1974年にテレビ放送された不朽の名作『宇宙戦艦ヤマト』が、当時この作品に強くインスパイアされたベストクリエイターの手によってリメイクされ、新作アニメ『宇宙戦艦ヤマト2199』としてよみがえる。

『宇宙戦艦ヤマト2199』は2012年4月7日よりイベント上映スタート

完全新作アニメーションとなる『宇宙戦艦ヤマト2199』は、全26話を七章に分けてイベント上映が行われる。そこで今回は、4月7日よりスタートするイベント上映を前に、本作の総監督を務める出渕裕氏が語った新たなるヤマトの魅力について紹介しよう。

※インタビュー中、一部ネタバレに近い部分も含まれております。あらかじめご了承ください。

出渕裕監督が語る『宇宙戦艦ヤマト2199』

――まずは『宇宙戦艦ヤマト』をリメイクするに至った経緯を教えてください

出渕裕監督

出渕裕監督「話は4年前に遡るのですが、以前『地球へ…』という作品をお手伝いしたことがあって、そのスタッフが『ヤマト』のリメイクをするということになり、その際に監督として推薦していただいたらしいんですよ。それで、僕のところに電話がかかってきて、『ヤマトなんですけど』って。最初はもちろん『は?』ですよね」

――それは驚きますね

出渕監督「『宇宙戦艦ヤマト』という作品は『III』や『完結編』のときにデザイナーとして参加したこともあったのですが、『ヤマト』ってなかなか難しい作品だったんですよ。権利関係がいろいろありましたから。でもそのあたりもいろいろと全てクリアにされているようなので、じゃあ是非引き受けましょうと。しかも、よくよく話を聞いたらリメイクということだったので、それならやりたい、いやむしろやらなきゃって思いました」

――即答というわけではなかったんですね

出渕監督「最初に話が来たときは、やはり一瞬考えました。これまでから『ヤマト』のリメイクの話は何度もあったんですよ。そのたびにうわさは聞こえてくるけど、ことごとく流れていたわけで……。いろいろと難しい物件だったから」

――デザイナーではなく監督としてオファーが来たことに関してはいかがでしたか?

出渕監督「リメイクをするなら、実は庵野(秀明)くんが監督をやって、その参謀に付きたいなって思っていたんですよ。昔から、そんな話を彼としていたことがあったので(笑)。でも、庵野くんはエヴァがあるからできるような状況じゃない。だったら、俺がやるしかないだろうって。『ヤマト』に関して言えば、庵野くん以外だと、自分よりも上手くできる人はいないと不遜にも思ってましたから。本当はあまり自分の仕事に関して主張するほうじゃないんですよ。デザインの仕事でも、自分より向いていると思う人がいたら、その人にやってもらったほうがいいよって普通に言ってしまうんですけど、ことこれに関しては、数年前に『仮面ライダー THE FIRST』という作品でデザインをやったときと同じ心境でした。俺が世界で一番この作品に向いてるんだ。まあ、時にはそういう変な自信も必要ですからね(笑)」

――第1作の『ヤマト』に関しては、リアルタイムでご覧になっていたんですよね

出渕監督「そうですね。ただ、第1話だけが観られなくて、2話から観たんですけど、それがもう悔しくて(笑)。再放送で観たときは、本当にすばらしいと思いました。最終回のときなどは、ちょうど放送日に三宅島に行かなければならない事情があったんですけど、どうしても観たかったので親に泣きついて、小遣いを前借りをしたのかな、小さなモノクロのポータブルテレビを買って、三宅島に行くフェリーの中で観ていました。電波の状態が悪くてもう大変だったんですけど、あれはいま考えても執念の成せる業でしたね(笑)」

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