栗林みな実 1976年6月11日生まれ
静岡県出身 双子座 AB型
2001年、PCゲーム『君が望む永遠』のオープニング主題歌「Rumbling hearts」で歌手としてはもちろん、楽曲制作も手がけ本格的に歌手としてキャリアをスタート。撮影:田中亘

歌手、栗林みな実の26作目となるシングル「signs ~朔月一夜~」が8月22日にリリースされた。彼女と深い縁のあるゲーム『マブラヴ』のシリーズ作品で、初のアニメ化となった『トータル・イクリプス』のエンディング曲をどのように歌ったのか。

アニメ『インフィニット・ストラトス』主題歌の「STRAIGHT JET」や『機動戦士ガンダムAGE』のエンディング曲「君の中の英雄」、さらには『仮面ライダーフォーゼ』のマグネットステイツのテーマ曲「Bounce Back」などなど、今やアニソン界の最前線に立つひとりとなった彼女。その歌声の特徴といえば、やはり突き抜けるような伸びやかさだろう。それが「signs ~朔月一夜~」という重厚な伴奏とヘビーな世界観を持つ作品世界を織りあげたような歌詞と交わった時、どんな反応が起きたのか? 自身も作詞家として作品の世界観を歌に汲み上げる名手、栗林みな実が見せた新境地とは?

──最初にこの曲を聴いたとき、すごく難しい曲だなと思ったのですが、第一印象はどうでしたか?

「第一印象は難しそうな曲だなと(笑)。どうやって仕上げていこうかなと思いました。いつもレコーディングには"こう歌おう"という答えを持って臨むんですが、今回は分からないままスタジオに入りました。(収録時のディレクションでは)あまり熱くなりすぎないように、というアドバイスを戴きました。ゆったりした曲調で歌詞も繊細なので、熱すぎると演歌みたいになってしまうんですよ。なので、そうならないように気をつけました。オケといい感じに馴染むように、というのは自分なりに考えて答えを出したつもりです」

──栗林さんは1stシングルが「マブラヴ」だったと思うのですが、シリーズの流れを組む作品が10年かけてアニメになるということで、思うところもあったのでは。

「やっとだなって。関わることができて幸せだなって思います。自分がこの仕事を続けていなかったら今こうして関われてなかったと思うので、続けられてよかったなと思いましたね。『マブラヴ』シリーズは全部プレイして、頭に入っています。この作品(『トータル・イクリプス』)にはこの作品の世界観、物語があって、それを事前に聞いた上で歌っています」

──1話と2話はイベントで上映されたのでご覧になっていると思うのですが、かなりショッキングなシーンもありましたよね。

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「アニメでは2話の最後にこの曲が流れたので、すごく恐い曲みたいな感じで。アニメだとイントロも短くなっていて、"赤く揺らめいて"という歌い出しがまた恐くて(笑)」

──いつもの栗林さんの、空を飛んでいくような爽快な歌声とはまた違った響きがありますよね。声に重さがあるというか。空のイメージというより、海というか、波のような。新鮮な感覚がありました。歌い方にも気をつけた部分はありますか?

栗林「今回はファルセットを多用しているんですよね。私は地声で突き抜ける感じでやる曲が多かったのですが、柔らかく声を持っていくというのは、あまりやったことがなかったので、今までと違った感じが出ているのかなと。(声を)張ってナンボみたいなとこもあったんですよね(笑)。声を張り上げて、ライブだったら盛り上げて、という表現の方向性が。この曲では繊細さだったり、せつなさの部分だったり、いつもと違っていることを歌っているので、自分の中では挑戦でしたし、聴いてくださる人も、違うと感じる部分じゃないでしょうか」……続きを読む