3つ用意された専用アプリ

さて、「EN309i」を実際に使ううえでまず覚えておきたいのは、「EN309i」を利用するには、対となる専用アプリが必要だということ。用意されているのは、「flynotes」「idealNotes」「Studio Basic Lite」という3つであり、すべて無料で公開されている。簡単に、それぞれのアプリの説明をしておこう。

「flynotes」は、手書きメモのほか、音声メモにも対応したメモアプリだ。筆幅や色の変更に対応するほか、作成したメモをメールに送信したり、Facebook/Twitterにアップロードしたりできる。メールとして送信する場合、作成したメモをJPGもしくはPDFとして送信できるのがポイントだ。特に使い勝手がよさそうなのがEvernoteとの連携。そもそもEvernoteもオンラインメモサービスであるがために、相性はよい。

「flynotes」の起動画面。上層に当たる「ファイル」とその下層の「メモ」という構造だ。プリセットされている会議や日記といったファイルのほか、任意に追加できる

メモの作成画面。画面左側には各種ツールが並ぶ

書き込んだ内容はメール送信のほか、各種クラウドサービスへとアップロードできる

「idealNotes」は、「flynotes」の機能をさらに拡張したアプリで、カメラロールまたは写真を呼び出して書き込むことができるメモアプリとなっている。例えばマップアプリを起動してスクリーンショットを撮り、その画像に手書きメモを付け加えるといった使い方が可能だ。オンライン連携ではDropboxが対応し、アップロードしたデータを利用できる。

「idealNotes」の"棚"画面。このアプリでは、作成した内容を"棚"で管理する。タップすると開くことができる

作成したメモはメールのほか、Evernote、Dropboxなどにアップロード可能

データの取り込みには、DropboxやiTunes、Webを介して行える

対応するペンの種類がとにかく豊富。万年筆風やマーカー風のペン先が用意されている

「Studio Basic Lite」は絵を描く際に利用するアプリだ。ペン幅や色を自由に変えられるので、やる気次第でかなり細かな絵が描ける

「Studio Basic Lite」は、メモというよりはお絵かきアプリだ。筆幅や色をスライダ・カラーチャートを利用して細かく設定できる。作成した絵は、メールやFacebook、Twitterなどを利用して配信できるようになっている。

どのアプリも、はじめて利用する際はペンの位置を調整するキャリブレーション作業を行う必要がある。なんだか難しく感じるかもしれないが、画面に表示された点にペン先を合わせるだけなので、とても簡単だ。

手書きの手軽さと、デジタルならではの便利さを融合

どのアプリも"手書き"というわかりやすいインタフェースを採用しているし、なにより見ただけで内容がわかるアイコンを使っている。利用に関して特に難しく感じることはなかった。

「EN309i」が手元に届いてから、よく利用しているのは「flynotes」だ。操作が簡単で、愛用しているEvernoteへとすぐにアップロードできる点がいい。喫茶店などで打ち合わせをしながらメモする分には必要十分だった。「Studio Basic Lite」は、筆者に絵心がないため、あまり利用する機会がなかったものの、iPadで絵を描きたいユーザーにはうれしいアプリだろう。「idealNotes」は、名前にある"アイデア"という言葉からもわかるように、ユーザーによってさまざまな使い方ができそうだ。筆者もそれほど長時間使ったわけではないが、PDFで送られてきた書類に注意を書き込んで送り返すという使い方には便利だった。出先でチェックしなければならない状況ほど心強い味方となってくれそうだ。

デジタル社会であっても"手書き"というのはすばやく情報をメモする手段として有効だ。パソコン操作(タイプ)が苦手な人でもメモしておけるし、性別・年齢に影響を受けない。とはいえ、ここまでデジタルガジェットが普及してしまうと、それだけを推奨するのは難しい。その点「EN309i」という製品は、"手書き"という文化と"デジタル"という環境を実に見事に融合した製品だと評価できる。

しかも、メモしたあとにメールやEvernote、Dropboxなどを利用して共有・配信が可能だ。ちょっとしたメモでも手軽に共有できる簡便さ、出先でも対応できるフットワークの軽さが本製品の魅力だろう。「iPadを持っているけど、思いのほか活用できていない」というような人には、この製品は実にオススメである。