スマートフォンにおけるコミュニケーション分野で今もっとも成功をおさめているアプリといえば、何といってもLINEだろう。1月18日にはついにユーザー数が1億人を突破し、今年はいよいよFacebookのお膝元とも言える欧米市場に本格進出する予定だという。

なぜLINEは短期間でここまで成長することができたのか。LINEの歩みを振り返りつつ、ヒットの理由を分析していこう。

LINEユーザーは1億人に

LINEは先行者ではなかった

ウェブ業界、特にSNSなどのコミュニケーション分野は、他と比べて特に"先行者利益"の大きい市場である。いったんSNSの中で人間関係が構築されると、それを白紙に戻してまで他のSNSにユーザーが移動することはめったにないからだ。もちろん絶対に逆転がないわけではなく、しかるべき理由があればユーザーの大移動は起こりうる。しかし、基本的には一度定着したユーザーを獲得するのは非常に困難であるといっていいだろう。

ではLINEはスマートフォンにおけるコミュニケーション分野の先行者だったのか? そんなことはない。むしろLINEは後発のサービスであった。

LINEのように無料通話やチャットをうたうサービスは「Voice over Internet Protocol」、通称「VoIP」と呼ばれている(チャットはVoIPではないが、最近のVoIPアプリの必須機能になっているのでここでは一緒くたにして語ることにする)。

最近になってLINEに似たアプリが各社から続々リリースされ始めているが、LINE以前にも「Viber」や「カカオトーク」、「Skype」など様々なアプリがすでに存在していた。特にSkypeはスマホが流行る前の時代からPCで圧倒的なシェアを誇っていたソフトであり、無料通話といえばSkypeを思い浮かべるユーザーも多いだろう。

そんな中で2011年6月にリリースされたLINEは、かなり遅れて参入してきた新参者だったのだ。

ではなぜLINEが一気に巻き返したのか。一言でいえば、リリース元であるNHN Japanのマーケティングとプロモーション戦略が非常に巧みだったからである。

なぜSkypeはスマホユーザーに浸透しなかったのか

前述したように、スマホにおけるVoIP業界にはいくつかの有力なアプリがあった。一見すると、この業界は限りなく競合の多いレッドオーシャン化しているように思える。しかし、実はそうではなく、VoIPアプリは一般のスマホユーザーにはまったく知られていない存在だったのである。

そんなバカな、Skypeは有名だろう。……そんな風に思うのは、あなたがPCやガジェットにある程度精通したユーザーだからだ。