方も夢中になれる。手軽に行えるワークショップなので、デジタルの手作り感を多くの皆さんに味わってもらいたい、というプレゼンテーションだった。70歳を超える高齢者が教わったとおりに作った3Dキャラクター、教わったとおりではないアレンジを加えたが3Dキャラクターが一緒に動くアニメが会場を和ませた。また、コツコツと作りあげるイメージが陶芸に重なりこのタイトルになったようで、事業化の予定はないものの、要望があれば少年少女にも教えにいきたいなど、パソコンさえあれば誰でも「楽しめる、面白い」ことが十分審査員へ伝わっていた。

敢闘賞には「ShareWis」の辻川氏、「Creatty」の大湯氏が選ばれた。東北新社専務取締役の中島信也実行委員長は総評で、「(B+という意味では)間違いなく審査員の審査は割れていたと思うが、2票ある票のうち、2番目に投じられた票が結果として高木さんに集まったのは確かだろう。ビジネスだけじゃない、どこかeATらしい『素直に面白いな』と心で感じられるものがあったと思う。一方で、エレクトロニックやテクノロジーという意味ではそれぞれがクオリティの高い、いいアイデアとプレゼンテーションだった」と、eAT初めての試みになったプレゼンテーションコンテストをまとめた。

(取材:Mac Fan/小林正明、岡謙治)

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