【レポート】

iOS 6の新機能「Passbook」とは何か? 将来的なNFC搭載の可能性を考察する

1 Passbookはどんなサービス?

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6月11日に開催されたAppleの開発者カンファレンス「WWDC」では新型MacBook Pro/Air、Mountain Lion、iOS 6が発表された。本レポートでは、このうち事前の噂もなく、他の機能に比べるとあまりフォーカスの当てられなかった「Passbook」に着目してみたい。

WWDC 2012で発表されたiOS 6の新機能「Passbook」

「Passbook」とは?

Passbookとは簡単にいえば、飛行機の搭乗券からストアカード、映画チケット、クーポンまで、あらゆるチケットやカードを1つにまとめる機能を持ったアプリだといえる。従来までこうしたものはプラスチックカードや紙の形でユーザーの手へと渡され、それを財布やホルダーの中に大事にしまっておき、必要に応じて取り出して使ってきたと思う。これを「電子的な情報として保存し、適時取り出して使えるようにしよう」というのがPassbookの狙いだ。同様のアイデアはGoogleなど他のライバルの多くが考えており、パートナー各社を手元に取り込んでプラットフォームを構築しようと水面下で動きを進めている。こうしたサービスは「Wallet」(ウォレット: 財布)と呼ばれ、Googleの「Google Wallet」、Visaの「V.me」(ビザ・ミー)、MasterCardの「PayPass Wallet」など、各社各様のブランドを展開している。Apple自身は大々的に喧伝していないものの、Passbookもまた「Wallet」サービスの一種だといえる。

具体的にサービスの仕組みを見ていこう。「写真1」にあるいくつかのサンプルを見ていただければわかるが、必要な情報をテキストとして表示しつつ、あとは二次元バーコードが付与された非常にシンプルなものだ。これを「写真2」のようにパスホルダーの中にカスケード状に表示し、必要に応じてすぐに取り出せるようになっている。簡単にいえば、紙やプラスチックカードの情報をそのまま電子データにし、それを1つにまとめ、簡単に取り出すためのユーザーインターフェイスを付与したものだと考えればわかりやすいだろう。とはいえ、せっかくのスマートフォンで実現されるものゆえ、より便利な機能も用意されている。

[写真1] 飛行機の搭乗券からストアカード、映画チケット、クーポンまで、あらゆるチケットやカードを1つにまとめるのが「Passbook」の機能

[写真2] Passbookのメイン画面。このようにストックされているカードの一部のみが見えてカスケード状に並べられているのが特報。財布に複数のカードを挿しているイメージを想像すればいいだろう

サンプルとしてわかりやすいのが「写真3」と「写真4」の例だ。Fandango経由で購入した映画チケットだが、ここでは上映館や上映プログラム、開始時間と座席番号が記されている(米国の多くの映画館は座席予約制ではないため、あくまでサンプルだと考えられる)。このチケットはふだんはPassbookの中にストックされたままで眠っているが、上映時間少し前になるとiPhoneの画面上にポップアップし、その旨を知らせてくれる。ロックスクリーン上でもこのポップアップは出現するため、ユーザーはそれを確認してロックを解除することで、すぐにPassbookから当該のチケットを取り出せるわけだ。

[写真3] [写真4] 映画チケットの例。これは映画情報サイトのFandango経由で購入したもの。上映時間やシート番号が書いてあり、上映時間少し前になるとロックスクリーン上にNotificationsがポップアップしてその旨を知らせる

コーヒーチェーンのStarbucksの場合はさらに顕著で、「写真5」と「写真6」にあるように端末自身が位置情報を把握し、もし近くにStarbucks店舗がある場合はその旨をポップアップで知らせ、その状態でユーザーがロック解除を行うとStarbucksカードをすぐ取り出せる。Starbucksカードの仕組みは以前より同チェーンが提供しているもので、同カードを店舗で入手して一定金額をチャージしておくことで、小銭なしに注文が行えるようになっている。もともとはプラスチックカードで提供されていたものだが、最近では「Starbucks Card Mobile App for iPhone」の名称でiOSアプリも提供されており、ここで表示される二次元バーコードを赤外線スキャナで読み込ませるだけで決済が可能になっている。さらにアプリでは現在チャージしているバランス(残高)も確認できるようになっており、この仕組みをそのままPassbook上へと持ってきたのがデモでの内容だといえる。

[写真5] [写真6] Starbucks CardがPassbookにストックされている場合、位置情報からユーザーが店舗の近くにいると判断すると自動的にロックスクリーンにポップアップして、ユーザーがロックを解除することですぐにカードが使用できる。Starbucks Cardはポストペイドでチャージする機能を持っており、小銭を出さずにコーヒーの注文が可能だ

このほかのサンプルとして挙げられていたのが、「写真7」のApple Storeカード(ギフトカード)と「写真8」のTargetのクーポン券だ。米国ではプラスチックカードのような形状で多くの種類のギフトカードが販売されているが、これを電子化したものだと考えられる。同様にクーポンは"チラシ"の形態で配布したり、買い物客が会計を行ったタイミングで渡して「次回来店時にはこれをクーポンとしてどうぞ」という形で割引きを餌に再来店を促したりなど、重要なマーケティングツールとして活用されている。どちらも商習慣上重要なものだが、これを包含するのもPassbookの目的のようだ。特にクーポンについては「Groupon」といった企業が一定の成功を収めたように、店舗とユーザーを結びつける重要な存在として位置付けられている。Google Walletも当初よりクーポンへの対応を前面プッシュしており、Appleが正面からPassbookでこの対応を打ち出してきたのは興味深い。

[写真7] [写真8] Apple Storeカード(ギフトカード)とTargetのクーポン券。こうしたストアカードもPassbookにストックできるという

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目次
(1) Passbookはどんなサービス?
(2) Passbookはどこがすごい?
(3) Passbookは将来的にNFC対応?
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