秋の運動会シーズンがやってきました。子どもを持つ親にとっては、成長したわが子の姿をカメラに収める絶好の機会。大切な思い出として記録し、後から家族みんなで見て楽しめる素敵な運動会写真を撮るためのコツをお伝えしましょう。

ポイント1 : 徒競争の撮影場所は「ゴール」と「コーナー」が狙い目

徒競走では、どの場所から撮るかが重要なポイントになります。ゴールの瞬間を捉えたい場合は、ゴールの正面付近で、走ってくる子どもたちの延長線上から狙うのがセオリーといえます。正面からだと、走っているときの表情が撮りやすく、わが子の姿がほかの子どもに重なって隠れてしまう失敗も最小限に防げるからです。

ただし、ゴール正面は撮りやすいぶん人気が高く、カメラを持った人たちで非常に混雑する場所でもあります。いい写真を確実を撮るには、ゆったりとした環境で撮影できる場所という選択肢もあります。その場所は、子どもたちが曲がって走ってくるコーナー付近。

徒競走のコーナー付近では迫力のある写真が狙えます。撮影場所に着いたら、まずはほかの子どもを撮って練習し、わが子の撮影に備えるといいでしょう

コーナーでは、子どもたちの身体が自然と傾くので躍動感のある写真になりやすく、前後の子どもたちもまとめて写せるので、構図的にも引き締まります。といっても、コーナーに近すぎるとかえって撮りにくいので、コーナーを見渡せる少し離れた位置から望遠ズームを使って撮るのがオススメです。

ポイント2 : むやみに連写せず、連写の1枚目にこだわって撮る

動きのあるシーンを逃さずにとらえるには、まずカメラの設定をきっちりと合わせることが欠かせません。中でも基本となるのは、AFモードとドライブモードの設定です。AFモードは常にピントを合わせ続ける「コンティニュアスAF(AF-C、サーボAF)」に、ドライブモードは「高速連写」にそれぞれ設定するのがいいでしょう。シーンモードに「スポーツ」が用意されている場合は、これを選ぶだけでAFモードやドライブモードは自動的に最適な状態に設定されます。細かい設定が分からないという人は、ダイヤル操作ひとつで大丈夫なこの「スポーツ」モードを選びましょう。

ゴールの瞬間は、いきいきとした表情が撮れるシャッターチャンスです。自分のカメラの特性を知った上で、高速連写を使いこなしましょう

撮る際に気を付けたいのは、連写の多用です。失敗を恐れずにたくさんの枚数を撮ることはもちろん必要です。しかし連写の場合、1回のシャッターで連続的に撮影できる枚数には限りがあり、その枚数をオーバーすると、メモリカードに画像の書き込みを行うための待ち時間が発生します。連写のスタートタイミングが早すぎて、肝心のシャッターチャンスに撮影ができない……こんな失敗には気をつけたいものです。

また、どんなに高速連写のカメラを使っても、最も撮りたかった決定的な瞬間がコマとコマの間にあって撮れていないという失敗もよくあります。これを防ぐには、連写機能に頼りすぎず、狙った瞬間を1枚で捉える心構えを持つことが必要。連写を使うなという意味ではありません。連写の際には、連写を開始する最初の1枚を押すタイミングを見極めることが何より大切なのです。

走っている姿だけでなく、スタートの前の緊張した様子や、ゴールした後の表情など、競技の前後にもシャッターチャンスはたくさんあります

ポイント3 : いきいきとした子どもの表情をアップで捉えるために構図を工夫

ついついシャッターを押すことに夢中になって、結果的には同じような構図で撮られた、似たような写真ばかりになってしまった、という経験はないでしょうか。運動会の写真は、趣味や作品として撮る写真とは違って、構図に凝ったり、奇抜な撮り方をしたりする必要はありません。しかし、大切な思い出として記録し、後で家族みんなが見返して楽しめる写真にするには、少し冷静になって、構図や撮り方に工夫を加えることは必要です。

組み体操など団体での競技や演技は、その全体が分かるように少し引いた構図でまず撮影します

そしてさらにズームアップして子どもの表情を狙います。こんなときは、高倍率のズームレンズが便利です

構図に変化を付けるための簡単な方法は、どんなシーンを撮る際も、そのシーンの全体と、特定の部分のアップの両方を撮るように心がけることです。例えば、組み体操であれば、完成した決めポーズの全体を撮影したら、次にズームアップして子どもの表情を狙います。引いた構図と寄った構図の2パターン以上を欠かさず撮っていくだけで、写真のメリハリを与えることができます。

さらに慣れてきたら、カメラの高さや向きを変えてみるのもいいでしょう。通常は、カメラの高さを子どもの目の高さに合わせて撮ることが基本です。でも、その上で、あえてカメラを低い位置に構えて迫力のある構図にしたり、斜め構えてスピード感を強調したりする撮り方も効果的です。自由な発想でさまざまな撮り方に挑戦してみて下さい。

(イラスト : 3P3P)