日本マイクロソフト 執行役 デベロッパー&プラットフォーム統括本部長 大場章弘氏

日本マイクロソフトは3月29日、次期開発ツール「Visual Studio 11(開発コードネーム)」(以下、VS11)の製品概要や新機能を紹介するプレス説明会を開催した。すでに同社のWebからベータ版がダウンロードできる。なお、VS11の発売時期や製品構成等は現在未定。

冒頭、日本マイクロソフト 執行役 デベロッパー&プラットフォーム統括本部長 大場章弘氏は、「マイクロソフトでは最近、新しいプラットフォームであるWindows AzureやWindows Phoneなどにも事業を広げ、開発ツールもプラットフォームの進化や拡張にあわせて機能強化している。Visual Studio 11はWindows 8の開発基盤となるものだ。Visual Studio 11では、これまでHTMLやC言語といった、これまでマイクロソフト以外のプラットフォームを利用してきた開発者にとっても、メリットをお届けできる」と、強化ポイントを説明。

日本マイクロソフト デベロッパー&プラットフォーム統括本部 開発ツール製品部長 伊藤信博氏

続いて登壇した日本マイクロソフト デベロッパー&プラットフォーム統括本部 開発ツール製品部長 伊藤信博氏は、「ITのコンシューマ化が進む中で、ユーザーはさまざまなデバイスやアプリケーションを活用するようになっている。また、SNSやクラウドをあたりまえのように使う中で、ユーザーはインフラを意識せずに利用している。こういう環境の中では、要件定義、コーディング、そしてテストをするというウォーターフォールモデルにしたがってアプリを作成するのではなく、ユーザーのアイデアをすぐに形にして、すぐ動くアプリを作り、フィードバックを重ねていくという開発スタイルが現在の状況にマッチしている」と、VS11にアジャイル型の開発手法を取り入れている点を説明した。

その上で、VS11の強化ポイントとして、「アプリケーション利用者の期待に応える」、「無駄を省いて注力できる開発環境」「俊敏性の高いアプリケーション」の3つを挙げた。

VS11の強化ポイント

日本マイクロソフト 執行役 デベロッパー&プラットフォーム統括本部 開発ツール製品部 エバンジェリスト 長沢智治氏

日本マイクロソフト 執行役 デベロッパー&プラットフォーム統括本部 開発ツール製品部 エバンジェリスト 長沢智治氏は、デモを交えて具体的な機能強化ポイントを説明。

長沢氏が最初に強調したのが、過去の.NET Frameworkに対応している点。VS11では、最新の.NET Framework 4.5だけでなく、2.0以降はすべてサポートするという。また、テスト環境においても、C#やVBだけでなく、オープンソースのxUnitフレームワークをテストアダプタを介すことで利用できるという。

対応する.NET Framework

VS11では、全体的にインタフェースをシンプルにしたほか、ソリューション エクスプローラでは、プロジェクトにフォーカスを当てることで、そのプロジェクトの内容を確認できる機能を追加。また、別ウィンドウに分割し、複数画面で別インスタンスを立ち上げ開発できるようになるという。また、検索機能が強化されるほか、操作性の向上では、履歴を表示してタブの切り替えができるようになるという。

VS11のインタフェース

複数のインスタンスを同時に開発

検索機能

Microsoft Visual Studio Team Foundation Serverを活用したコラボレーション機能も強化され、 自分に割り当てられたタスクを「担当作業」によって一覧表示し、現在作業中のタスクと、今後やるべきタスクを確認できる。また、現在のタスクを中断し、別のタスクを作業する場合、それまでやっていたソースや画面環境をそのまま保存し、次回再開する際は、以前の作業状態から開始できるという。

担当作業

そのほか、テストでは、操作の内容をキャプチャし、同じ操作を再現することができるようになるという。

テストの内容キャプチャ

なお、VS11やWindows 8のより詳細な情報は、4月24、25日に、東京のザ・プリンスパークタワー東京で開催される「Windows Developer Days」で紹介される予定だ。