宇宙航空研究開発機構(JAXA)は3月13日、静岡県浜松市の中田島砂丘において、「月面ロボットチャレンジ」の走行実験を実施した。これは将来の月探査ミッションを想定したもので、7大学・機関などが参加。月面に状態が似ている岩石混じりの砂地斜面を使って、試作したロボットの性能を確認した。

月面ロボットチャレンジの参加ロボット

日本は月探査機「かぐや(SELENE)」を2007年9月に打ち上げ、周回軌道から詳細な科学観測を実施。世界初という月面のハイビジョン映像も話題となった。現在は後継計画を検討中で、次の「SELENE-2」(2010年代中頃を想定)では月面着陸、さらにその先のミッションではサンプルリターンや、国際協力による有人探査も考えられている。

月面ロボットチャレンジは、そうしたロードマップを見据え、JAXAが2009年度に開始したプログラムだ。将来の月探査ミッション(2025年頃を想定)で必要となる技術の獲得を目指しており、「クレータ中央丘岩石採取」と「拠点モジュールの埋設」という2つの規定課題と、テーマを自由に決められるフリー課題を設定。共同研究の相手を公募した。

海辺に見渡す限りの砂浜が広がる中田島砂丘。浜松駅からはバスで15分ほど

当日の実験会場はこちら。左側に傾斜が20~30°ほどの斜面がある

39件の提案の中から採択されたのは、東北大学、愛知工科大学、東急建設、千葉工業大学、大阪大学、産業技術総合研究所、茨城大学の7件。それぞれと共同研究を行い、ロボットの試作機を開発、研究成果を確認する場として、今回の合同実験が開催された。