操作面で個人的に気になったのは、ライブビューの画面上にオーバーレイ表示される文字情報を完全にOFFにはできないこと。DISPボタンの設定を「情報表示なし」にした場合でも、絞りとシャッター速度などが画面上に表示され、厳密な構図決定の邪魔になってしまうのだ。上位機NEX-7では、「ライブビュー優先」という表示スタイルを選ぶことで、各種情報をライブビューの画面外(右側)にまとめることができるが、NEX-6や下位モデルではそれが省かれているのが残念だ。

また、せっかくカスタマイズ可能なボタンがあるのに、そこに割り当て可能な機能の種類が限定されることや、セットアップメニューの項目が多すぎて詳細設定へのアクセスに手間取ること、画像を拡大したままコマ送りができない点も、個人的にはもどかしく感じる。そもそも「NEX」シリーズは、初級者にも親切なミラーレス機として出発し、初代モデルからずっとメニューの基本構成は変わっていない。しかし、NEX-6などの高機能な製品の場合には、現状のグラフィカルで階層の深いメニューは似合わない。「α57」や「α37」といったAマウントの製品、あるいは同社のコンパクトデジカメ「RX」シリーズが採用している「タブ」によって項目をまとめたメニュー画面のほうがまだいくらか使いやすい。

撮像素子には、APS-Cサイズの有効1610万画素CMOSセンサーを搭載する。画像処理エンジンは「BIONZ(ビオンズ)」で、感度はISO100~ISO25600に対応。独自のデュアルノイズリダクションなどによって高感度ノイズは目立たないように低減されている。ISO1600くらいまでは十分に実用的で、用途によってはそれ以上の感度も役立つだろう。クリアでクセのない発色や、暗部から明部までの滑らかな階調性についても好印象を受けた。

トータルとしては、一眼レフ機に勝る抜群の携帯性を備えながら、一眼レフ機に遜色のない高機能と高画質を実現したカメラだと感じられた。操作性については、細部にはまだ改善して欲しい部分が残るが、AFの高速化とモードダイヤルの搭載はうれしい進化だ。やや大きめだが、シャープで切れ味のあるシャッター音や、レリーズタイムラグの短さも気に入った。

電動ズーム対応の新しい標準ズームによって機動力がさらにアップしたことも見逃せない。ほかにもEマウントレンズの種類は増えつつあり、システム全体としての魅力は確実に高まっている。NEX-6は気軽に持ち運びながら、オート撮影だけでなく、その一歩上を目指したい人にオススメだ。

撮影モード:絞り優先AE(F8 1/400秒) / 露出補正:±0 / 感度:ISO100 / WB:オート / 焦点距離:16mm / レンズ:「E PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSS」(オリジナル画像を見る)

撮影モード:絞り優先AE(F16 1/125秒) / 露出補正:±0 / 感度:ISO100 / WB:太陽光 / 焦点距離:21mm / レンズ:「E PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSS」(オリジナル画像を見る)

撮影モード:絞り優先AE(F5.6 1/10秒) / 露出補正:+1.7 / 感度:ISO1600 / WB:オート / 焦点距離:47mm / レンズ:「E PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSS」(オリジナル画像を見る)

撮影モード:絞り優先AE(F8 1/400秒) / 露出補正:+0.7 / 感度:ISO100 / WB:オート / 焦点距離:20mm / レンズ:「E PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSS」(オリジナル画像を見る)

撮影モード:絞り優先AE(F4 1/2500秒) / 露出補正:±0 / 感度:ISO100 / WB:オート / 焦点距離:16mm / レンズ:「E16mm F2.8」(オリジナル画像を見る)

撮影モード:絞り優先AE(F8 1/320秒) / 露出補正:+0.3 / 感度:ISO100 / WB:オート / 焦点距離:16mm / レンズ:「E16mm F2.8」(オリジナル画像を見る)

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上段左から順にISO100/200/400、中段左からISO800/1600/3200、下段左からISO6400/12800/25600で撮影。撮影モード:絞り優先AE(F8) / 露出補正:-0.7 / WB:オート / 焦点距離:50mm / レンズ:「E PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSS」

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