フルフラットでプライバシーにも配慮

人的なサービスだけでなく、設備も充実していなければサービスに関する賞は取れない。搭乗した成田 - ジャカルタ便のエグゼクティブクラス(ビジネスクラス)はシートピッチ(座席の前後間隔)が188cmで、窓側の席に座っても通路に出るのに困らない広さ。隣席とはパーティションで仕切られプライバシーに配慮。180度のフルフラットベッドになって、ゆっくり横になれる。タッチパネル操作のできるパーソナルモニターは大きめで見やすく、ジャケット用フックや小物の収納スペース、読書灯や電源などのこまごまとした設備の工夫にも好印象を持った。また、新聞や雑誌類も豊富で、最近は積まない航空会社が多い週刊誌類も読めた。

機能的で快適で、そして温かみのあるエグゼクティブクラスのシート。肌触りのよいファブリックが座り心地のよさを増す。シートはフルフラットなベッドになり、ぐっすり眠ることができた

入国審査表を書くときに「作業」のしやすさを実感。仕事もしやすそうだ。ジャケット用フックや収納スペース、電源など機能も充実。座席は電動操作で自分仕様にでき、アップライト(離発着時)、リラックス、ベッドの3つのポジションはワンタッチで操作可

エコノミークラスもサービスコンセプトは同じ「インドネシアン・ホスピタリティ」

ガルーダ航空では乗客に「五感でインドネシアのホスピタリティを感じてほしい」とのコンセプトでサービスを提供している。インドネシアの豊かな色彩と伝統的なモチーフが配されたキャビンデザインが「SIGHT(視覚)」を、機内に流れるインドネシア各地からの伝統的な音楽を集めた"サウンド・オブ・インドネシア"などが「SOUND(聴覚)」を、機内食に盛り込まれたインドネシアの味わいが「TASTE(味覚)」を、機内や空港ラウンジにクローブ(丁子)ベースのオリジナルアロマが「SCENT(嗅覚)」を、様々なシーンでのホスピタリティあふれるサービスが「TOUCH(触覚)」を、といった具合でそれぞれ快適にするコンセプトとなっており、いたるところでインドネシアを感じることができた。前述した座席に使われたバティックや客室乗務員のホスピタリティなども、このコンセプトに即したサービスだ。


機内で入国審査が終わる画期的プログラム

そして、もう1つ「機内入国審査プログラム」は特別かつ便利なサービスだった。これはその名の通り、機内でインドネシアへの入国審査ができるサービスで、ガルーダ航空機内に搭乗している入国審査官が到着ビザの発給と入国審査をしてくれる。到着した空港で入国審査場にできた長蛇の列に並ばないといけないのは海外旅行の欠点の1つだが、それが解消されるのだ。実際、列に並ぶ他社の日本人客を横目にとても早く入国をすませることができた。

「機内入国審査プログラム」はまず、出発空港で到着ビザ(VOA)の料金として、25US$を相当の日本円で支払う。写真上はビザ代金受領証。機内で同受領証と出入国カード、パスポートを入国審査官に提示

審査が終わると手続き完了を証明するカードが渡される。あとは、到着空港でこのカードを空港の入国審査場で渡すだけ。同プログラムは成田発便と関空発便で実施

信頼感が増すことで魅力が何倍にも増す。航空サービスとは、そういうものである。今回はそれを実感した体験搭乗だった。

「2013年中旬頃から納入予定のボーイング777-300ER(長距離路線用の最新鋭ハイテク機)には、よりクオリティの高いファーストクラスの設置も検討中」(ガルーダ・インドネシア航空コーポレートコミュニケーション担当副社長プジョブロト氏)。ガルーダ航空は2014年中に世界的な航空アライアンス「スカイチーム」に正式加盟する予定