【レポート】

IDF 2012 - David Perlmutter基調講演から見る、Haswell搭載Ultrabookの姿とWindows 8への傾注

さてDavid Perlmutter氏(Photo01)によるIDF初日の基調講演の内容を簡単にお届けする。今年の氏の基調講演のテーマは"Reinventing Computing"(Photo02,03)。Intelは現在Ultrabookに注力する形になっており、2013年には第4世代のCore Processor、つまりHaswellを搭載した3世代目のUltrabookを投入することになる(Photo04)。この3世代目のUltrabookでは、様々な機能が搭載される事になる(Photo05,06)。

Photo01: David Perlmutter氏(Executive Vice President, General Manager, Intel Architecture Group, Chief Product Officer)。IntelのExective VPもずいぶん減ってしまい、後はSean Maloney氏(Intel ChinaのChairman兼任)とArvind Sodhani氏(Intel CapitalのPresident兼任)の3人になってしまった。ちなみに左手に持っているのがXeon Phiのコア、右手に持っているのがMedfieldのコアである。

Photo02: コンピューティングの再定義、というのが直訳になるが、意味的にはコンピューティング体験の再定義である。ここでDatacenterからMobile Deviceが直結になっている点がミソ。

Photo03: どのあたりがミソか、といえば所謂コンサバティブなPCをIntel自身が中抜きする方向で考えているところである。つまりモバイルデバイスはそのまま直接クラウドに繋がるので、もうPCがHome Hub的な役割を果たすことは無い、と同社は見ていることになる。

Photo04: ちなみにHaswell、このUltrabookと後述するAIO向けには言及されたが、Desktop向けに関しては言及すらされず。もうそういう扱いになっている、という事だろう。

Photo05: Full HD Displayやセンサー類統合、顔認識といったものが「標準的に」搭載される。もっとも顔認識はソフトウェア側の問題なので、ハードウェア的には720pのカメラがあればいい、ということになるのだろうが。

Photo06: 余談だがこちらが会場で示されたプレゼンテーション(他のプレゼンテーションは後追いでPDFの形で提供されたもの)。「大事な事なので2回言いました」?

この「様々な機能」であるが、まず音声認識(Photo07)について紹介され、音声認識を使ってGoogleやAmazonの検索を行ったり(Photo08)した。次いでCreativeの3DWebCamにSoftKineticの技術を搭載したIntel Perceptual Computing SDK(Software Development Kit) 2013を組み合わせて(Photo09)のジェスチャーデモ(Photo10)、そしてNFCと組み合わせて(Photo11)のオンライン決済のワンストップ化のデモも行われた(Photo12)。またこの後には、Core iベースとAtomベースのTabletの話にも触れ、様々なTabletがWindows 8に向けて開発が進んでいる(Photo13)ほか、エンタープライズ、つまり企業用途向けにもTabletの採用が進みつつあることが示された。

Photo07: このデモではDELLのUltrabookにDRAGON ASSISTANTが搭載された。Doragon AssistantはNuance Communicationsの製品で、同社は音声認識の技術で世界トップシェアである。

Photo08: 画面右側、地図の上にオーバレイの形で示されているのがDRAGON ASSISTANTのもの。単に音声認識だけでなく意味解析まで行っていることを示した。他にAmazonでの買い物などもデモされた。

Photo09: ちなみにこのカメラ、"Interactive Gesture Camera"という名称でCreativeより提供される。

Photo10: 手の動きをカメラで認識して、それにあわせて太陽系を回転させたり軌道面を回したり、中央の太陽を爆発させたりといった事を行えることをデモした。

Photo11: このデモではUltrabook側にNFCリーダーが搭載されており、一方MasterCardがPayPassカードを用意しており、これを使うことでWeb経由での決済がクレジットカードをUltrabookにかざすだけで済むと言うもの。

Photo12: 決済認証までスムーズに進んでいる例。この直後に決済完了が示された。このデモは、様々なWebサービスで決済を行う際に延々とメールアドレスとパスワードを入力するような手間をワンストップで行えるようにすることで利便性を図るというもので、PayPassのカードの側にもNFCに対応したチップが入っており、ここにユーザー情報が格納されるというもの。次世代のUltrabookにはNFCが搭載されることになり、これを使うことで便利に利用できるようになる、というデモである。

Photo13: この時点では明言されていないかったが、この20以上のAtomベースのDesign WinはClover Trailベースと思われる。また基調講演の後で行われたプレス向けセッションでは新しいAtomのロゴが示されている。

