グラフィックデザイナーやCADデザイナーをはじめ、コンピューターを業務用途で酷使する業界は多い。そのようなシーンでは圧倒的にワークステーションが使われる。プロユースに対応するワークステーションは多いが、モバイルが可能なノート型コンピューターとなると選択肢は一気に少なくなるのが現状だ。
今回紹介するマウスコンピューターのクリエイター向けノートPC「m-Book P5300」シリーズは、そんなニーズにマッチする製品になる。早速、その実力の程をレビューしてみよう。
■試用機の主な仕様 [製品名] m-Book P5300シリーズ [CPU] Intel Core i7-3610QM(2.3GHz) [チップセット] Mobile Intel HM77 Express [メモリ] 8GB(DDR3-12800)GB [ストレージ] 約500GB SATA HDD [光学ドライブ] DVDスーパーマルチドライブ [グラフィックス] NVIDIA Quadro K3000M [ディスプレイ] 15.6型ワイド液晶(1,920×1,080ドット) [OS] Windows 7 Ultimate 64bit版 ※開発サンプル機であるため、実際の製品とはスペックが一部異なることがあります
モバイルできるクリエイター向けPC
筆者はライターという商売柄、誌面のレイアウトデザインやWebコンテンツのコーディングなど、いわゆるクリエイティブな業務が常に身近にある。そんな写真や画像を大量に扱う作業に欠かせないのは高性能なコンピューターだ。
レイヤーを多重に置いて良い絵を作ったり、取り込んだ写真をWeb用に最適化させて動かしてみたりと、コンピューターに負荷をかけ続ける作業が多い。通常ならそんな作業は事務所のデスクに置かれたワークステーションがやってくれ、筐体が大きくとも仕事用と割り切れば何の問題も無い。だが、困るのはデータを得意先に持ち込む場合だ。
時間があれば、顧客の要望を持ち帰り、何度かやり取りを重ねてより良い制作物を作ることもできるが、短納期の案件では修正もその場で即座にやらなければならない。そんな時に「もし、顧客先で操作できるマシンがあれば……」などと思うこともしばしばなのだ。
例えば、日常でよく使うソフトウェアなどの環境が整ったノートPCにデータを入れておき、顧客先で注文を聞いてその場で微修正する。あるいは、出来上がった絵をプロジェクタに投影して、複数名でアイデアを出し合いながら品質を高めていくなどといった使い方ができれば、効率はずいぶんと良くなる。要するに、いつものワークスペースをそのままモバイルできれば、仕事をスムーズに進められる場合もあるというわけだ。
さらに、こうした例は我々のような業界だけに留まるものではない。3DCGデザイナー、CADオペレーター、映像制作、映像編集等々、コンピューターの能力が仕事の効率と直結している業種はたくさんある上、更なる効率化としてモバイルできる高性能マシンを求めているケースは多いのだ。
業務用途に使えるグラフィックス製品はいくつかある。NVIDIA Quadroもそのひとつで、クリエイター向けに数々の高機能を提供してくれているグラフィックスカードだ。今回はこのカードと、インテル製Core i7 CPUを搭載した、マウスコンピューターのクリエイター向けノートPC「m-Book P5300シリーズ」を紹介しよう。
なお、ここでいう高性能マシンとは、いわゆるコンシューマー向けのゲーミングマシンとは少し趣が違う。マルチスレッドCPU、大容量メモリなどはもちろん、特にグラフィックス性能は3D描画能力だけではなく、レンダリングやエフェクト処理などを行う能力に優れたものが必要だ。
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