【ハウツー】

ポータブル・デザインにおける高出力電流DC/DC変換のための熱損失の最適化

1 携帯機器での適切な熱設計原理とは

 
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慎重なデバイス選択と良好な熱設計方法は、信頼性保護と電力密度の向上を同時に達成することによって、モバイル・アプリケーション向け小型DC/DCコンバータ・デザインの性能を最適化するのに役立ちます。

電力部品の小型化

エンド・ユーザが、携帯電話、ポータブル・メディア・プレーヤ、GPS装置など、高機能を提供する高度に小型化された機器を求めているため、設計者は新しいボード・デザイン過程で、より小型の部品を使用する必要に迫られています。デジタルICに関する限り、ムーアの法則の追求によって、部品メーカーはチップ・サイズの大幅な縮小を可能にすると同時に、性能および集積度を向上させました。アナログICの後継世代も、より小さなPCB実装面積で、従来デバイスと同等またはそれ以上の性能を達成しています。パワー半導体メーカーも小型化を追求して、より小さな実装面積内でより大きな電力処理能力を提供することにより、可能な最高の電力密度の供給に役立っています。

しかし、この目標を追求すると、システム設計者はより困難な熱管理問題に直面することになります。電力変換中に失われるエネルギーは熱として放出されます。発生する熱量に対して部品サイズを小さくすると、動作温度が高くなることがあります。これは単に、ダイが小さいほど熱放散能力が低くなることが原因です。望ましくない影響としては、信頼性低下、予測不能なデバイス動作、そして極端な場合は、デバイスの破壊などがあります。一般に、接合部温度が高くなるほど故障率も高くなります。

最新のポータブル・アプリケーションで、超小型パワー・デバイスを適切に使用するには、部品レベルとボード・レベルの両方に細心の注意を払い、デバイス内で発生する熱量を最小限に抑えながら、熱を効率的に除去する必要があります。

パッケージの技術革新

熱発生を抑えるために、デバイスの設計者は高い電力変換効率を優先します。例えば、負荷ポイント(PoL)レギュレータなど、汎用アプリケーションのリニア動作では、スイッチング・コンバータが好まれます。スイッチング・コンバータは、ベスト・デバイスでは95%~97%の領域でピーク効率を達成できます。

効率的な熱除去を促進するために、最近、多数の小型フォーム・ファクタの革新的パワー・パッケージが登場してきました。これらのパワー・パッケージは、ダイとケース間の熱抵抗を小さくするよう最適化されているため、デバイスから効率的に熱を除去できます。

ポータブル・アプリケーション向け最新パッケージの中で、μDFN やμCSPなどの小型リードレス・タイプには、底面に露出した金属パッドが付いています。このパッドは直接PCBに熱を伝導するようにはんだ付けされます。パッケージの寸法は、2mm×2mm以下が可能で、このようなパッケージに封止されたデバイスは最大1.5A連続電流を供給することができます。

可能最大出力電流で高信頼性動作と最長寿命を保証するために、これらのデバイスで設計するときは、ボード・レイアウトなどに関するメーカーの推奨事項を考慮に入れながら、適切な熱設計原理を適用する必要があります。

消費電力の計算

スイッチング・コンバータで消費される電力は、以下の式1のように記述できます。

レギュレータが固定出力電圧を生成すると仮定すると、最大出力電流および最悪効率時に消費電力が最大になります。これは周囲温度が高く、入力電圧が最小のときに発生します。

DC/DCコンバータのデザインを解析すると、最悪の条件下での所要消費電力の計算方法と、パッケージの熱抵抗および最大許容周囲動作温度との関係を理解することができます。

例えば、ON Semiconductorの「NCP1529」などのDC/DCコンバータを考えてみます。このデバイスは、熱性能が強化された2mm×2mm×0.5mm μDFN6パッケージまたは3mm ×1.5mm×1mm TSOP5パッケージで供給され、バッテリ動作デバイスで使用するように設計されています。入力電圧範囲が2.7V~5.5Vなので、1セルLi-ion電源または3セル・アルカリNiCd/NiMHバッテリでの動作が可能です。

出力電圧は0.9V~3.9Vの範囲で調整でき、最大出力電流は1.0Aです。さらに、このICは内部熱シャットダウン回路を備えており、最大接合部温度を超えた場合に発生するデバイスへの破壊的損傷を防止します。温度が180℃に達するとデバイスはシャットダウンし、すべてのパワー・トランジスタと制御回路がオフになります。デバイスは温度が140℃以下に低下するとソフト・スタート・モードで再始動します。

もちろん、最適なアプリケーション・デザインでは、シャットダウン条件が発生する可能性を低くしなければなりません。これを実現する最初のステップは動作効率を明確に理解することです。

ICコア電圧1.2Vを供給し、最大消費電流が900mAのデバイスについて検討してみましょう。図1に、周囲温度85℃、入力電圧2.7V、および出力電圧1.2Vにおける、NCP1529の動作効率対出力電流を示します。このデバイスは、出力電流0.9Aで60%の効率で動作しています。

図1 NCP1529の効率、Vin=2.7V、Vout=1.2V、温度=85℃

これらの値を式1に代入すると、次の最悪ケースでの消費電力に対する式が得られます。

この数字は、アプリケーションの熱性能を最適化する際に重要です。

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インデックス

目次
(1) 携帯機器での適切な熱設計原理とは
(2) 電力と温度の関係と熱設計ガイドライン
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