毎週金曜日、ニューヨークに本拠を構えるマーケティング企業の創立者であるLauren Dixon氏はオフィスを歩きながら、80人以上いる従業員の机の上にメモを置いていく。それぞれのメモにはその人への褒め言葉が手書きで書かれている。従業員たちはこのメモを楽しみに1週間を送り、週末を迎える。

経営者、管理職ならだれしも、社員のモチベーションを高めたいと思っているだろう。人の気分は感染しやすく、個々のモチベーションが高まるとよい影響が伝染していく。それがチームとなると、すばらしいパフォーマンスにつながると期待できる。

一口にモチベーションと言っても難しいが、OpenForumが「従業員のモチベーション維持のための説明書(A Guide to Motivating Employees)」と題した記事で、Dixon氏とJetBlue Airwaysの共同創業者であるAnn Rhoades氏への取材から編み出した具体的なアドバイスをまとめているので、以下に紹介しよう。

雇用は慎重に

採用は最初の関門だ。自身の士気を高められる人を揃えよう。会社に対して動機付けを自らできる人が多いほど、入社後のトレーニングに要する時間を短縮できる。

社員に対する働きかけは小さなことでOK

Dixon氏の会社が従業員の満足度について調べたところ、社員は利益分配制度よりも同社が毎週木曜日にふるまうアイスクリームに好感を示していたという。「報酬がすべてではない。コストがそれほどかからない小さなことでもオフィス全体の雰囲気を変えることができる――むしろ、こちらをスタッフは評価している」(Dixon氏)

成果には報酬で

とはいっても、すばらしい成果に対しては報酬で評価を示すと効果があるようだ。なぜなら、自分の業績が認められたと実感できるからだ。「年度始めに昇給の話をするよりも、成果で評価すべきだ」とRhoades氏は述べる。

売上目標を共有

あなたの会社は企業全体の事業計画や目標をどの程度社員に伝えているだろうか? 「売上や顧客獲得数といった目標は全社員で共有すべき」とRhoades氏は助言する。あらかじめ、売上において重要な数字を説明してから定期的に共有すると、全体のモチベーションが上がるとのことだ。

脅しは効果なし

冒頭で紹介したDixon氏は、創業時から従業員のモチベーション維持に取り組んできた。先の手書きメモによる励ましだけでなく、自分の部屋のドアは常に開けておき、水曜日はDixon氏の部屋に従業員がランチを持ち寄り一緒にお昼を食べ、木曜日の午後は休憩時間にアイスクリームを振る舞うなどの取り組みを続けているという。「従業員が感じている最大の不満は、自分の価値が認められていないと感じること」とDixon氏は語る。

部下には定期的にフィードバックを送り、認めていることを伝えよう。言い方を変えれば、モチベーションを高めたいのなら、脅しても逆効果ということだ。「『景気が悪く、目標に達しないと企業の将来が心配だ』などと口癖のように言っても、従業員は頑張ろうという気にはならない」とRhoades氏もコメントしている。