就活、婚活……どうやら私たちはなんでも「目標」を見いだし「活動」する傾向にあるようだ。だが、目標があなた自身の幸せにはつながらないとコンサルタントが警告している。

「目標を捨てよ」と奨励するDump Little Manの記事「なぜ目標を捨てて目標ナシで生きることが必要なのか、5つの理由(5 Reasons Why You Should Give Up Your Goals and Live Goal-Free)」を読んでみたい。

「目標はなくても、がよい」、あるいはない方がよい。コンサルタントのHenri Junttila氏が、多数のクライアントから得た結論だ。なぜなのか、さっそくみてみよう。

Junttila氏の5つの理由は、以下の5つだ

  1. 解放される
  2. オープンになる
  3. 本心に気がつく
  4. ゆっくり
  5. いまを生きる

たとえば年収1000万円を目指す、昇進する、結婚する、TOEICで700点をとるなどの目標を掲げたとしよう。

目標を持ったひとはそれを達成することに必死になる。だが、年収1000万円、昇進、結婚、TOEIC700点を達成した後、あなたが幸せになるかというとそうではない。結婚は幸せになるのではという声がありそうだが、「好きだから結婚する」のと「結婚したいから結婚する」のとではちょっと結果が異なりそうだ。

Junttila氏は目標の問題点として、「目標を到達したとしても、次から次に新しいことや別のものを得たくなる」と指摘する。「自分自身ではなく、外のものから幸せを感じる必要があると思わせる--これが目標の問題だ」(Junttila氏)。

目標のもうひとつの弊害が、柔軟性がなくなることだ。目標を作ると、多くの人は実行のために計画を立てる。だが、計画通りにいかないことは多い。あなた自身が原因ならまだしも、自然災害、財務危機、通勤電車、会社、家族……様々なことがあなたの緻密な計画に想定外の事態をもたらす可能性がある。目標と計画にこだわらずに、人生の流れにまかせてもよさそうだ。もちろん、流れは必ずしもあなたの思い通りにはならないことを肝に銘じておこう。

だが、Junttila氏は目標を否定しているのではない。

受験、就職などいくつかの場合で目標を持つことは当たり前だし、必要だろう。Junttila氏が警告するのは、目標に重きを置きすぎる状態、それを達成することに過度に真剣になることだ。目標を達成して得られるものはなにか? 求めていた安定、名誉、地位。これらは一時期あなたを幸せに、あるいは楽にしてくれるが、お金、他人、モノからは幸せが得られない。

つまり、目標達成は"痛み止め"のようなもので、一定期間を過ぎればまた痛みは戻ってくる。子どもの頃、欲しくてたまらなかったおもちゃを思い出してほしい。数カ月、数年も経つとゴミになっていたおもちゃがたくさんあるはずだ。

では、痛みそのものに向き合ってはどうだろうか? 痛みとはこの場合、心や直感だ。そのためには、スピードを少し落として、いま・ここで自分の人生を楽しむことが大切だ。Juntilla氏がクライアントに、「本当にしたいことは何? 望むことは?」と聞くと、多くの人が「家族や友達と時間を過ごす」「旅行」「勉強」と答えるのだそうだ。これらはごく基本的なことで、すぐに実現できそうなものばかりだ。

もうすぐ2012年も終わり、新しい年がやってくる。2013年は「新年の目標は"なし"」とあえていってみてはどうだろう?