3月に発売された新しいiPadも好調で、WWDCの発表内容や次世代iPhoneがいつ登場するのかがますます気になる中、このほど米AppleよりiOS機器の担当者が来日し、iOSアプリの最新状況についてのブリーフィングを行った。この夏の登場が予定されている発売前のアプリを含む、そこで紹介された最新アプリをご紹介しよう。

App Storeの登録アプリは60万本を超えた

はじめに、iOSデバイス・アプリ全体の状況から。

最初のiPhoneが登場したのが5年前。その後の成功により、iOSデバイスの販売台数は3億6,500万台に達した。この成功の要因とAppleが考えているのがApp Storeの存在だ。この3月にApp Storeの累計ダウンロード数が250億ダウンロードを突破したのは記憶に新しいが、直近では1カ月あたり10億ダウンロードのペースとなっているとのことで、300億、500億といったさらなる節目をクリアするのも遠い先のことではなさそうだ。

3月にはApp Storeの累計ダウンロード数が250億を突破。直近では1カ月あたり10億ダウンロードのペースだという

担当者によれば、現在App Storeから入手できるアプリの数は60万。2011年7月に同様のブリーフィングを行った際には登録アプリの数として「42万5,000本」という数字を挙げていたので、10カ月で約1.4倍、17万5,000本を上積みしたということになる。

もうひとつ2011年7月の数字を引用すると、その時点ではiPad対応アプリの本数として「10万本以上」と表現していた。先の250億ダウンロード達成時のプレスリリースには、「ネイティブiPadアプリが17万本」(その時点でのアプリ総数55万本のうち)という記述があるので、こちらもiOSアプリ全体を上回る伸び率で、アプリデベロッパーが積極的にiPadアプリの開発に取り組んでいることがわかる。

もはや携帯ゲーム機は敵ではない? 充実のゲームラインナップ

そして話は具体的なアプリの紹介に移る。まずはこの夏のゲーム関連のトピックからだ。

はじめに紹介されたのは、フライトシミュレータの「Sky Gambler: Air Supremacy」。すでに配信が配信が行われているアプリだが、今回とくに紹介されたのは1~2カ月後に対応予定の「Party Play」という機能だ。

この機能を利用すると、Air Playを利用してゲーム画面をテレビに表示してプレイする際、複数のプレイヤーのゲーム画面を同時にひとつの画面に表示できる。この画面分割による大画面での複数プレイ、PlayStation 3やXBOX360などの据置型ゲーム機では珍しい機能ではないが、PS VitaやNintendo 3DSなどではそもそもテレビ画面への出力自体が不可能。iOSデバイスを携帯ゲーム機としても積極的に展開したいAppleにとっては、(Apple TVが必要にはなるが)他の携帯ゲーム機に対する大きなアドバンテージとなるだろう。

「Sky Gambler: Air Supremacy」でParty Play機能を利用しているところ。画面を3分割し、3人のプレイヤーそれぞれの機体を表示しているのがおわかりだろうか

次に紹介されたのはこの夏配信開始予定の「Infinity Blade Dungeons」。「Infinity Blade」シリーズはiOSデバイスのゲーム機能をギリギリまで引き出すキラータイトルとして知られており、この最新版も3月に行われた新しいiPadのデモに登場していた。

デモの映像でもRetina Displayの性能を活かした精細なグラフィックは印象に残ったが、実際にデバイス上で動作しているところを直接目にするとやはりその美しさは特筆モノ。配信開始の時点で日本語へのローカライズが行われるという。

「Infinity Blade」シリーズを通しての特徴といえるのが細かく描き込まれたグラフィック。複数攻撃時の効果なども華やかだ

大ヒットした「Angry Bird」、iTunes Rewind 2011でベストiPhoneゲームとなった「Tiny Wings」のように、カジュアルゲームをiOSデバイスで楽しむ人は多い。この「Lost Winds2」も前述の2本に続けるか

さて、iOSのゲームで人気を集めているのは、「Sky Gambler: Air Supremacy」や「Infinity Blade Dungeons」のような本格派の大作だけではない。というよりむしろこちらこそが本流ともいえるのが、いわゆるカジュアルゲームの類だ。そんな中から今回紹介されたのが、取材時点で「今週のiPhone, iPad App」にも選ばれていた「Lost Winds2: Winter of the Melodias」。先の2本のような細部まで描き込まれた精細なものとは雰囲気が違うがやはり美しいグラフィックで、シンプルな操作ながらキャラクターが多様な動作を見せてくれる。

メディアを通して喧伝されることも多い大作ゲームと違って、こういったカジュアルゲームは口コミで広がることが多く、大ブレイクしているアプリでも意外とその人気に気がつきにくい。App Storeのランキングやアプリ情報サイトをこまめにチェックするのが面白いゲームを見つけるコツだ。