iPhoneユーザ待望の「Google Maps」が、ついに復活した。しかもiOS 5までの「マップ」としてではなく、設計し直されたUIと新しい描画機構を引っさげてだ。早速、都内を中心に試用したときの印象をレポートしたい。

「Google Maps」はここが違う

Google Mapsの復活と聞くと、iOS 5当時の「マップ」がそのまま戻ってくるような先入観で見てしまいがちだが、その機能と外観は大きく変更されている。13日に急きょ開催された発表会では、「正確な地図を早くユーザに届けるためベーシックな機能とした」(Googleマップ製品開発担当部長、プロダクトマネージャーの牧田信弘氏)と改良余地があることを強調していたが、なかなかどうして、この3カ月iOS 6で不便な日々を過ごしてきたユーザにとっては、むしろ感謝の念さえ抱いてしまうほど"新機能山盛り"な仕上がりとなっている。

起動して最初に気がつくのは、地図の描画がベクターベースに変更されたこと。iOS 5までの「マップ」は、一定量のビットマップデータをつなぎあわせる方式を採用していたため、表示倍率によってはジャギーが目立っていたが、今度の「Google Maps」ではズームイン/アウトを繰り返しても表示は滑らかなまま。テスト機のiPhone 5に関するかぎり、表示速度は不満のないレベルに仕上がっている。

3D表示にも対応した。指2本で下方向へフリックすると、斜め上から俯瞰したように地図が変形し、ターミナル駅周辺などに建つ高層ビルは立体的な描画に切り替わる。俯瞰する角度は固定ではなく、45度あたりまで無段階で調整できる。

ストリートビューも利用可能だ。「Google おみせフォト」に対応した店舗のみだが、店内の様子を360度のパノラマで見渡すこともできる。ストリートビューは店舗情報欄から表示できるようになったため、店内の雰囲気を下調べする目的に使えそうだ。

リアルタイムの渋滞情報も復活した。画面右下の細いタブをフリックすると、「路線図」などいくつかの項目が現れるので、「交通状況」をタップすれば表示はオンの状態となり、渋滞は赤、混雑は黄、などと主要幹線道路を描き分けてくれる。……続きを読む

スクラッチから書き起こしたという「Google Maps」。信頼性の高い地図データは変わらないが、機能と操作性は大きく変化した

指2本で下方向へフリックすると斜め上から俯瞰したように地図が変形し、建物によっては3D表示に切り替わる

ストリートビューも復活。iPhoneを掲げた方向に、360度のパノラマで見渡すことができる

リアルタイムの渋滞情報も表示できる。カーナビとして使うときルート決定の参考になる