仕事人間ではなく、仕事と私生活の調和をとる「ワーク・ライフ・バランス」。こと、労働時間が長いといわれる、われわれ日本人には重要な問題だ。推進すべきとわかっていても、ライフのバランスに比重が重くなることを恐れる経営者や管理層もいるかもしれない。

それでも、OpenForumの記事「ワーク・ライフ・バランスを奨励する5つの理由(原題 : 5 Reasons to Encourage a Work-Life Balance)」を読めば、奨励する必要性が理解できるのではないだろうか? 記事は以下のように指摘している。

1. デキル社員を維持できる

優秀な人ほど、最高の環境で働きたいと思っている。つまり、良い環境を提供すれば、優秀な人がついてくるということだ。

労働・人事コンサルのLynda Zugec氏は、「ワーク・ライフ・バランスの点で"社員が働きたい企業"と認識されるようになれば、優秀な人を獲得・維持できる大きな差別化につながる」と述べている。当たり前のことだが、自分の職場に肯定的な意見を持つ社員は、前向きな社風を強化してくれる。会社への好感が高まるほどコミットは強くなり、顧客や企業のニーズに柔軟に応じられるようになる、とZugec氏。

2. 社員のクリエイティブ性がアップ

新しい発想や革新的なアイディアには、外からの刺激が不可欠だ。会社にいる時間が長く、外から吸収するチャンスが少なくなると、社員から新鮮なアイディアは生まれにくくなる。

社外や異業種の人との交わり、読書などの文化活動といった仕事に直接関係ない活動は、発想へのエンジンになる。社員が"外気"を取り入れない企業は、マンネリ化して停滞気味になりやすいといえるかもしれない。

3. 体も心も健康に

適度な休みがあれば体も心も健康になる。ストレスの多い職場で長時間働くことは、従業員の健康状態に悪い影響を与える。心筋梗塞などの静脈系の病気につながるリスクも高い。睡眠を充分にとらない状態では、仕事がはかどらないばかりか、重要なミスにつながる可能性も高くなりそうだ。

4. 燃え尽き症候群を回避

常にリフレッシュしている社員なら、燃え尽き症候群とは無縁のはず。

Webデザイン業のCoalition Technologiesの創業者兼CEOのJoel Gross氏は、「車だって、ピーク状態で24時間365日走らせることはしないだろう。車も休ませなければならない」と述べる。車に給油、メンテナンスが必要なのと同じ。「PCの前に座っていても、休憩や気分転換が必要」とGross氏。

同氏の会社では、9時始業ではないので子どもを学校に連れて行ったり、あと1時間多く眠ることができるという。昼休みもきっちり1時間、社外でとることを奨励しているのだそう。

5. 長期的ビジョンを

ワーク・ライフ・バランスの重要性を認めて奨励することは、社員にとってメリットがあるだけではない。自社にとってもよいことだ。優秀な人材を引きつけ、心身を良好な状態に保って力を充分に発揮してもらう。これは会社や組織にとって大きなメリットを生むし、長期的なビジョンを描きやすくなる。