ソフトバンクは7月11日、同社主催のセミナー「Softbank World 2012」を都内のホテルで開催した。このイベントでは、スマートデバイスやモバイルインターネットの活用による革新的なビジネススタイルを中心に、事例や同社グループが提供するサービスへの取り組みについて説明した。

「Softbank World 2012」の会場内の様子

ソフトバンク 代表取締役社長 孫正義氏

基調講演では、ソフトバンク 代表取締役社長 孫正義氏が、「iPhone、iPadによるモバイルインターネット時代のビジネス革新」と題して講演を行った。

同氏は冒頭、会場内の人にiPhoneやiPadを持っている人の人数を挙手で確認し、予想以上に多いことに満足した様子だったが、「iPhoneもiPadも持っていない人は、人生を悔い改めていただきたい。どちらも持っていない人は、時代に乗り遅れており、その人は戦に出たら負ける。そのくらい、情報を武器として戦うことが大切だ」と、iPhoneやiPadを持つことは、もはや常識であるとした。

そして同氏は、「iPhoneの登場によってライフスタイルが変わった。4年前、どれほどの人がこのような世界を想像しただろうか? たった1つの製品で世界を変えたのがスティーブ・ジョブスだ。彼は今後、フォード氏と同じように歴史上の人物として称えられる日がくるだろう」と、アップルの製品のすばらしさを賞賛した。

続けて、同氏はソフトバンク内のiPhoneやiPadの活用法を紹介。

「ソフトバンクの社員は全員がiPhoneとiPadを持っている。100%の社員が持っていることによってプラットフォームが変わり、ワークスタイルが変わる。ほぼ持っているのとは大きな違いがある」と語り、iPhoneやiPadは、社員全員が持つことによって、はじめてワークスタイルを変えられるとした。

講演では、iPhoneやiPadは、社員全員が持つことに意味がある点を強調した

同社では、ホワイトワークスタイルを実践しており、紙をベースにした提案をなくしたほか、今年の4月には社内業務においてペーパーゼロ宣言を行ったという。同氏は、「100%の社員が持っているのであれば、資料をコピーする必要はない」と述べた。

そして、「今後は、すべての企業でこれが当たり前になるだろう。その結果、一人あたりの高い生産性を実現できる」と語り、競合であるKDDIやNTTよりも同社の生産性の高いことをアピールした。同社では、iPhoneやiPadを導入することにより、営業社員の訪問件数が2倍に増えたという。導入企業はすでに、iPhoneは15万社、iPadは6万社に達しているという。

一人あたりの生産性は競合を上回るとした

また、同氏はソフトバンクの歴史に触れ、ソフトバンクはソフトの流通を行っていたころ、赤字で苦しい時代があり、そのとき、日本初の電子稟議を導入し、24時間以内に決定するルールを採用した結果、業績を回復できたという。

そして、「これは全社員にパソコンを配布することで実現できた。24時間情報武装が重要だ」と、100%持つことの重要性を強調した。

若き日の孫社長

7月10日に行われたiPadを活用したソフトバンクの役員会の様子

そのほか同氏は、顧客からの懸念として、セキュリティとつながりにくさがあるとし、セキュリティについて同氏は、「遠隔操作でデータが消去できるリモートワイプ機能が備わっており大丈夫だ。アプリもアップルが100%事前承認を行っているから安全だ」と、Googleとの違いを説明した。

一方、つながりにくさについては、7月25日から始まるプラチナバンドの900MHzサービスにより、大きく改善できるとした。サービスは、環境が整った箇所から順次サービスが開始されるが、同氏によれば、通常の4倍の速度で基地局を建設しているという。

孫氏は、プラチナバンドはビルを回り込むため、つながりやすくなると主張

900MHz対応機種

そして、同氏は、つながらないソフトバンクからどこでもつながるソフトバンクになり、今後は、つながらない時代がなつかしく思えるようになるだろうと語った。