この話が一段落した後で、やっとHaswellベースのUltrabookに話が移った(Photo14)。会場にはHaswellベースのプロトタイプが持ち込まれ(Photo15)、Ivy Bridgeベースのほぼ同構成のものと比較して、消費電力が一緒ならば3D描画がずっと高速なこと(Movie01)、及び性能が一緒ならば消費電力がずっと少なくなること(Movie02)が示され、消費電力を更に下げながら性能を改善していることが示された。ただ、肝心のCPU性能の直接的な比較は今回は示されていない。

Photo14: 大きな特徴は消費電力の低減で、これに加えてパフォーマンスの向上もあることが示されている。

Photo15: プロトタイプボード。ヒートシンクとファンは非常に小さく、また動作はACアダプタ駆動である。加えて、搭載されている電源ピンも24pinのATX12Vではなく20pinのATXのもので、ATX12Vに用意される追加の4pinないし8pinのコネクタも見当たらない。ちなみに開発ボードのコード名は"White Tip Mountain"だそうである。

動画
Movie01: 左がIvy Bridge、右がHaswellのもの。フレームレートがおおむね倍になっているのが見て取れる。

動画
Movie02: こちらは消費電力比較。中央のグラフを見ると、IvyBridge(赤)が概ね16~17Wほど、対してHaswell(黄)はほぼ9W程度だった。

その後は、Intelアーキテクチャベーススマートフォン5製品が発売されていることが改めて紹介された上(Photo16)で、新しいデスクトップ向けの動向としてAIO(All-In-One)製品が今後の大きく伸びてゆく(Photo17)こと、そして最後に組み込み向けにも広く利用されつつある事(Photo18)が紹介されて基調講演は終了した。

Photo16: これらは何れもMedfieldベースの製品である。

Photo17: AIO(All-In-One)とは要するに液晶一体型である。ただ今回Adaptive AIOという言い方をしており、例えば机の上では普通のPC的に利用出来ているが、スタンドから取り外して平らに置いて使う事もできるとしている。勿論タッチ操作が前提で、要するに大きなサイズのノートPCというかTabletで、キーボードとスタンドがおまけで付いてくるものといった感じ。基調講演では本体にバッテリーも内蔵されており、電源を落としたりせずにそのまま左の使い方から右の使い方に以降できることが示されていた。

Photo18: Core i7ベースのPCを内蔵した自動販売機。何かこれに出てきたものを思い出したので、Ton Steenman氏とミーティングの折に両者の関係を確認したところ、ET2011で展示したものと今回の基調講演に出てきたものは全く別物だとか。氏曰く、各リージョン毎にそれぞれ異なるパートナーと組んで開発を行っており、今回のものやET2011で出てきたもの以外にも開発しているものがあるという返事であった。

ということでざっと紹介したところで、語られていないことをいくつか。まず今回明白なのは、Windows 8への恐ろしいまでの傾注である。勿論LinuxとかAndroidへの取り組みは行っていると言いつつも、とにかくWindows 8で実現される新しいLook & Feelをいかに早期に実現してゆくかが鍵であり、なんと言うかこれに大金を賭けている印象がひしひしと感じられるものであった。ただご存知の通り、Windows 8はTouchに対応したSmartphoneやUltrabookでは非常に便利な反面、コンサバティブなPCではあまり便利とは言えない(というか、不便である)。実際筆者もデスクトップはWindows 8をパスする気満々である。ただ問題はこうしたデスクトップの成長は、Intelによれば数パーセントのオーダーでしかなく、実際出荷数では明らかにMobile向けの方が多い。デスクトップで例外なのがAIOで、こちらは30%近い伸びが予測されている。そこで、UltrabookとAIOにリソースを集中するというのがIntelの今回の基調講演の内容、と考えるのが正しいだろう。実際機構的にはAIOはデスクトップというよりはMobileに近く、その意味ではDesktopは置き去りである。

ただハイパフォーマンスの要求は無いのか? というとそういうわけではなく、クラウドサービスの普及によりXeon向けのニーズはどんどん高まりつつある。ただ近年は絶対性能よりも性能/消費電力比が求められる分野であり、その意味でもHaswellはハイパフォーマンスよりも更に高い性能/消費電力比を実現するほうに注力することになっている。こうしたマーケットに向けて、Xeonに加えてXeon Phiが提供されてゆくわけだが、今回こうしたデータセンター系の話題が殆ど無かった(冒頭でPerlmutter氏がXeon Phiのコアを見せた程度)というのは、今回はまだ色々変革の準備が出来ていないという事でもある。勿論テクニカルセッションでは3つほど、Xeon Phiのプログラミングに関するセッションが用意されており、例えばIntel MKL(Math Kernel Library)を利用した自動オフロードのやり方なども説明されていたが、これらが基調講演の中で紹介できるサービスに至るまでにはもう少し時間が掛かりそうだ。

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