ソニーから、フルサイズの2,460万画素センサーを搭載したデジタル一眼カメラ「α99」が登場した。同社のフルサイズ機としては2008年の「α900」以来約4年ぶりの製品であり、画質や機能、操作性などのすべての面で大きな進化を遂げている。その実写を含めた製品レビューをお伝えしよう。

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「α99」

まず目を惹き付けるのは、曲面を多用した個性的なボディデザインだ。ボディの頭頂部から天面、両サイドにかけてのラインは滑らかなカーブを描き、なで肩のようなシルエットを作り出している。このデザインのテイストは、2011年に発売された、一つ下のクラスに位置する「α77」から継承したもの。内蔵フラッシュを省いたことで、天面の膨らみはいっそう緩やかになっている。また、てっぺんに配置した、虫の眼のようなステレオマイクのデザインもユニークだ。

外装は、天面と背面にマグネシウム合金を採用する。高品位な質感があり、手に取るとしっかりとした剛性感も伝わってくる。ボディの重量は733g。フルサイズ機としては比較的軽量といえる。

外見上の特徴は、バリアングル式の液晶モニターを備えること。フルサイズ機では唯一のバリアングル液晶搭載機となる。正確には「3軸チルト液晶」と呼ばれ、液晶モニターを後ろに向かって引っ張り出した上で、上下と左右に動かすことができる。これも従来機であるα77から受け継いだものだ。この3軸チルト式のメリットは、カメラの縦/横位置を問わずフリーアングルでの撮影がしやすく、その際、常にレンズの光軸付近に液晶モニターを配置できること。また、三脚やオプションの縦位置グリップを使用した場合でも、液晶の向きと角度を自由に調整できる。

3軸チルト式の液晶モニターを搭載。自由なアングルからの撮影が無理な姿勢にならずに行える

液晶のサイズは3型ワイドで、ドット数は約122.9万ドット。RGBにW(白)の画素を加えた「RGBW」方式を新採用することで、α77比で約2倍の明るさを実現している。視認性は屋内/屋外ともに良好だ。

一方、ファインダーには約235万ドットの0.5型有機ELビューファインダーを搭載する。こちらも見やすさは上々。精細感が高く、厳密なピント確認も行える。一眼レフ機で一般的な光学式のファインダーではなく、電子式のファインダーを採用していることは、「トランスルーセントミラーテクノロジー」を搭載したαシリーズ共通の仕様だ。トランスルーセントミラーテクノロジーとは、レンズから入った光を透過させることで、撮影時にミラーを動かさずに撮像素子に光を当て、高速連写やスムーズなAF駆動を可能にする仕組みのこと。現行のαシリーズは、入門機も含め全製品がトランスルーセントミラーテクノロジーを採用している。

ファインダーには有機ELパネルを採用。視野率はもちろん100%で、倍率は約0.71倍となる

ソニーAマウントを採用。マウントの右下には、作動音を出さずに、諸機能を素早く設定できる「サイレントマルチコントローラー」を新たに装備する

ダブルスロットを装備。1つはSDカード専用で、もう1つはSDカードとメモリースティックPROデュオに対応する

電源はリチウムイオン充電池「NP-FM500H」。静止画の撮影可能枚数は、ファインダー使用時で約410枚となる

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