「レッツ! Windows 8」は、現在プレビュー版として配布されているWindows 8 Release Preview(以下、Windows 8)を試用している方々に、同OSの使いこなし術を紹介する連載です。コンピューターには詳しくないが新しもの好きで、既にWindows 8を導入された方や、今後のことを踏まえてWindows 8を導入し、さまざまな検証を行っている方に役立つテクニックを毎週紹介しますので、ご興味のある方は是非ご覧ください。今回はHyper-V 3.0上の仮想マシンにWindows XPをインストールします。

レッツ! Windows 8

"サブセット版"Hyper-VでWindows XPを使用する

前回述べましたように、Windows 8のHyper-V 3.0は、Windows Serverシリーズで用いられてきた仮想化技術です。一見しますと同じように思えますが、現在開発中のWindows Server 2012とWindows 8のHyper-V 3.0には、いくつかの機能差が存在するのをご存じでしょうか。

例えばサーバーOS上のHyper-V 3.0では、仮想マシン上で3Dグラフィック機能(DirectX)を使用可能にする「RemoteFX(リモートエフエックス)」が用意されています。これが他社製仮想化ソフトウェアとHyper-Vの大きな差でしたが、Windows 8で使用できるHyper-V 3.0は、これらの機能が削除されています。

同機能が不要な方でも問題となるのが、ゲストOSでUSBデバイスを使用できない点。Windows Virtual PCでは、ホストマシンに接続したUSBデバイスを仮想マシンに認識させるパススルー機能が用意されていましたが、Windows 8のHyper-V 3.0では同機能がサポートされていないのです。Windows Server 2008 R2のHyper-V 2.0ではRemoteFXを有効にすることで、同機能をサポートしますので、Windows 8のHyper-V 3.0は"サブセット版"と述べた方が正しいでしょう。

それでは前回の続きとして、Hyper-V 3.0で仮想マシンを作成し、ゲストOSをインストールします。その前に新しい仮想ネットワークスイッチを作成しましょう。こちらは仮想マシンが使用できる仮想的なネットワークと仮想NICを提供するための機能で、各種仮想化ソフトウェアを使ったことがある方ならお気づきのとおり、物理NICにデータをブリッジさせるための構造を仮想的に再現するものです。今回は単純にゲストOSからインターネットへの接続を可能にするため「外部」を選択しました。会社のネットワークポリシーや外部接続が不要な場合は「内部」「プライベート」をお選びください(図01~07)。

図01 スタート画面に並ぶ「Hyper-Vマネージャー」をクリックします。

図02 従来のデスクトップに切り替わり、「Hyper-Vマネージャー」が起動しました

図03 左ペインでコンピューター名が付いた項目をクリックしますと、各種操作が可能になります

図04 左ペインにあった「仮想スイッチマネージャー」をクリックしますと、本画面が現れます。「外部」を選択してから<仮想スイッチの作成>ボタンをクリックします

図05 最初に仮想ネットワークスイッチ名を入力し、「外部ネットワーク」のドロップダウンリストから使用する物理NICを選択。<管理オペレーティングシステムにこのネットワークアダプターの共有を許可する>にチェックが入っているを確認してから<OK>ボタンをクリックします

図06 確認をうながすメッセージダイアログが現れましたら、<はい>ボタンをクリックします

図07 数分ほど待ちますと、仮想ネットワークブリッジである「Network Brdige」と仮想NICの「vEthernet」が作成されます

仮想マシンの作成はウィザード形式で進みますので、VMware PlayerやVirtualBoxを使った経験のある方ならつまずく場面は少ないでしょう。初めてHyper-Vに触れる場合、戸惑うのは図11の<この仮想マシンに動的メモリを使用します>という項目。Hyper-Vでは、複数の仮想マシンを並列動作させるために、NUMA(Non-Uniform Memory Access)ノードというメモリ管理方法を使用しています。同項目にチェックを入れますとNUMAノードに割り当てられたメモリを動的に使用しますが、クライアントOS上で複数の仮想マシンを動かすことがない場合は必要ありません(図08~15)。

図08 Hyper-Vマネージャーに戻り、左ペインにある「新規」→<仮想マシン>とクリックします

図09 これで仮想マシンを作成する新規作成ウィザードが起動します。まずは<次へ>ボタンをクリックしてください

図10 仮想マシン名を入力してから<次へ>ボタンをクリックします

図11 仮想マシンが使用するメモリ容量を設定します。適切な容量に変更してから<次へ>ボタンをクリックしてください

図12 ネットワークアダプターとして、図04~07で作成した仮想NICを選択します。外部接続を望まない場合はそのまま<次へ>ボタンをクリックしてください

図13 仮想HDDの設定です。通常は初期状態のままで問題ないでしょう。必要に応じて変更してから<次へ>ボタンをクリックします

図14 最後にゲストOSをインストールするためのメディア選択を行います。ここでは<後でオペレーティングシステムをインストールする>を選び、<次へ>ボタンをクリックしてください

図15 これで仮想マシンに対する一連の設定が完了しました。<完了>ボタンをクリックしてウィザードを終了させます