【インタビュー】

プロに聞くTOEIC勉強法「スコアアップを目指すなら、パターンが大事なんです」

 

会社員を辞め、英語教師の道に進み、現在はTOEIC専門講師をしているJayこと早川幸治氏。自身のTOEIC受験や指導の経験から、「TOEIC」の出題パターンや情報の流れの「型」を理解することで、スコアアップの道が開けてくると言います。早速TOEICスコア別の勉強方法についてアドバイスをいただきました。

――まずは初めてTOEICテスト受験する人へ対策方法を教えてください

目標点(スコア)を決めることからスタートしましょう。例えば、旅行に行くときは、大まかであっても目的地は設定しますよね。その場所にたどり着くことを目標として計画すると思いますが、TOEICもそれに似ています。

TOEICの概要が分からなければ、公式ウェブサイトを見たり、無料のTOEICセミナーに出てみると良いでしょう。公式問題集を解いてみることも大切です。基本的な知識をつけてから、自分の目的にあわせた対策を考えていくと効果的ですよ。

英語だからと文法書を引っ張り出してくる人もいますが、TOEIC対策ってそんなに長期間かけてやるものではないのです。とはいえ、1週間後に800点を目指す、では無謀です。期間としては、3カ月ぐらいのサイクルでステップアップしていくと良いでしょう。

またTOEICはビジネスで使われる英語力を測るテストなので、内容はかなり特化されています。だから、単語であれば、TOEICによく出てくるような単語を覚えたり、なるべく遠回りをせずに勉強することをおすすめします。学習時間も限られているので、基本的には「TOEICに出ないことはやらない」ことです。

――例えば、600点を目指す場合の勉強法を教えてください

600点は、「基礎力+α」があるかどうかがカギとなるスコアです。まずはTOEIC公式問題集を使い、本物のレベルを知ることが大切です。その後、英語の基礎力作りを行うとよいでしょう。模試教材だけではなく、項目別・スキル別に力を伸ばしていかれる教材を併用すると高い効果が望めます。

それから、TOEIC 600点前後の方は、ある程度の英語力は持っているがために、無理やり英語力だけを使って読もうとしたり聞こうとしたりする傾向があります。

すると、1つの単語が分からないと、その後がすべて「分からなくなってしまう。そうではなく、情報の展開パターンに慣れることで、答えが見えてきます。例えばお店の会話だったら、「いらっしゃいませ」と言ったら「何かを探しに来ました」となりますよね。それで、TOEICの場合は「ただいま在庫がありません・・・」というようなお決まりのパターンもあるんです。この情報の流れが読めてくると、リスニング力に転化され、自然にスコアアップにつながっていきますよ。

――では、900点など高得点を目指す場合、どういった勉強法をすればよいでしょうか?

900点以上などの高得点を目指すのであれば、「英語を学ぶ」や「TOEIC対策」というものではなく、「英語を使って何かをする」ことを取り入れていかないと難しくなると思います。

実際にTOEICに登場するのは、架空ではあるものの、多くは日常によくある場面です。ですから、TOEICで見たものが日常に転がっているのではなく、日常に転がっているものだからTOEICで見るんですよね。

特に仕事で英語を使っている人やこれから使わなくてはならなくなる人は、英語でメールを書くときはパート7の表現を参考にして書くと、かなり書きやすくなりますし、反対に、英語でメールを書けるようになると、パート7が読みやすくなるんです。リスニングにおいても、よく使う表現のオンパレードですから、アウトプットを意識しながら英語に触れていくことが大切です。そういう意味で、試験だからととらわれずに、すべてつながっているんだと認識することが大切ですね。

――ズバリTOEICの点数が伸びるコツというのは何でしょうか?

TOEICは知識を増やしただけだと点数につながらないんです。知識を測るのではなくてスキルを測るテストなのです。そのため、処理スピードを速めることと、先ほどもお話したパターンを知ることです。人間はパターンが得意なので、そのパターンを体に入れてしまえばその通りに聞こえるんです。

例えば、留守番電話で、「I'm calling to let you know that ~」という表現であれば、「何々をお知らせするために電話しました」という表現です。これ自体にそんなに重要な意味はないですよね。

でも、それを知らないと、この表現について一生懸命聞いてしまうので、そこで疲れてしまう。知っていれば「that ~」の後ろが重要だということが分かるので、このあと目的が来るなと分かるようになります。

推測もしやすくなりますし、本当に大切な部分に注力して聞けるようになるのです。ドラえもんだって、「のび太がジャイアンにいじめられる」→「ドラえもんに助けを求める」→「道具を出す」→「ジャイアンをこらしめる」→「道具があだとなりのび太自身に災難が起こる」というストーリーのパターンが何十年も繰り返されているわけですよね。

内容は毎回違いますが、ストーリーのパターンが同じなので、安心して見ていられます。ビジネスの流れもパターンがありますから、それに慣れてしまえば内容が異なっていても安定的に聞いたり読んだりできるのです。

ですので、基礎力をつけた後は、「知識をスキルに変える」ということをやるべきです。勉強しているのに点数が伸びないという人は、知識だけを増やしているだけなんです。スキルを重視したほうが、スコアは上がりやすいですよ。

