人を中心とした「ヒューマンセントリックエンジン」
富士通が打ち出している「ヒューマンセントリックテクノロジー」は、独自のセンシング技術によりユーザーの周辺環境や嗜好などを反映し、「見やすさ」や「操作しやすさ」「ライフサポート」など、個々のユーザーの利用状況に応じていつでも最適な振る舞いをするスマートフォンを実現する技術のことである。
今回、その開発コンセプトに基づき、「ヒューマンセントリックエンジン」が新機種に搭載された。
たとえば「持ってる間ON」は、一定時間で画面が消える設定をしていても、手に持っている間は画面の接続を切らないというシステム。本体の傾き・揺れなどを検知することで、「手に持っている」ということを自動判別しているわけだ。まだ見ているのに画面が消えたという状況は、誰しも一度は経験したことがあると思うが、それを防いでくれる何ともかゆいところに手の届く機能である。
揺れを検知する機能を使ったもう一つの機能が「あわせるズーム」。こちらは揺れを検知することで自動的に読みやすい文字の大きさにサイズアップしてくれるというものだ。動きながらスマートフォンを見るときなどに便利だろう。
「戻ってシェイク」は寝転がったりして画面が勝手に回転してしまった際に、本体を2回振るだけで画面を元通りにしてくれる機能。こちらも「あるある」な状況だ。
個人的に便利だと思ったのが、「スイッチ付きスマート指紋センサー」。要するにロック解除を指紋認識で行う機能である。精度にもよるが、ぜひ他機種にも欲しい。
「インテリカラー」と「睡眠ログ」も面白い。インテリカラーはカラーセンサーで周囲の光を検知し、画面の色味を自動調整してくれる機能である。
睡眠ログは加速度センサーとマイクを利用し、寝ている間の寝返りの回数やいびきの音などを記録してくれるというもの。ログを解析して健康についてのアドバイスもしてくれる。
富士通のスマートフォン事業の今後の展開
佐相氏は、2012年度の携帯電話市場は4,000万台超で推移し、2011年度は4年ぶりに4,000万台を回復したとのMM総研調べのデータを引き出した。さらに、富士通は昨年のメーカー別シェア調査で国内出荷数1位(MM総研調べ)となっており、同じく世界1位となったスーパーコンピュータ分野と合わせて、大小コンピュータ市場で覇権を握ったと述べた。
しかし、ことスマートフォン市場においては、日本メーカーは海外メーカーに押されっぱなしなのが現状である。
大谷氏は、そうした現状と今後の展開について「日本メーカーは去年は遅れを取りましたが、今年はフィーチャーフォンで培ったものを本格的にスマートフォンに投入していくことで日本人が使いやすいものを作る。海外勢にも充分対抗できると考えている」と述べ、さらに今後の海外展開についても「海外のオペレターとも色々と会話をしており、具体的な話はできないが着実に成果を上げている」と自信をのぞかせた。