「東京ラーメン」といえば、「鶏がらだしの醤油スープに細麺、具はなるとに海苔、薬味はネギ」がスタンダード。しかし世界中の食文化が混沌と絡み合う東京だからこそ、ラーメンは様々な変革を取り入れつつ、発展していった。

いま勢いのあるラーメン店は?

2012年。東京のラーメン地図は、どのように塗り替えられていくのだろうか。昨今の都内における名店を、筆者の経験をもとに3店舗挙げてみた。

渋谷区南平台の「アートマサシヤ」は、アパレル業界から転身を果たした店主が昨年1月にオープン。自慢の「特性旨口ラーメン」(850円)は煮干しやサバ節、昆布からとっただしと、リン酸を含まないかんすいのストレート麺、さらに店主自らが精製したラードが香気を放ち、口内に自然そのものの旨味が満ち溢れる。

2000年代からブレイクしているつけ麺のタレをはじめ、昨今のスープは煮干しだしが人気だが、その煮干しを自在に使い分けるのは世田谷区三軒茶屋の「めん 和正」だ。瀬戸内産の煮干しから2種類のだしを引き出して醤油ダレをきかせ、「つけ麺」(750円)と「中華麺」(700円)に仕立てる。つけ麺は濃厚な魚貝豚骨ダレがボリュームある中太麺によく絡み、若者に人気。落ち着いた和風の内装や、経営者ご夫婦の笑顔も好印象だ。

「麺屋武蔵」が昨年の9月、港区六本木にオープンさせた新店舗「虎嘯」の自慢は、豚骨と魚貝だしをブレンドした濃厚かつ淡麗なスープに、スチームコンベクションオーブンを駆使して焼き上げた特製チャーシュー。「虎嘯ら~麺」(1,000円)は柚子が香るスープにとろけるチャーシューの滋味、海老ワンタン、噛みごたえある麺が快い。

以上3店舗を挙げたが、この他「ガッツリ系」と称される肉そばや担担麺、つけ麺など各方面で名店が居並ぶ。ラーメン文化の今後に一層期待したい。