あと、やはりTOEICに特化した対策というのもどこかで必要となります。TOEICには、戦争関係などの単語は使用されません。だから、英字新聞を読んでTOEICの問題を解けるかというと、直接はつながっていないのです。

英字新聞を読んで、英語を読めるようになったことがきっかけで点数がアップした、ということはありますが英字新聞を読んだ=TOEICの点数が上がるというのはないです。スポーツでも相手によって対策を変えて、実力を発揮できるようにしますが、TOEICでも英語力が確実にスコアに反映されるためにはTOEIC向けの対策が必要です。ただ、これはすでにある英語力をTOEIC向けにチューニングするだけですから、2週間~1カ月程度の短期間で可能です。

――TOEICに必要なスキルをまとめると何になりますか?

TOEICは、「英語力」と「情報処理能力」と「対策力」が必要なんです。具体的に言うと、英語力は、文法、語彙(ごい)、リーディング、リスニング。情報処理能力は素早く処理する力。それに加えて、テスト向けに対策する力です。

私が教えていたAさんという生徒さんがいるのですが、英語力はあまり高くないのにTOEICスコアはある程度取れるんです。「どうしてスコアが取れると思いますか」って質問をしても、「カンです」としか言ってくれません。

先日もフランスに行ったそうで、フランス語はほとんどできないにも関わらず、すべて「ジェスチャーで通したそうです。Aさんいわく、そこの場所で話される言葉は大体想像がつく。パン屋にいたらパンの話かしないので、そういった場面が想像できるというわけです。実はこれが、Aさんがスコアを取れる秘密なのです。

A さんの場合、英語力が低めでも、情報処理能力が極めて高いのです。まず状況を把握して、言葉は分からないけど恐らくこうなるはずだと推測し答えを出していきます。TOEICには、このスキルがとても役に立つのです。ここまで行くには、大量に英語を触れることが大切です。

あとは瞬時に理解するというスピードです。じっくり読んで考えて理解するのではなくて、一瞬で理解する力。例えば「Thank you very much.」と書いてあったら一瞬で、目を動かさなくても理解できますよね。そこまで瞬時に理解する力をもっていくこと。もう、繰り返し、繰り返し触れるしかありません。TOEICに登場す場場面は展開が決まっています。だから、何度も繰り返し触れることによって、意識しなくても分かるように訓練することです。

――TOEIC学習のモチベーションを維持するための方法で良い方法はありますか?

モチベーションって、僕もキープできないです(笑)。基本的にモチベーションは落ちるものです。モチベーション維持のカギは「習慣化」です。モチベーションが上がったときに、学習スケジュールを組み、それに従って学習を始めます。それを3週間ほど続けていけば、習慣化されるので、モチベーションに左右されなくなります。

また、気持ちの切り替えを行うためには、セミナーなどに参加することも有効です。講師の話を聞くこともよいのですが、よりプラスになるのは周りの学習者。参加者である学習者は自分と同じ立場なので、そういう人とかかわれるxというのはモチベーションが高まるし刺激にもなりますよ。

――最後にスコアアップを目指す方にメッセージをお願いします

「TOEIC700点」というような数字を目標にすることも大切ですが、それではスコアを取ることがゴールになってしまいます。すると、取ったらそこで学習を終えてしまい、せっかくつけた英語力も、坂道を転がるように戻ってしまいます。

そうならないために、「目標」であるTOEICスコアの先にある「目的」を意識してください。最近よく言われる「高いスコアがあっても話せない」は、TOEIC対策だけをやっていることの表れです。TOEICに出てくる英語というのは、普段の仕事や生活で使われている英語ばかりなんです。「問題を解いて終わり」ではなく、ぜひスキルにまで高めていただきたいと思います。

単語をたくさん覚えても、知っているだけで終わってしまっては全く役立ちません。「お金は持っているけど、お金の使い方は分かりません」みたいな感じですよね。

それはもったいないので、それにプラスして頭のなかでの処理スピードをアップさせるトレーニングのほか、音読やリピートなどアウトプットのトレーニングを行うことです。

すると、知識としてあるものが、実際に使えるようになります。そうなるとテストとしての英語が、ツールとしての英語に高まり、さらに楽しくなってくるはずです。そこまで来ると、スコアアップはもちろん、英語に対する考え方そのものも変わってくるはずです。

■お話を聞いた人

早川幸治氏。ニックネームはJay。楽天、ユニクロ、パナソニックなど大手企業のほか、明海大学や桜美林大学オープンカレッジで教える。TOEICテスト990点(満点)取得。TOEICテストを毎回受験し、傾向をおさえた効率的な対策法が好評。大幅なスコアアップ達成者を多く輩出。「高校2年生で英検4級不合格」という英語嫌いを克服した自らの経験から、学習者サポートにも力を入れている。毎日、英単語メルマガを配信中。

■著書

新TOEIC(R)テスト 470点突破 全パート問題集(アルク)
・共著『新はじめてのTOEIC(R) TEST』(語研)
・共著『新TOEIC(R)テスト 書き込みドリル【文法編】』(桐原書店)
他多数

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