【レポート】
去る6月25日、米Hewlett-Packardの上級副社長、トッド・ブラッドリー氏が来日。日本の各メディア向けに、グループインタビューに応えてくれた。2012年3月、米HPはPC事業の「Personal Systems Group(PSG)」とプリンタ事業の「Imaging and Printing Group(IPG)」を統合し、新しく「Printing and Personal Systems Group(PPS)」としたが、統合後の新しい組織を率いるのがブラッドリー氏だ。
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米Hewlett-Packardの上級副社長、トッド・ブラッドリー氏。PC事業とプリンタ事業を統合した新しい組織「Printing and Personal Systems Group(PPS)」を統括する |
冒頭でブラッドリー氏は「HPは何よりインフラストラクチャーの会社である」と語り、提供しているソリューションをより良いものにしていくために、インフラとソフトウェア、サービスなどをどうやって組み合わせるかに力を入れているとした。重要な3つのキーワードとしては、セキュリティ、クラウド、ビッグデータを挙げる。
より具体的なところでは、PC、ワークステーション、プリンタ/複合機といったプロダクトによらず、ユーザーがさまざまなコンテンツを作り、格納し、そして活用するための製品作りに注力しているという。例えばノートPCであれば、薄型でパワフルでバッテリが持つといった製品であり、Windows 8の導入に向けて充実させていくとした。
プリンタや複合機についても、2012年の秋に向けてラインナップを拡充するとし、さらにソリューションの展開にも力を入れるという。文書管理などをはじめ、すでに多くのプリンタ製品が実装している「ePrint」(*)により、どこからでも自分が選んだプリンタ/複合機で出力できるといった、"差別化できる能力"を市場に投入していく。また、印刷ページ数は約2%の成長率で推移しており、世界に対して今後もプリンティングの重要性を訴求していくとした。
(*) ePrint
プリンタ/複合機が固有のメールアドレスを持ち、そのアドレスにメールを送ることで、メール本文や添付ファイルをリモート印刷できる機能。印刷を実行する端末側にプリンタドライバが不要なので、スマートフォンやタブレットからでも手軽に印刷できる。
PC事業とプリンタ事業の統合については、サプライチェーンの一体化といったメリットに注目し、イノベーションへの集中、幅広い製品の展開、地域拡大などを図る。事業統合は「かつて前例がないほど絶好の時期。企業としても効率アップを図る良い機会と考えた。1つのリーダーシップのもと、マーケットに対してよりアグレッシブな姿勢で挑む」(ブラッドリー氏)。
日本における展開に関しては、同席した日本ヒューレット・パッカード 取締役 副社長執行役員 パーソナルシステムズ事業統括の岡隆史氏が補足。日本HPはこれまで企業向けを中心にビジネスを展開してきたが、グローバルと並ぶシェアを獲得するには、コンシューマ分野は避けて通れないと話す。製品として見た場合、企業向けでも個人向けでも"とがった製品"が大事とし、これまで触れてこられなかったところを伸ばしていくとした。
一例がUltrabookで、これまでHPブランドのノートPCは、どちらかというとグローバルで"がっちり"した製品が多かったが、テクノロジーをいかしてとことん軽く、薄くといったように、日本の中でも際立つような仕様を持った製品作りを目指す。
「日本市場で『これはHPしかない』という選ばれ方を加速したい。PCとプリンタの両方がHP製品というユーザーは少ないが、PC事業とプリンタ事業を統合することで、PCのユーザーにはプリンタを紹介、プリンタのユーザーにはPCを紹介といった単純なメリットもある。また、技術の融合によってより便利になるというアイデアが広がり、これは製品という形になっていく。コンシューマ分野での認知度が高まれば、企業導入でも選ばれる可能性が大きくなるだろう」(岡氏)。
出席した記者たちからは、Windows 8を見据えた製品、日本のプリンタ市場、コンシューマ向けのクラウドサービスなどに関する質問があった。
まず世界的なプリンティング市場に関する質問では、アナログからデジタルへの移行が依然として進んでいるとし、文書管理スイートといったツールセットなども含めて、生産性の向上に貢献できると話す。また、プリンタは"PCの周辺機器"と位置づけられてきたが、クラウドやスマートフォンなどPC以外のデバイス、サービスから印刷する機会が増えている。これを初めて世に出したのはHPだとし、周辺機器からの脱却を目指して日本市場でも牽引しているとした。「世界ではePrintが1つのトレンドになっている。日本では"機能の1つ"という印象が強いが、流れからいえばグローバルに近づいていく。日本のプリンティングビジネスが世界の成長と同じ流れになる」(岡氏)。
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先日、米Microsoftが発表したWindows 8タブレット「Surface」についてどう思うかという問いには、「1つのプロダクトにフォーカスしたコメントはできない。エンタープライズやビジネスカスタマーに向けたWindows 8タブレットをリリースすることは発表しており、ユニークな機能を持ち、ユニークな市場にフォーカスした製品。成功に対する自信を持っており、魅力的で良い価値提案ができると考えている」(ブラッドリー氏)と述べた。
また、今回の事業統合による開発体制や、「HPの世界的な存在感に対して日本では苦戦していると思うが、その原因は ?」といった鋭い質問も飛んだ。開発体制については「色々な方法が考えられる」とし、製品間の接続性や連携製、ユーザーの目に映る「デザイン的な共通言語」などを挙げつつ、ブランドの統合といった製品戦略を実現しやすくなるだろうとした。
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日本での存在感については岡氏が「企業向けビジネスを見れば15~16%のシェアを持っているが、それで"勢いある"というわけではない。一般コンシューマの市場で、どれだけブランドとして認知されるかにチャレンジする。キラープロダクト、ヒーロープロダクトをタイミングよく取り上げていきたい。最近のHP製品は以前に比べて、デザインだったり機能だったり、だんだん面白くなっている実感がある。グローバルでも『そういう製品が欲しい』という流れがあり、この先には期待している。次の機会には『存在感が薄い』と言われないように頑張る(笑)」と述べた。
クラウドサービスでは、もともとHPは世界で大手のサービスプロバイダだ。これは主に企業向けであり、単純なアクセス性だけでなく、セキュアな環境が重要とする。ただし、コンシューマ向けのクラウドサービス(編注:例えばアップルのiCloudなど)にも、強い関心を持っているという。計画自体は進んでいて、グローバルベースのサービスを日本でも提供するのか、それともパートナーと組んだほうがいいのかといった点も含めて検討中であるとした。
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