機能対決その5:テンプレート

Excel/Numbersともに、テンプレートを元にして文書を作成することができる。Excelに用意されているテンプレートはグラフ用紙や請求書など、一般的な表計算ソフトで作われるであろうタイプのものが多く、ある意味で味気なくもあるが実用的。一方のNumbersは画像などを使った非常に見栄えのいいレイアウトのものが用意されており、出力したときのイメージの美しさでは上回る。

ただし、Excelにはデフォルトで用意されているもの以外にオンラインテンプレートと呼ばれるものがあり、サムネイルから選択するとインターネット経由からダウンロードして利用することができる。またビジネス素材サイトなどで配布されているExcelテンプレートも多数あり、Windows版Excel向けに作成されたテンプレートも利用できるため、選べるテンプレートの豊富さ・バリエーションの広さではExcelの優位は動かないだろう。

Excelのテンプレート。付属の実用的なテンプレートを利用するだけでなく、オンラインでテンプレートを参照してダウンロードする機能もある

Numbersのテンプレートは画像などをしっかり使った美しいレイアウト。写真と表、グラフで構成される資料は説得力のあるものになるはずだ

  • 【結果】テンプレートの数・バリエーションではExcelが上。ただしNumbersのテンプレートひとつひとつの美しさには注目

機能対決その6:互換性

データの基本はExcelから……ということでWindows版Excelとのデータ互換性について考えてみよう。といってもご想像のとおり、式や表示指定、マクロが利用できることも含めてやはりExcelの方が互換性は高い。ただひとつフォント指定に関して、Office for Mac のインストール時にMeiryoフォントがインストールされるが、その他のWindowsでしか利用できないフォントは表示されないので注意しよう。

一方のNumbersは、Excelファイルを開いて表示することはできるものの、やはりその独自性から互換性のない部分も多い。ただグラフなども含めて、表示できる部分もある。Excelデータを読み込んだ際にはどの部分が対応していないかを示す警告ダイアログが表示されるので、これを参考にして修正を行うことになる。

NumbersにExcelファイルを読み込ませたとき、問題があると表示される警告ダイアログ。チェックして修正できる部分は修正しよう

  • 【結果】やはり同じExcelどうし、Mac版ExcelとWindows版Excelの互換性は高い

機能対決その7:Macとの親和性

Excelでもメディアブラウザを表示してiPhoto/iMovieのライブラリを検索し、ドラッグ&ドロップでデータを利用できる。ただ、写真サイズが大きいままだったりといまひとつ使いづらいところもある

ExcelもiPhotoからデータを呼び出せるなど、Macと一部の機能の親和性を持っている。しかしNumbersはそれ以上に、やはりアップル製だけあってMacの先進機能を積極的に利用できる。まずMountain Lionからの新機能「Document in the Cloud」がNumbersに対応しており、データの保存先にiCloudを指定し、同じアカウントであればどこからでもファイルを呼び出すことができる。またNumbersはMac App Storeからダウンロードで購入が可能で、価格も1,700円と格安。一度購入すると、同じアカウントを使用するMacであれば無料で再インストールが可能な点も便利だ。

Numbersは保存先をiCloudに指定する「Document in the Cloud」が利用できる

Mac App Storeからダウンロードで購入できるNumbers。同じアカウントを使用するMacなら他の機種にもダウンロードして利用できる

もうひとつ、NumbersはRetinaディスプレイに対応しているが、Excelは今のところ対応の予定がなく、次のバージョンアップ待ちとなる。今後Retinaディスプレイ搭載のMacが増えるであろうことを考えると、Excelでも早く対応してもらいたいところだ。

Excel(画面左)とNumbers(画面右)で同じデータをRetinaディスプレイで150%表示したところ。ぜひ画像をクリックし、拡大画像でご確認いただきたい。Numbersは細部まで非常に滑らかな表示だが、Excelは文字にジャギーが見える。メニューなどにも同じ現象が見られる

  • 【結果】Document in the CloudやRetinaディスプレイへの対応などNumbersはMacの最新機能をフル活用できる

機能対決その8:iPhone/iPadとの互換性

NumbersはiPhone/iPadにNumbersアプリをインストールして利用でき、Mac上で作業したデータがそのまま利用できる。前項で解説した「Document in the Cloud」を介してデータのやりとりもできるため、ネットの繋がる環境ならどこででもNumbersのファイルを開いて利用できることになる。

iPad版のNumbersでファイルを表示してみたところ。互換性が高く表示もきれいだ。ファイルの編集ももちろん可能

一方、ExcelはまだMicrosoftから正式なiPhone/iPad向けのアプリは登場していない。Microsoft Office互換を謳うアプリはいくつか登場しており、iPhone/iPad上でファイルを開いて編集できるものもあるが、一部のフォントやグラフの互換性は低いと考えた方がいいだろう。

iPad版のExcelはないので、「Smart Office 2」というアプリでExcelのファイルを表示してみた。ひととおりの表示はできているが、円グラフと凡例が重なってしまったりしていて、再現性は完璧ではない

  • 【結果】NumbersはシームレスにiPhone/iPadでも作業可能。サードパーティ製アプリでExcelファイルも利用できるが、互換性には不安が残る
次のページ:まとめ――それぞれの使いどころはどこか?