スペシャルイベントのキーノートが行われるYerba Buena Center for the Arts (YBCA)のLam Research Theater (旧名: Novellus Theater)

米Appleによるスペシャルイベントが米カリフォルニア州サンフランシスコ市内のYerba Buena Center for the Arts (YBCA)で9月12日(現地時間)に開催される。本稿では、同イベントでの発表が噂される次期iPhoneの噂を整理してみたい。なお、iPod新製品や音楽サービスの刷新、Mac新製品の発表などiPhone以外の噂も別稿にまとめたので、こちらもあわせてチェックしてほしい。

9月5日(日本時間)のニュース記事でも触れているが米国で現地時間の9月4日、報道関係者へと一斉に12日のイベント招待状が送付された。招待状の文面はシンプルで、「It's almost here. (もうすぐです)」のキャッチコピーに「12」という数字、そして12の数字の影には「5」の数字が透けて見える(All Things Digitalの関連記事に画像あり ) 。次期iOSのバージョンは6であり、直接5にリンクする製品はほかにない。「"12"日にiPhone "5"」を発表することを示唆しているようにも思えるが、Appleが意図的にミスリードを誘って楽しんでいることもあるので、発表されるのは「iPhone 5」ではなく、全然別の名称のiPhone製品の可能性もある。このあたりは実際に発表されてからの楽しみとしておこう。タイミングを考えてもこのイベントで新型iPhoneが発表されるのはほぼ確実だとみられる。

それではさっそく次期iPhoneに関する噂を整理しておこう。次期iPhoneに関する噂は数あるが、まずは発売日とグローバル展開に関するものだ。

米国発売は9月21日、日本を含む海外は10月以降?

今回スペシャルイベントが12日に開催されることは1カ月近く前から噂になっており、同じ情報ソースを持つあるメディアは「12日に製品発表を行い、同日に予約受付を開始、21日に米国での販売が開始される」と予測していた。いまのところ12日にスペシャルイベントが行われることしか確認がとれていないが、この情報の正確さを信じるならば翌週金曜日の21日に米国での販売がスタートすることになる。過去をたどってもiPhoneの販売スタートは金曜日が充てられることが多く、その意味での確率は高い。また米国でのiPhone販売キャリアの1つ米Verizon Wirelessが9月21日から30日まで従業員に対して休暇禁止令を出したという話もあり、この噂の信憑性を高めている。

だが日本のユーザーにとっての関心はむしろ「日本でいつ発売になるか」だろう。マイナビニュースでは次期iPhoneの発売日を予測した記事も公開しているが、最大の問題は「日本と米国で発売日が同じか」という点にある。iPhoneの日本での販売台数は多く、世界的にみてもかなり優遇されている。実際、ここ最近のiPhoneは欧州各国などと並んで日本が世界同時発売の対象国になることが多く、時差の関係からオーストラリアと並んで日本が世界最速の販売地域となっている。次期iPhoneでも日本が最速販売国の1つとなる可能性が高いが、

今回は新型液晶パネルやLTE通信チップなどで供給遅れが報告されており、iPhoneの供給が逼迫する可能性がたびたび報じられている。特にAppleは新型iPhoneでインセル(In-Cell)方式の液晶パネルを初めて採用すると伝えられておりサプライヤの1社であるシャープがすでに出荷遅れを指摘されているほか量産をスタートさせたLG Displayでさえ供給不足が生じており、初期段階でまともに部品を提供できたのはジャパンディスプレイ(JDI)のみだという話もある。これがボトルネックとなり、当初はiPhoneの米国での出荷を優先し、日本を含むワールドワイド展開は10月以降という噂もある。発表時にはこの点をチェックしたい。

次期iPhoneではLTEを採用、日本を含むグローバル対応モデルか?

第3世代iPad (The new iPad)でのLTE採用もあり、次期iPhoneでLTEを搭載するのはほぼ確実とみられている。おそらくは、次期iPhoneでの最大のセールスポイントの1つがこれとなるだろう。一方でiPadにおけるLTEはサポート体制が不完全であり、北米の携帯キャリアでのみその機能が利用可能だった。これがマーケティング上の問題を引き起こし、オーストラリアでは裁判に負け、英国では広告監視団体から修正を余儀なくされている。一方、iPhoneで採用される新型LTEモジュールはグローバル対応となり、iPadでの問題をある程度解消することになるという話がある。現行の3G方式での周波数コンビネーションに比べ、世界各国で展開されているLTEの周波数帯はばらばらで数も多く、すべてをサポートするのは難しいとされている。未対応地域が出現したり、あるいは対応地域であってもキャリアによって対応の可・不可が出現したりと、その差が大きくなる可能性が指摘されている。LTE対応を発表した場合、自身の利用するキャリアでLTE機能が十分に利用できるかチェックしておくといいだろう。

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