12月19日、「仮想化・クラウド環境から考えるBCP対策とは」と題したセミナーが開催された。仮想化やクラウドコンピューティングによってITの可能性は大幅に広がったものの、新たな課題も生まれている。各種課題にどう対応すべきか、効率的な活用にはどのようなソリューションが有効なのかについて語られた。

最初に登壇したのは、リバーベッドテクノロジー代表取締役社長のティム・グッドウィン氏だ。「ビジネスを「加速化」させる! リバーベッドソリューション」と題した講演では、「リバーベッドテクノロジーは世界36カ国に展開し、ビジネスをどんどん拡大している。フォーチュン500のうち9割くらいがユーザーだ。これからのITインフラになくてはならない基盤製品となることを考えて製品開発を行っているが、特にクラウド環境や仮想環境を支えるようなものを揃えている」とリバーベッドテクノロジーについて紹介した。

リバーベッドテクノロジー代表取締役社長 ティム・グッドウィン氏

日本は高速なインターネット接続が普及しており、さらに利用料金が安価だという特徴がある。特に高速化をはからなくとも十分な速度が出ているというイメージがある。これはWAN内に関しても同じだ。しかしスマートフォンの台頭などで通信量が急増する中、安定的にインフラを活用するためには対策が必要だという。

「WAN高速化を行うという話ではない。スマートフォンなどの登場で、WAN越しのトラフィックが爆発的に増加している。LAN内はしっかりしている、クラウド基盤はきちんと保障されている状態でも、その間にあるWANは誰も保障できない。そうしたなか、リバーベッドテクノロジーがWANの可用性および保障性を提供する。これはクラウドや仮想化環境にも不可欠なものだ」とグッドウィン氏は語った。

続いて「仮想化・クラウド環境下でのパフォーマンス最適化NWソリューションと最新テクノロジー」と題して具体的なソリューションについて語ったのはリバーベッドテクノロジー セールスマネージャーである伊藤信氏だ。

リバーベッドテクノロジー セールスマネージャー 伊藤信氏

「ネットワークを利用してビジネスを行うことが増えたため、オフィスや外出先から必要な時には高速に、確実にアクセスできなくては困るという需要がある。遠隔地にあるデータセンターへのアクセスも高速でなければならず、パフォーマンスの確保は重要だ。また制御とROIも重視される。WAN高速化というだけならばほかにも製品はあるが、リバーベッドテクノロジーはパフォーマンスという観点から製品を増強しており、非常に高い性能を持っている」と伊藤氏は語った。

リバーベッドテクノロジーが仮想・クラウド環境に有効なものとして提供しているの「Stingray」と「Steelhead」だ。WAN高速化に有用なソリューションであり、ビジネス上でのアプリケーション利用を快適かつ確実なものにするために有効だが、DRのスピード改善にも貢献できる。

WAN高速化をはかる製品の多くは、契約回線スピードの上限を目指すものだ。しかしリバーベッドテクノロジーの場合、契約回線スピードの上限を大きく超えた速度を目指す。伝送データの重複排除とLayer7(アプリケーション)最適化により、理論上は契約回線スピードの100倍の高速化も可能だという。また、トランスポートストリームライニングによりTCPオーバヘッドが、アプリケーションストリームライニングによりサーバ/クライアント間の応答時間が、60-98%削減可能だという。

リバーベッドテクノロジーのWAN高速化

データストリームライニングによる帯域の最適化

トランスポートストリームライニングによるTCPオーバヘッド削減

アプリケーションストリームライニングによるサーバ/クライアント間応答時間削減

「クラウド環境における企業のBCP(事業継続性)/DR(災害復旧)の変化と対策」と題してネットマークス マーケティング部 第二マーケティング室 室長である高木経夫氏の講演も行われた。事業継続のためのDRは、単純に遠隔地にデータのバックアップを持つだけでは意味がない。より現実的に活用できるDRを用意するための課題と、その解決について高木氏は語った。

事業継続計画におけるITインフラ運用の課題

ネットマークス マーケティング部 第二マーケティング室 室長 高木経夫氏

「DRではプライマリデータセンターとセカンダリデータセンターでのデータ同期が重要。セカンダリデータセンターにデータがなければ、いくらDRでセカンダリデータセンターを起こしても無意味になる。毎分毎秒といっていいくらい更新されるデータを、セカンダリデータセンターにおいても同期を保つということが非常に厳しいことだがこれが重要になる」と高木氏。

データをバックアップし、リストアするのではDRとして意味がない。リストアにかかる時間や手間は、事業継続の障害になる。しかしレプリケーションを実現しようとすると回線維持コストが膨大になることが問題だった。そのコストを抑えるために重要度の低いデータをレプリケーション対象から外すという手法もある。しかしリバーヘッドテクノロジーの技術を利用すれば、重複除外とキャッシュ技術を利用することで送信量を抑えながら多くのデータをレプリケーション対象とできるなど、コストを抑えながらのDRが実現できるという。

DR運用コストを削減するWAN最適化技術

これにネットマークスの提供するストレージDR運用支援サービスを組み合わせることで、実際に活用できるDRが誕生する。プライマリデータセンターと離れた場所にセカンダリデータセンターを設けなければ罹災リスクを減らすことはできないが、あまりに遠隔地である場合はセカンダリデータセンター運用のための人員を用意することなども難しくなる。しかし、支援サービスを利用すればそうした問題も解決されるというわけだ。

ネットマークスのストレージDR運用支援サービス

最後に「仮想環境下で実現するADC/L7ロードバランサのご紹介」と題したネットマークス ソリューション開発部の屋良旦氏による講演が行われた。ここではリバーベッドテクノロジーが提供する「Stingray Traffic Manager」の機能と、それを活用した事例が紹介された。

ネットマークス ソリューション開発部 屋良旦氏

一般的なロードバランサーは、トラフィック分散やサービス冗長化を目的として導入されるが、オンラインサービス事業者等にとって必須となるものだ。これを仮想化することで、多くの課題が解決できるという。

「仮想サーバと物理ロードバランサーを組み合わせた環境では、ロードバランサーがハードウェアであるため調達/構築に時間がかかる上、システム拡張時のコストも高くなってしまう。障害が発生すれば機器交換が必須。これを仮想化することで調達/構築時間が短縮され、システム拡張も低コストで容易に行えるようになる。機器障害も発生しない。さらに利用時間/トラフィック量等をベースにした月額課金で利用したいというニーズにも応えられる」と屋良氏は語った。

仮想ロードバランサー環境のメリット

BCPの場合、普段は利用していないセカンダリデータセンターにもロードバランサーを設置する必要がある。この時、物理ロードバランサーを採用する場合、普段利用されないものに対する投資を行わなければならず、遠隔地であるために設置やメンテナンスも難しいという課題が発生する。これらが仮想化により解決可能だ。また利用量に見合った月額課金制のサービスならば、セカンダリデータセンターが使われない間は課金が発生しないということになる。つまり、仮想ロードバランサーDRの要求に対応できるものだということになる。

「Stingray Traffic Manager」は直感的なインタフェースを持ち、設定も簡単に行えるという特徴がある。最短3ステップで稼働を開始させることも可能だ。また利用状況のレポーティング機能もある。機能的にはレイヤー7ロードバランシング、クラスター構成、セッション維持、SSLアクセラレーション、バックエンドサーバの死活監視といった部分がポイントとなる。

十分な機能を持ったロードバランサーを、短いリードタイムで初期投資を抑えながら導入でき、柔軟なスケールアップ/スケールアウトが可能だ。またハイパーバイザーを選ばないため、運用コストの低減も実現できるという。