戦国時代を舞台にしたスタイリッシュ・アクションゲームが原作の新感覚ドラマ『戦国BASARA -MOONLIGHT PARTY-』(BS-TBS 毎週火曜 深夜3:00より放送中)。武士として、一人の男としてのプライドと意地をかけ、激しくぶつかり合う伊達政宗役の林遣都と真田幸村役の武田航平に話を聞いた。

林遣都(左)と武田航平
ヘアメイク:柳澤武宏(林)、中島康平(武田) スタイリスト:菊池陽之助(林)、Yoshi Miyamasu(武田) 拡大画像を見る

――まず、シリーズ累計310万本という人気ゲームのキャラクターを演じることについてはいかがでしたか?

「カリスマ性や人を魅了する強さを持った政宗は、あまりにも自分とはかけ離れた存在だったので、演じることにすごく不安はありました。でも、航平くんをはじめキャストやスタッフのみなさんといろいろなことを乗り越えて作り上げた第一話を見た時、原作に負けることのない魅力的なものになったと確信しました。一人でも多くの人に見てもらいたいです」

武田「僕も、たくさんのファンがいるゲームが原作ということで、最初は不安に思う部分は多かったですが、同時に『自分にしか出来ないものをやってやる!』という気持ちが強く沸き上がってきました。実際、僕らにしか出来ないことを成し遂げた達成感や充実感はありますし、原作を愛している人にも自信を持ってお見せ出来ると思っています」

――ワイヤーアクションやCGなど、通常の時代劇とは違った特殊な状況での撮影が多かったと思います。

「CGが多いのでグリーンバックでの撮影が多く、相手がいないところで戦いの撮影をしたりしないといけなかったので、どういう風に仕上がるのかも分からない状況でしたね。でも、逆に役者としてはそういう時いかに迫力あるリアルな演技が出来るのかが試されているわけで、航平くんとは常に同じものをイメージするようテンションを合わせて臨みました」

――武田さんは『仮面ライダーキバ』の出演経験もあるので、やりやすかったのでは?

武田「いや、衣装や必殺技なども特撮とはまったく別のまったく新しい試みの連続でしたね。自分としては原作をいかに忠実に演じ、さらにどれだけそこから飛躍させていくかに集中しました。林くんとも同じ思いを持って撮影することが出来たし、相手を尊重し、心を通わせていきながら、クオリティーの高い芝居を維持するためにはなにより集中力や意志の強さが大切なんだということを改めて確認しましたね」

武田航平
1986年1月14日生まれ。東京都出身。2001年、第14回「ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」で審査員特別賞を受賞して俳優デビュー。2008年、『仮面ライダーキバ』に紅音也/仮面ライダーイクサ役で出演して人気を集める。以降、『ここが噂のエル・パラシオ』(テレビ東京系)、『理想の息子』(日本テレビ系)、『Wの悲劇』(テレビ朝日系)など多数のドラマに出演。ドラマ『そこをなんとか』(NHK BSプレミアム)が2012年10月スタート。映画『ROUTE42』2013年春全国公開予定

――余計なものが周りに少ない分、より深く役と向かい合うことが出来たということですか?

武田「はい。馴れ合いになったり、単なるゲームの再現になったりせず、しっかりと『戦国BASARA』になることが一番大事だなと思いましたし、その通りになったと思います」

――確かにアツい男たちのドラマですが、見方によってはちょっと面白くもありますよね。

「派手好きで豪快で……あそこまで自信満々なキャラクターはあまりいないので、演じていて楽しかったです。僕は普段あそこまで人の上には立てないですし、それに政宗は女性なんかもう最初から無視で、かすがが出てこようが、濃姫が出てこようが、とにかく幸村! みたいな(笑)」

武田「幸村はとにかく目の前のことに必死で、一喜一憂しながらも『瞬間』を生きている男。お館様(武田信玄)との本気の殴り合いにしても、政宗に怒られて『そうであったか……!』とすぐ従うところにしても、ホントに素直でいいヤツなんですよ(笑)。いい後輩いうか、いい弟分というか、無駄なことを考えず、一生懸命生きてるところが好きです」

