毎年この時期に発表されている、グッドデザイン大賞。今年度も11月23日~25日に開催される「グッドデザインエキシビション2012」で一般来場者からの投票を受け付けたのちに発表されることになっており、その注目度、期待度は日に日に高まっていることだろう。そこで、本企画では、発表に先駆け、各業界のクリエイターに最終候補として残っている15作品のなかから優れていると思う作品を独自に3つ選出してもらい、その選考理由とともに紹介していく。第1弾は、高級百貨店「バーニーズ ニューヨーク」の日本の広告ヴィジュアルやウィンドウディスプレイを統括しているクリエイティブディレクター・谷口勝彦が登場する。

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今回、谷口氏が選考基準に設けたのは「日本の社会にフィットし、かつ日本の文化が持つ魅力や、独自性が製品の中にどれだけ自然に組み込まれているか。機能性とデザイン性のバランス」。その結果、選考理由コメントも含め、以下の3つを選出した。

新型軽乗用車 「N」シリーズ/本田技研工業株式会社

日本の軽自動車は車社会では唯一世界に誇れる日本のお家芸的存在であると思います。その中で特にホンダは軽自動車のみならずレース活動でも成果をあげてきた企業であるし、本田宗一郎のホンダイズムが脈々と流れているのだと思う。近年発表された軽自動車「N360」の現代版も素晴らしい。現状の若者の車離れの中、家族や主婦に目を向けた様々な画期的な機能が素晴らしいし、一般的な家族の生活の中での一場面でありがちなシチュエーションをよく掴んでいて上手い! と思う。私はたまたま古い車が好きなせいもあり、ホンダの名車「S800」のような"時計の様な精密さ"と言わしめるデザインの力を感じて選びました。

木造仮設住宅群/(株)芳賀沼製作+(株)ダイテック+共力(株)+(株)グリーンライフ+(株)はりゅうウッドスタジオ+日本大学工学部浦部智義研究室+(株)難波和彦・界工作舎

仮設住宅と言えば必ずプレハブ住宅を思い浮かべるがこの木造仮設住宅はログハウスであり、何より被災者は勿論、人に与える住まい環境のイメージが精神的にもヴィジュアル的にも非常に良い点が最も優れていると思う。他にも杉の木の香りも癒し効果もあるだろうし、これが仮設とは思えない。心の豊かさをも生み出すだろう点も優れていると思う。しかも地元の林業再生に貢献でき雇用も生み出すと言う全く一挙両得なプロジェクトである。また仮設住宅終了後も再利用出来ると、良いことずくめである。本来日本人は木の文化であり木の特性、利点を良しとする人は多いと思う。まさに日本ならではであり日本人の力である事が優れていると思う。

Panasonic 資源循環型商品群/パナソニック株式会社

再生材料の家電は他もあると思うが企業として激しい競争の中でデザイン性を共いながら挑戦していくことは価値ある事だと思う。今日では機能だけで差をつけるのが非常に難しいなかで消費者の選択眼を向けさせるのは大変な事だと思う。それだけ消費者もあらゆる情報を同じ速さで同じクオリティーで同じ量を誰もがコンピュータを通じ持てる時代にあって消費者のデザインセンスのレベルも上っていると思う。もの凄いスピードで動く毎日の中で昔と違うストレスにさらされているからこそ"癒し"だとかの言葉が出るのであり、そういう昨今のなかで生活環境におけるカラー(色)は非常に大切な要素だと思う。その中でこの茶色は(アースベージュ?)ひとクラス上のイメージ、大人っぽさ、グレード感を醸し出している。以上の点が優れていると思った。

なお、近年、グッドデザイン大賞を受賞した作品は、2011年度が本田技研工業の「カーナビゲーションシステムによる情報提供サービス」、2010年度がダイソンの「エアマルチプライアー」、2009年度がワークヴィジョンズ+岩見沢レンガプロジェクト事務局の「岩見沢複合駅舎」、2008年度がトヨタ自動車の乗用車「iQ」となっている。

クリエイティブディレクター・谷口勝彦
1959年生まれ。1990年バーニーズ ニューヨークに入社後、米国バーニーズにてクリエイティブディレクター、サイモン・ドゥーナンに師事。帰国後はヴィジュアルディスプレイのマネージャーを経て現職に。現在は、日本のバーニーズ ニューヨークの広告ヴィジュアルやウィンドウディスプレイなどのストアイメージを統括。2010年開店の神戸店につづき、2011 年開店の福岡店も海外の建築家を起用せずに本人自らが店舗デザインすべてを手がけている。

第2弾では、クリエイティブラボの清水幹太が登場する。