中古車販売のガリバーインターナショナルは12月12日、同社の国内大規模出店戦略の旗艦店「WOW!TOWN」大宮を12月15日にオープンすると発表、プレス向けに施設を事前公開した。

「WOW!TOWN」大宮

「WOW!TOWN」の「WOW!」は、新しい発見・気づきへの驚きや喜び、車を買う楽しさやワクワク感を表し、「TOWN」は、複合モールで車のあらゆる要望に応える期待感を表現している。「WOW!TOWN」は、既存店にはなかった修理工場を備え、カーライフをトータルでサポートする。

同社では、今年の7月に「WOW! TOWN」の1号店となる幕張店(千葉県)をオープン。12月8日には箕面店(大阪府)をオープンし、大宮店は3店舗目となる。なお、今後の出店計画は未定。

これまでメーカー系ディーラーでは、「車種」や「価格」といった「モノ」基準での販売プロセスが主流であったが、「WOW!TOWN」では、購入後の使い方や楽しみ方を中心に車選びをしてもらうことをコンセプトにしている。

そのため、「WOW!TOWN」の車の展示方法は、メーカーや車種別ではなく、ライフスタイル別になっている。場内は、家族での買い物やレジャーを重視する「FAMILY」、アウトドアを含めてよりアクティブな用途の「ACTIVE」、デザインやイメージにこだわる「FASHION」、エコロジーを気にする「ECO&ECO」、そしてスポーツ走行など運転そのものを楽しむ「DRIVING PLEASURE」の5つのゾーンに分けられ車が展示されている。そのため、敷地は2,495坪と広大だ。

「FAMILY」ゾーン

「ACTIVE」ゾーン

「DRIVING PLEASURE」ゾーン

ガリバーインターナショナル クラウドプロジェクトリーダー 椛田泰行氏は、「中古車選びで購入の基準となる『価格』や『走行距離』というのは、限られた予算の中でどこまで妥協するかという悲しい情報です。車を購入する際は、買ったあとどう使うのか、どう楽しむのかといったカーライフの楽しみ方を基準に車選びをしてほしいと思っています」と、「WOW!TOWN」のコンセプトを説明する。

そのため、「WOW!TOWN」では車選びをサポートするツールとして、iPadを顧客に貸し出している。1店舗目となる幕張では、iPadが利用されていたが、大宮店はより軽量なiPad mini 100台を導入。家族ひとりひとりに貸し出すという。

首にかけて持ち運べる専用カバー付のiPad miniを用意

来店者はまず、iPadで簡単なアンケートに答えることで、自分が5つのゾーンのどのライフスタイルに適しているかを判断。そして、このゾーンをスタート地点として、車選びを開始する。

自分に合ったスタイルをチェックするためのアンケート

アンケートが終わるとオススメのゾーンが示される

「WOW!TOWN」では、基本的に車選びの際に営業マンは同行しない。これにより、顧客の気兼ねのない自由な車選びを実現するとともに、営業スタッフの人数を削減できるというメリットが生まれる。

展示車の価格や走行距離のほか、詳細なスペックは、各展示車に貼り付けられたQRコードをiPadで読み込むことで顧客自身が取得。画面の中には「いいね」ボタンがあり、購入候補として検討したい場合は、このボタンを押すことでブックマークできる。

展示車のフロントガラスに貼り付けられたQRコード

QRコードにiPadのカメラをかざすと一瞬でスペックが表示される。画面の右上にはさらに詳細なスペックを表示する「詳細をみる」ボタンと、購入候補にしてもいいという「いいね」ボタンがある

そして、展示車の見学を終え、店舗内に戻った際は、「いいね」ボタンを押した候補車をべースに、インターネットの在庫も参照しながら実際に購入する車を選ぶというスタイルだ。

Macが設置された商談スペース。QRコードで読み込んだ車の履歴や「いいね」ボタンを押した車の情報がWi-FiによりiPadからMacに取り込まれ、インターネット上の在庫情報を参照しながら商談が行える

iPadにも、他店舗も含めた在庫の中から顧客の好みに合いそうな商品を一覧表示する機能や、1つの車を選ぶと、類似車をオススメするレコメンド機能が備わっている。レコメンドエンジンは自社開発したもので、あえて好みとまったく異なる車種を表示するという試みも行っているという。

商品一覧画面

1つの車を選ぶと類似した車をオススメするレコメンド機能

実際に、事前アンケートと異なるライフスタイルの車を選ぶことはよくあるという。こういった、顧客自身も気づかない潜在的な嗜好を明らかにすることで、新たな購買行動に結びつけるという狙いもiPad導入にはある。

事前アンケートと実際にQRコードを読み込んだ車の傾向の違いをiPadで確認できる

同社では、こういった取り組みにより、「中古車販売店は入りづらい」のイメージを払拭し、ファミリーでもゆったり気兼ねなく、短時間でさっとクルマを見るだけでも立ち寄れる施設を目指す。

実際に、7月にオープンした幕張店ではファミリーでの来場者が圧倒的に多い。

これまでガリバーの既存店では、7割以上が1人での来店だったが、幕張店では2-3人で訪れる顧客が半数を占める。そのため、大宮店には授乳室やキッズルームを備え、キッズルームにはスタッフが常駐し、親が自由に施設内を閲覧できる工夫を行っている。また、キッズルームには、監視カメラが設置されており、iPadにはその映像を閲覧する機能も備わっている。

監視カメラを備えるキッズルーム

授乳室

ガリバーインターナショナル 執行役員 マーケテイングチーム チームリーダー 坂井美智代氏

ガリバーインターナショナル 執行役員 マーケテイングチーム チームリーダー 坂井美智代氏は、「現在の自動車業界はメーカー系チャネルが多く、新しいプレイヤーがいない。われわれは、新しいプレイヤーの先駆者となり、業界を再編し、新たな成長期に突入させたい」と語った。

同社では、2013年2月期現在で430という店舗数を、2018年2月期に800店舗まで増やし、販売台数を現在の6倍となる約30万台まで拡大する予定だという。