「政宗と幸村はとにかくすぐケンカするんですよね。見ようによってはくだらなくもあるんですけど、当人にとっては譲れない思いがあるし、そうしながら互いを高め合っていくというところもある」

武田「2人は対等でありながらも、どこかそういう兄弟みたいな関係なのが面白いですよね。ぜひそこも楽しんで見てほしいです」

林遣都
1990年12月6日生まれ。滋賀県出身。2007年に映画『バッテリー』で主演。俳優デビューの作品だったが、日本アカデミー賞の新人賞を受賞。以降、映画やドラマなどで活躍する。出演映画『莫逆家族-バクギャクファミーリア-』が9月8日公開、『悪の教典』が2012年11月公開予定。

――ところで、お二人は小さい頃、チャンバラの経験はありますか?

武田「チャンバラとは違いますけど、駄菓子屋さんに売ってるプラスチックの刀でよく遊んでました」

「僕もよく分からない『剣』を持って友だちのお兄ちゃんとかと遊んでましたね」

武田「なぜかプラスチックの刀を縦にくわえてジャンプしていたら、のどに当たって大ケガしたことがあります(笑)」

――政宗と幸村のようにぶつかり合って友だちと絆を深めた思い出は?

「僕はそういうのは避けてましたね。むしろ強いヤツの後ろにひっついていた方でした(笑)」

武田「今の発言でたぶん『足軽』って書かれると思う(笑)。僕は兄弟ゲンカをしょっちゅうしてましたね」

「うちもあった。お兄ちゃん、めちゃくちゃ強かった(笑)。小さい頃、妹と一緒に立ち向かっていったけど全然勝てなくて」

武田「お互いそういう経験があるから、政宗と幸村のぶつかり合いも自然に表現出来たのかもしれない。でもさ、お兄ちゃんって何であんなに強いんだろうね?」

「なんでだろう。『これからケンカを始める!』と思ったら、それだけでこっちはもう泣いてるからね(笑)」

――原作の人気にも表れていますが、どうして『戦国時代』というものに人は惹かれるのでしょうか?

武田「そうですね……腕っぷしだけで成り上がれるかと思ったら、策略で成り上がるヤツもいるという究極なところですかね。『自分』を試せる時代というか、そこにみんな思いを馳せるのではないでしょうか。今の時代、なかなかそこまでの『戦い』ってないじゃないですか。ましてや命の取合いなんて。だからか『戦国』って聞いただけでワクワクしますよね」

「僕は歴史に全然詳しくないのであまり偉そうなことは言えませんが、今の時代って『逃げ道』がいっぱいあるというか。それはそれでいいのかもしれないけど、男に生まれたからには戦わないといけない時もあると思うんですよ。そこに憧れるのではないでしょうか」

武田「常に待ったなしというか、首を獲られるくらいなら自分で腹を切る! とか、主君や旦那さんが死んだら自分も一緒に死ぬ! とかいう凄まじい時代ですよね。そこに『究極』があるから人は魅力を感じるんだと思います」

――ある意味、20代のイケメン俳優も今、戦国時代だと思うのですが、お二人がこの『戦国BASARA -MOONLIGHT PARTY-』を通じて得たものとは何でしょうか。

武田「僕はこのドラマをやらせて頂くにあたり、自分にしかできないところで勝負していきたい。という思いを常に念頭に置いて演じてました。なので、僕にしかできない真田幸村を演じきることができたと思います」

「同世代や年下の俳優さんに会うとみんなすごいギラギラしてますし、プライドも高いんですよ。もちろん僕もですけど、そういうのをいったん崩して、みんなでより良い作品を作ろうという気持ちを持つことはすごく大事だと思いました。特に今回、そんなに年齢の変わらない航平くんとの共演ということで、一歩間違えればぶつかる危険性もあった中、そうならなかったことはすごく良かったです。それに、お互いを認め合って遠慮なく頼り合える関係を築けた今、考えてみると、たとえぶつかったとしても、二人にとってきっと良い作品になったと思います」

――この作品を通じて政宗と幸村同様、2人の「絆」も深まったと。

武田「そうですね。そういう思いで最後まで演じられました。まさに作品のために『生きる』ことが出来ました」