日本アイ・ビー・エム株式会社 システム製品事業 PureSystems事業部 事業推進 システムズ&テクノロジー・エバンジェリスト 柴田直樹氏

VMwareなどを導入して、仮想化環境を構築する企業は多い。しかし、仮想化でサーバー統合は行えたが、さらなるリソースの効率運用を見据えたクラウド化に進めていない企業が少なくないというのが実情だ。「仮想化のその先にあるIT基盤のクラウド化を実現出来れば、さらなるITコスト削減や柔軟なシステム運用など、さらに多くのメリットが得られる」と、システム製品事業・PureSystems事業部・事業推進・システムズ&テクノロジー・エバンジェリストの柴田直樹氏はクラウド構築のメリットを説明する。

そこで日本IBMでは、クラウド・コンピューティングの実現に向かう3つのステップを定義。「『仮想化』に加えて、ワークロードをカタログ化してリソースプールに展開する『標準化』、サーバー環境の利用申請から提供までを自動化してスピードアップを図る『自動化』というクラウド化へのステップをいかに早急に実現出来るかが重要」と柴田氏は語る。

「例えば、リソースのプール化へ進むフェーズではサーバー調達の予算のサイロ化によってプール化そのものが難しいケースも出てくる。仮想化のその先のクラウドを実現するためには、こういった問題と技術面での課題を同時に解決する大幅なコスト削減も踏まえた新たな提案が必要になる」(柴田氏)

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クラウド構築を支援する「IBM PureSystems」が登場

これらの条件を満たし、クラウド・コンピューティング構築を支援するシステム製品として、同社は「IBM PureSystems」を提供している。ハードウェアには、次世代の仮想化基盤を想定して設計されたブレード型サーバー「IBM Flex System」を採用した。「IBM PureSystemsは、企業の仮想化基盤を支えるために、当社がこれまで培ってきた知見を余すことなく取り入れている」と柴田氏は語る。

管理アプライアンスには、コンピュート・ノード、ストレージ、ネットワークの物理リソースと仮想リソースを統合管理する「IBM Flex System Manager」を搭載。すべてのデバイスが仮想化され監視項目が増大した仮想化基盤の管理もスムーズに行える様にハードウェアや管理ツールを専用設計提供するなど、ここにも大規模仮想化基盤構築で培ったIBMの知見が多く搭載されている。

VMware との高い親和性を持つ

IBM PureSystemsの最も大きな特長となっているのが、サーバーやストレージ、ネットワーク、仮想化環境などをあらかじめ統合する「垂直統合システム」によって生み出された点だ。これらが、実装され組上げ済みの状態で納品され、ユーザー企業は構築の手間は無く本来のアプリケーションの実装などの作業に専念できる。

ただし、一言で「垂直統合システム」と言っても、「IBMだけで、すべて閉じた世界となっている訳ではない」と柴田氏は強調する。同社の「IBM PureFlex System」は 主要なハイパーバイザーをサポートし、特に現在使い慣れたVMware vSphareがそのまま利用できる。「使い慣れたVMwareの管理スタックも併用できるので、すでに仮想化環境を構築したお客様にとって、導入への敷居が低い」と柴田氏は語る。

例えば、IBM Flex System ManagerとVMware社の管理スタックであるvCenterのインタフェースを併用可能だ。「必要に応じて使い慣れたツールを使い分けることにより通常運用時である仮想環境の運用・管理のコスト削減を実現出来るようになる」(柴田氏)。つまり、IBMの統合された管理ツールとvCenterを都合に応じて使い慣れたツールを併用することで、効率の良い管理が実現できる。「日常の管理をしっかり行うことで、結果的にITコストの削減につながる」と柴田氏の期待は大きい。

顧客の環境に合わせて、ITコストの可視化サービスを提供

同社では、ユーザー企業のさらなるITコスト削減を支援するため、ITコストの可視化サービスも用意している。ヒアリングシートに自社のIT環境の現状を書き込むと、同社による分析結果が報告書として提供される。

この報告書には、「現在のIT環境で仮想化したケース」や「IBM Flex Systemで仮想化したケース」などのTCOが試算されている。ハードウェアの初期投資費用や運用コスト、さらに減価償却時期などのシミュレーション結果が一目瞭然となり、仮想化基盤を導入する際に大きな判断材料となる。

この可視化サービスについて柴田氏は「せっかく仮想化環境を構築しても、ITコストの削減に結び付けられなければ意味がない。お客様の中には、単に物理サーバーの数を減らして、仮想化環境へ集約するだけで満足してしまうケースもある。そこで当社では、お客様の本当のニーズに合わせた仮想化基盤を導入していただくため、可視化サービスを提供している」と説明する。

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このように日本IBMは、IBM PureSystemsとVMwareの連携、ITコストの可視化サービスなどによって、ユーザー企業のITコスト削減という課題に真っ向から取り組んでいる。同社が提供するIBM PureSystemsの詳細、そして高い親和性を持つVMwareとの連携については、2月15日に開催されるマイナビニュース仮想化セミナー『【Day3】仮想化統合のその先へ ~VMwareと垂直統合基盤で「変化」に強い基盤を創る~』で詳しく紹介される予定だ。仮想化環境をすでに構築・運用している企業はもちろんのこと、これからVMwareを導入する企業にとっても、必聴のセミナーになることは間違いない。